きみを嫌いな奴はクズだよ (現代歌人シリーズ12)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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本棚登録 : 1116
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863852228

作品紹介・あらすじ

この歌集は余白ばかりで、言葉が寂しそうだ。
それならいっそ俺に下さい。
曲を付けて音楽にしてしまいたい。
それ程に素晴らしい。
(クリープハイプ 尾崎世界観)

感想・レビュー・書評

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  • 鋭角の刺激強めな歌が並んでいた。
    こんなに攻めちゃっていいのかなって。
    言葉遊びの実験のような楽しい歌や、
    ハッとさせられるような目線の歌も数多くて、それらに沢山付箋紙を立てた。

    私は木下さんの歌集もまだ3冊目で、お人柄も背景もよく存じ上げないけれど、
    壊れてしまいそうな繊細な心とトゲトゲの鎧を共に持ち得ているような、ヒリヒリした読み心地を味わった。
    こういうところがお若い方の心に刺さるんだろうか。

    「車椅子の女の靴の純白をエレベーターが開くまで見る」

    「悪人も悪人なりのめでたしで終わる話でありますように」

    「覗き穴越しの夕暮れ穴底にいるのは僕か配達員か」

    「(ユ/カ)レテイル(セ/シャ)カイ(サ/ボ)クラガ(フリ/シニ)オエテかみさまのてはじゃぐちをひねる」

    「「たすけて」は認識されずGoogleは「まつたけ」のWikipediaを映す」

    「砂浜にH・E・Lまで書いてLを付け足し力尽きよう」
    「ではOの到着次第速やかにHELLをHELLOにして浮上せよ」

    「もうずっと泣いてる空を癒そうとあなたが選ぶ花柄の傘」

    「だけだものあなたにはぼくだけだものだけだものぼくだけけだものだ」

    「風の午後『完全自殺マニュアル』の遅滞者ふと返却にくる」

  • 表紙がピンクとブルーのカラフルな色合いに特徴的なフォント 木下龍也氏の第二歌集。
    直筆サイン入りを手に入れ、読了後しばらくたっていた。上坂あゆ美さんがこの歌集についてコメントされていたので再読。
    余白が贅沢にとられ一首ごとの世界がひろがる。小テーマごとにまとめられた歌の独自性が繰り広げられる。
    木下さんを知るきっかけになった「二階堂ふみと四階堂ふみと六階堂ふみふみふみ」
    言葉遊びのような歌 リフレインの効いた歌 現代風刺の効いた歌 抒情的な歌 比喩が効いた歌など美しくバリエーションが豊富でうっとりする。生死を扱ったドキッとする歌もある。
    赤青黄緑橙茶紫桃黒柳徹子の部屋着
    ああサラダボウルにレタスレタスレタス終わらないんだもうねむいのに
    「たすけて」は認識されずGoogleは「マツタケ」のWikipediaを映す
    みずうみの光の膜の治癒力を平たい石で何度もためす
    もうずっと泣いてる空を癒そうとあなたが選ぶ花柄の傘
    近すぎてぼくらはきっと出会えないまゆげとなみだみたいなものだ

    • ☆ベルガモット☆さん
      5552さん、こんばんは!

      5552さんの情報収集力には目を見張ります~
      なるほど、では視聴感想をお知らせいたしますね!
      NHK短...
      5552さん、こんばんは!

      5552さんの情報収集力には目を見張ります~
      なるほど、では視聴感想をお知らせいたしますね!
      NHK短歌の情報も電話かかってくるのは面白そうですね☆
      番組で取り上げられなくても雑誌に載るかもしれないので、今月から応募しています。
      2月9日締切「黒」「元カノ・元カレ」
      2月16日締切「公園」「いとしい気持ち」
      のようです。
      https://www.nhk.jp/p/ts/JM12GR5RLP/

      Twitterはしていないのでうたらぼは応募してませんが、掲載されたらぜひぜひご報告お待ちしております☆
      2023/02/03
    • 5552さん
      ☆ベルガモット☆さん

      『うたらば』は、Twitterやってなくても、サイトの投稿フォームから投稿できますよ!
      今募集しているお題は『...
      ☆ベルガモット☆さん

      『うたらば』は、Twitterやってなくても、サイトの投稿フォームから投稿できますよ!
      今募集しているお題は『涙』と『仕事』です。
      『NHK短歌』投稿されてるんですね!
      また、掲載されたらブクログでお祝いしましょう♪
      サイトで四月からの選者見てみたら、わお!第四週に岡野さんの名がありますね。楽しみです!
      『短歌ください』の、今月の募集題詠は「チョコレート」ですね。
      チョコレート、が五文字なので、チョコレートの単語に引っ張られてしまうのが難点です。
      もっと自由に発想を飛ばしたいです。

      2023/02/05
    • ☆ベルガモット☆さん
      5552さん、うたらばサイトの投稿フォームありました!貴重な情報ありがとうございます!
      四月からのNHK短歌選者情報ちゃんと見てませんでした...
      5552さん、うたらばサイトの投稿フォームありました!貴重な情報ありがとうございます!
      四月からのNHK短歌選者情報ちゃんと見てませんでした、岡野さん凄い!大抜擢なのでは?!ゲストはロックミュージシャンとかになりそうでまた楽しみ♪ということは笹公人さんは今期でおわりなんですね…。
      『短歌ください』の題詠「チョコレート」また難しいですよね~
      板チョコで一首作りました。義理チョコ友チョコ本命チョコなどバレンタインネタが多そうなのでそれは避けて、チョコやショコラとかでいくつか作ってみようかと思ってます。
      2023/02/05
  • 今最も注目されている歌人、木下龍也の第二歌集だ。話し言葉に近い口語で詠まれた短歌で、短歌をあまり読んだことがない奴にもおすすめしたい。
    短歌の基本である五・七・五・七・五を守っている短歌がほとんどで、これから短歌を作る人の教科書にもなると思う。
    いくつか紹介したい。

    “銀幕を膀胱破裂寸前の影が一枚ゆらゆらとゆく”
    “後藤氏が壁にGOTOと書いた日の翌朝ぼくが付け足すHEAVEN”
    “もうずっと泣いてる空を癒そうとあなたが選ぶ花柄の傘”
    “幽霊になりたてだからドアや壁すり抜けるときおめめ閉じちゃう”
    “君という特殊部隊が突き破る施錠してない僕の扉を”

    • 5552さん
      張飛さん、111108さん、こんばんは。

      張飛さん、さっそく、短歌を送られたんですね!
      さすが、駿馬のように素早い!
      『ほむほむの...
      張飛さん、111108さん、こんばんは。

      張飛さん、さっそく、短歌を送られたんですね!
      さすが、駿馬のように素早い!
      『ほむほむのふむふむ』聴く楽しみが増えました☆
      2023/04/09
    • ☆ベルガモット☆さん
      張飛さん、5552さん、111108さん、ほむほむ大好き短歌会の皆さんこんばんは!
      めんたい味はなく、5552さんおすすめのコーンポタージ...
      張飛さん、5552さん、111108さん、ほむほむ大好き短歌会の皆さんこんばんは!
      めんたい味はなく、5552さんおすすめのコーンポタージュ味ゲットしました。お口の中の水分が持っていかられるので、111108さんのように飲み物用意しないとですね。
      ほむほむのふむふむ(このネーミング絶妙すぎる)、来月も楽しみです。張飛さんの夜襲成功した暁にはまたお知らせくださいませ♪
      2023/04/09
    • 張飛さん
      5552、これから毎月1、2首ずつコツコツ送っていきたいと思う。聴く楽しみも増えるしな!

      ベルガモット、早速うまい棒を食べてくれたみたいで...
      5552、これから毎月1、2首ずつコツコツ送っていきたいと思う。聴く楽しみも増えるしな!

      ベルガモット、早速うまい棒を食べてくれたみたいでありがとう!コーンポタージュ味食べたんだな!俺も食べたくなってきたから明日買って食べようと思う!

      もし夜襲に成功することがあったら、ブログで紹介するぜ!
      2023/04/09
  • たった3秒でできる異次元トリップ。
    元の世界に戻るかどうかはあなた次第。

    山口県出身の木下龍也さんという方の現代短歌集。
    現代歌人の方たちは鋭敏な感性を張り巡らし、私たちの知ってる言葉で、知らない世界を覗かせてくれる。

    何度読んでも新鮮な空気が取り込めそう。


  • 木下龍也の歌って、すごくわかりやすくて、日常や有名なキャラクターを使ったフックが多くて、「ここで感動してください」って明確に歌のくびれを示してくれる。逆にいえば教科書みたいに感じることが多くてたまに冷めちゃうんだけど、


    .
    あの虹を無視したら撃てあの虹に立ち止まったら撃つなゴジラを


    この歌はすごい好き

    • 111108さん
      koshiさん
      「逆にいえば教科書みたいに感じることが多くてたまに冷めちゃう」←わかりやすいことがこんな感情もよぶことに感動してます!
      koshiさん
      「逆にいえば教科書みたいに感じることが多くてたまに冷めちゃう」←わかりやすいことがこんな感情もよぶことに感動してます!
      2022/11/23
    • koshiさん
      ひねくれてるので、、笑
      心動かしてくれてうれしいです
      ひねくれてるので、、笑
      心動かしてくれてうれしいです
      2022/11/24
    • 111108さん
      お返事ありがとうございます。
      ひねくれ、私も別の場で発揮してます!
      お返事ありがとうございます。
      ひねくれ、私も別の場で発揮してます!
      2022/11/24
  • 続けて読んだ木下さん。
    だってすぐ読めちゃう余白の多い短歌集。

    確かに現代短歌なんだな~

    サラ・ジェシカ・パーカーも使えるのか(笑った)

  • 死とか事故とか戦争とか、そういうのを、やすやすと短歌のネタにしてる感じがしてしまって、わたしはあまり好きではなかった。

    この人は自分を天才だと自覚してる、たしかに言葉の天才だと思う。

    だから、発想とか言葉はひねりがあって違和感があるから面白いって言われるのかもしれない。

    けど。

    心に響いてくるものがなかったな〜。てことで私とはどうも合わないっぽいです。

    でも、まだよかったかなっていうのは。

    君とゆく路は曲がっていてほしい安易に先が見えないように

    もうずっと泣いてる空を癒そうとあなたが選ぶ花柄の傘

    立てるかい 君が背負っているものを君ごと背負うこともできるよ

  • 本屋で開いて数ページ読んでもうその場で買わずにいられなかった。新刊ハードカバーの本リアル書店で買うなんていつぶりだ。しかも歌集。しかしすごい。みそひともじに、さまざまな世界が。やばい。ほんとに好きなやつのとき馬鹿みたいに言葉なくなるんだけど、これはそれ。
    あの、ほんと、すごく、すきだ。

  • どうして、こんな場面、感情を切り取れるのだろう。
    自分の感情の一部が言語化されたみたいな。わたしを守ってくれる短歌たち。
    必要以上に破られないためのバンドエイドの箱の点線

  • 歌詞みたいな短歌で、読みやすいものが多かった。「六角形の回廊」章はひとつひとつが写真みたいで、場面を順に追っていく感じが好きだと思った。
    一頁一短歌なのも、目がちらつかなくて、短歌の情景を思い浮かべる余裕ができて良かった。

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著者プロフィール

1988年、山口県生まれ。歌人。2013年に第一歌集『つむじ風、ここにあります』、16年に第二歌集『きみを嫌いな奴はクズだよ』(ともに書肆侃侃房)を刊行。18年に岡野大嗣との共著歌集『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』、19年に谷川俊太郎と岡野大嗣との詩と短歌の連詩による共著『今日は誰にも愛されたかった』、20年に短歌入門書『天才による凡人のための短歌教室』、21年に歌集『あなたのための短歌集』(すべて、小社)を刊行した。同じ池に二度落ちたことがある。

「2022年 『オールアラウンドユー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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