- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863850477
作品紹介・あらすじ
風。そしてあなたがねむる数万の夜へ
わたしはシーツをかける
第一歌集『ひとさらい』に続く第二歌集。
彗星のように現代短歌を駆け抜けた
笹井宏之の全歌業。
光のように。風のように。
愛する人からの手紙のように。
透明な哀しみがあなたを包む。
2009年1月、26歳の若さでこの世を去った佐賀の天才歌人、笹井宏之。やさしさと切ないほどの透明さを兼ね備えた作品は短歌というジャンルを越え、今もなおファンを増やし続けています。第二歌集の刊行に合わせて、オンデマンド出版だった第一歌集も書店販売用に同時刊行しました。現代短歌史に名を残す笹井宏之の全歌業が見渡せる2冊です。
感想・レビュー・書評
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笹井宏之さんの第一歌集『ひとさらい』に続く第二歌集。
すごくすごくよかったです。好きな歌に付箋を付けながら読んでいったら付箋だらけです。
美しいことばの海にさらわれたかのようでした。
ことばの使い方のセンスがなんていいのだろうと思いました。
お父様の筒井孝司さんが序文で「私には彼の短歌に内在している音が聴こえてきます。キラッとしたガラスの砕けるような研ぎ澄まされた韻が、またあるときはふわっと温かく包み込んでくれるようなやわらかな響きが伝わってきます。彼の短歌の原点は音楽なのでしょう」とおっしゃっています。
好きな歌がたくさんありすぎて、どれを載せようかと迷いに迷った歌を以下に。
○はじまりのことばがゆびのあいだからひとひらの雪のように落ちた
○バースデイカードをひらくひとときに向日葵畑から風が吹く
○風。そしてあなたがねむる数万の夜へわたしはシーツをかける
○きんいろのきりん あなたの平原で私がふれた唯一のもの
○いつかきっとただしく生きて菜の花の和え物などをいただきましょう
○だまし絵に騙されあっていましたね でたらめにうつくしかった日々
○あなたはもうピアニカケース こんこんといつまでも空色のねむりを
○かなしみが冬のひなたにおいてある世界にひとり目覚めてしまう
○かなしみにふれているのにあたたかい わたしもう壊れているのかも
○雨の日のあなたはとてもやわらかく刃物が役に立ちそうにない
○ゆびさきのきれいなひとにふれられて名前をなくす花びらがある
○思い出がしおれてしまいそうなときあなたが貸してくれた霧吹き
○耳元であなたがすこし終わるときいっせいに降りだす星の雨
○つきあかりを鞄にいれてしまいます こんなにもこんなにもひとりで
○ふれられたときなにかをうばわれる ここちよいここちよいおはなし
○さようならが機能をしなくなりました あなたが雪であったばかりに -
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地球っこさん ありがとうございます。
えーえんとくちから で、最初にこの えーえんとくちから の短歌があって、まずやられた と思いまし...地球っこさん ありがとうございます。
えーえんとくちから で、最初にこの えーえんとくちから の短歌があって、まずやられた と思いました。
そして
ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす
もあり、すごく印象にのこりました。
この本には最後に詩が何編か収録されていて、生きること をすごく考えさせられました。
またお父様のあとがき、穂村弘さんの解説で、グッとまた引き込まれます。
まだ、全体がうまく飲み込み切れていないので、時間をかけながら、ドップリと世界に浸かりたい。そしてレビューとして記録したいと思います。
地球っこさん 本当にありがとうございます。
感謝しかありません。
またよろしくお願いいたします。2021/01/23 -
いるかさんの心に残る本を紹介することができて、こちらこそ嬉しいです(*^^*)
「えーえんとかちから」は「ひとさらい」に載っていたと思...いるかさんの心に残る本を紹介することができて、こちらこそ嬉しいです(*^^*)
「えーえんとかちから」は「ひとさらい」に載っていたと思います。
その意味を知るとぐっと胸に迫るものがありますよね。
じっくりゆっくり彼の世界に浸ってくださいね。
言葉って、歌って、ずっと誰かの心に残っていく、すごいものですね……⭐2021/01/23 -
「えーえんとくちから」でしたね、
とんでもない打ち間違いしちゃいました。
ごめんなさい( ´゚д゚`)アチャー「えーえんとくちから」でしたね、
とんでもない打ち間違いしちゃいました。
ごめんなさい( ´゚д゚`)アチャー2021/01/23
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なんと素晴らしい一冊。
加藤治郎氏のあとがきを読んで、笹井宏之さんのことがすごく分ったように思う。
加藤氏が笹井さんに最初に出会ったのは2006年3月11日。
第四回歌葉新人賞の賞状を笹井さんに渡しに博多のホテルに行ったとき。
そのときの賞品が歌集で、加藤氏と笹井さんが「ひとさらい」の制作を始めることに。
そして「ひとさらい」が2008年1月に刊行。
さらに「ひとさらい」を語る会が2008年5月24日にひらかれ、ゲストを招待する際、笹井さんの希望で「えーえんとくちから」の解説を書かれている穂村弘さんの希望を伝えると穂村さんも快諾したという。
二次会もあり午後11時まで続いた、たいそう盛り上がった会だったようです。
たましいのやどらなかったことばにもきちんとおとむらいをだしてやる
さよならが機能をしなくなりました あなたが雪であったばかりに
この歌を送稿して2週間ほどして笹井さんはこの世をさった・・
この本は笹井さんが残した「ひとさらい」の後の歌を、周りの人の協力を得て、作り上げたもの。
その思いがものすごく詰まった一冊になっています。
この本に収録されている歌はどれもよくって、なかなか選ぶことが出来ないぐらい。
でも一番ゾクッとしたのが、
風。そしてあなたがねむる数万の夜へ わたしはシーツをかける
この一冊に巡り会えたこと、本当に感謝です。
ありがとうございました、地球っこさん。
これからもよろしくお願いいたします。-
いるかさん、新聞に掲載されたなんてすごいですo(>∀<*)o
これからも作品作り続けてくださいね。
わたしもいるかさんを見習って、五...いるかさん、新聞に掲載されたなんてすごいですo(>∀<*)o
これからも作品作り続けてくださいね。
わたしもいるかさんを見習って、五感で感じながら今を大切に過ごしたいです♪
こちらこそよろしくお願いいたします(*^^*)
2021/02/05 -
地球っこさん おはようございます。
ありがとうございます。
笹井宏之さんの第三歌集「八月のフルート奏者」書肆侃侃房を見つけました。
新鋭短...地球っこさん おはようございます。
ありがとうございます。
笹井宏之さんの第三歌集「八月のフルート奏者」書肆侃侃房を見つけました。
新鋭短歌シリーズの中のもので、監修は加藤治郎さんがされています。
佐賀新聞に投稿されていた短歌が主だということです。
まだ読んでいないのですが、おもしろそうです。2021/02/06 -
いるかさん、こんにちは。
書肆侃侃房さんからは、短歌のシリーズが何個かあって、わたしは「新鋭短歌シリーズ」をけっこう気に入ってました(...いるかさん、こんにちは。
書肆侃侃房さんからは、短歌のシリーズが何個かあって、わたしは「新鋭短歌シリーズ」をけっこう気に入ってました(*^^*)
ああ!「八月のフルート」もそのシリーズだったと思います。
面白そうですね。
ゆっくり味わってくださいね♪
2021/02/06
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『ひとさらい』に続く第二歌集。こちらもとってもとっても素敵でした。
胸がキューっとするのにこころがあったかくなるような、いつまでも哀しくも優しいこの世界に浸っていたい思いでした。
笹井宏之さんの本に出会えたことに感謝です。まことさん、おすすめ下さりありがとうございました!
以下、こころに響いた歌です。
○大人には見えないものを渡されてひとり、優しいバス停に立つ
○ほしのふるおとを録音しました、と庭師がもってくるフロッピー
○本棚に戻されたなら本としてあらゆるゆびを待つのでしょうね
○本当は誰かにきいてほしかった悲鳴をハンカチにつつみこむ
○切らないでおいたたくあんくるしそう ほんらいのすがたじゃないものね
○かなしみにふれているのにあたたかい わたしもう壊れているのかも
○きんいろのきりん あなたの平原で私がふれた唯一のもの
○千年の眠りののちに語られる世界がやさしくあるための嘘-
ひろさん、こちらでも、こんばんは♪
○きんいろのきりんあなたの平原で私がふれた唯一のもの
も~泣きたくなります。ひろさん、こちらでも、こんばんは♪
○きんいろのきりんあなたの平原で私がふれた唯一のもの
も~泣きたくなります。2023/09/24 -
まことさん、こちらにも、ありがとうございます♪
"きんいろのきりん"なんて自分のなかからは生まれないだろう言葉なのに、琴線に触れまくりです...まことさん、こちらにも、ありがとうございます♪
"きんいろのきりん"なんて自分のなかからは生まれないだろう言葉なのに、琴線に触れまくりです( > <。)
きっと誰のなかにも存在するのでしょうね。色や姿は違っても。2023/09/25
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ひとつひとつの歌が、とても印象的で、読み終わるのに、日にちがかかりました。
紹介したい、好きな歌が、沢山あり、好きな歌全部は、選べませんでした。
、、、好きな歌
霊園にただ一度だけ鳴らされた無名作曲家のファンファーレ
ともだちを一匹抱いて夕焼けに消えてしまいそうな私のうで
本当は誰かにきいてほしかった悲鳴をハンカチにつつみこむ
告白の途中で炎上してしまうことはわかっていたけれど、した
奪われてゆくのでしょうね 時とともに強い拙いまばゆいちから
うつくしいみずのこぼれる左目と遠くの森を見つめる右目
そのゆびが火であることに気づかずに世界をひとつ失くしましたね
からだじゅうすきまだらけのひとなので風の鳴るのがとてもたのしい
気のふれたひとの笑顔がこの世界最後の島であるということ
冬を越すことのできない花たちへおゆかけている おゆ あたたかい
人殺しにも幸せの木琴がかすかに鳴り響きますように
愛としかいいようのないものをこぼし夢の川原を去ってゆく鹿
あるときはあなたの声で低く低くふるえるだけの声帯だった
私から風を盗んでゆくなんて 草原らしくない ゆるせない
かなしみにふれているのにあたたかい わたしもう壊れているのかも
千の空洞が私にあることを千のひかりでお知らせします
鳥取に鳥を求めるひとなどをほんとうは愛していたかった
手品師のくちに孔雀をおしこんで泣きました ええ、泣きましたとも
虹がないことに気づいた空がまたいちからやりなおすとのことです
ぼろぎれにくるまれている猫の目をわたしの目だとおもう、一瞬
空のおおよそ半分ほどを占めているひかりの犬のうすい肉球
木の間より漏れくる光 祖父はさう、 このやうに笑ふひとであった
だんだん濃くなってゆく犬を抱く 悲しみすぎてしまったために
ひろゆき、と平仮名めきて呼ぶときの祖母の瞳のいつくしき黒
、、、ここまで読んでくださいました皆様、
ありがとうございました、、、
。。。この歌集は、地球っこさんの、レビューを読んで、知りました。地球っこさん、ありがとうございました!。。。
※ 夜中に、読み返すと、涙が、あふれて、とまらない……。26歳の若さで、突然旅立った、作者の心情を思うと。なぜ…!ひたすら哀しい。素晴らしい作品を、世に遺してくださった事に、感謝いたします。
御冥福を、こころから、お祈りします。 りまの
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2021/01/29
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りまのさん おはようございます。
笹井さんの世界 素敵ですよね。
私も地球っこさんのレビューに魅せられて、「えーえんとくちから」、「ひと...りまのさん おはようございます。
笹井さんの世界 素敵ですよね。
私も地球っこさんのレビューに魅せられて、「えーえんとくちから」、「ひとさらい」を読み、今「てんとろい」を読んでいます。しばらく笹井さんの世界に浸りたいと思います。
次は杉崎恒夫さんの「パン屋のパンセ」と思い、取り寄せて手元にあります。
2021/01/29 -
いるかさん
こんにちは! コメントありがとうございます♪
早速 「ひとさらい」含め、おすすめ本3冊注文しました。入荷するのに、日にちがかかる...いるかさん
こんにちは! コメントありがとうございます♪
早速 「ひとさらい」含め、おすすめ本3冊注文しました。入荷するのに、日にちがかかる本もありますが、手に入るのが、待ち遠しく、楽しみに待っています ♡ りまの2021/01/29
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一様に屈折をする声、言葉、ひかり わたしはゆめをみるみず
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作者自身ではない何か(動物でもモノでもなんでも)を主語にする歌はスタンダードで、そのうしろにいる作者の顔を探っていくのが短歌を読む上での楽しみでもあるが、笹井の歌がこわいのは、笹井自身が、その何かにほぼ"なっている"ような、あらゆる事象に近づきすぎてそれらと一体化してるような印象を与えるところだと思う。
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さあここであなたは海になりなさい 鞄は持っていてあげるから
手のひらのはんぶんほどを貝にしてあなたの胸へあてる。潮騒
今夜から月がふたつになるような気がしませんか 気がしませんか
いつからかあなたが虹でTシャツで椅子でついには私なんです
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笹井宏之の作る歌たちは、作者の経歴が歌に影響、共鳴する最たる例だと思う。このメルヘンチックな世界観が、笹井自身と絡み合って、のしかかってくる。
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からだじゅうすきまだらけのひとなので風の鳴るのがとてもたのしい
つめきりが浅く砂浜に刺さっていてこの悲しみには勝てないと思った
あなたがあなたであるということの悲しみの、ひたすら餅をついている夜
れんとげん畑でれんとげんを摘む真夏ひとりきりの老詩人
千年の眠りののちに語られる世界がやさしくあるための嘘 -
私は詩や歌はどうか感覚的であって欲しい
相手がこと細かに説明してくれないからこそ相手の気持ちを理解できて嬉しい、
ちょっとの傲慢 -
行間が丁度よくて、しんどくならない早さで読み進められた。詩は体験したことと何か重なりがあったときに よく心に残るのだけれど、この歌集は、リズムや響きが美しく言葉の新しい捉え方が、爽やかで、くらい言葉も何故か輝いて聞こえた。陰鬱な言葉はなく、優しい響きが残る歌集だった
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●天からのみずに名前をつけている 羽化をしたばかりの妖精は
●私からもっとも遠い駅として初恋の日のあなたはわらう
●うつくしいみずのこぼれる左目と遠くの森を見つめる右目
●ひらがなであったおとこが夕立とともに漢字に戻りはじめる
●気のふれたひとの笑顔がこの世界最後の島であるということ
●本棚の奥に小さな目があってむこうの窓に虹が出ている
なんか、関係性が以前と変わってしまって、今まで、普通だったことが、なくなってしまった哀しみが、滲み出ている気がしま...
なんか、関係性が以前と変わってしまって、今まで、普通だったことが、なくなってしまった哀しみが、滲み出ている気がします。
その言葉通りです!相手の喋り方や言葉の
微妙な変化を察知した時の不安と寂しさが
滲みでていて、何だか、自分の記憶の中に...
その言葉通りです!相手の喋り方や言葉の
微妙な変化を察知した時の不安と寂しさが
滲みでていて、何だか、自分の記憶の中に
そんな感覚あったなぁ…っていう胸にチクリとした痛みと、その感覚を分かって言葉で表現してくれる
作家さんに親近感(^.^)そして…
他の誰かも同じ気持ち抱いてると思うと
キュンとします♡
ところで「パン屋のパンセ」も読みたくて
登録してるけど、
まだ探せてない(・・;)いつか…読みたい。
いつも素敵なレビューありがとうございます♪
私もブク友さんのレビューで知った本ですが『パン屋のパンセ』もとても素敵でした。
レビュー楽しみにしていますね(...
私もブク友さんのレビューで知った本ですが『パン屋のパンセ』もとても素敵でした。
レビュー楽しみにしていますね(*^^*)。