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- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863291041
作品紹介・あらすじ
2011年、日本初のユネスコ「世界記憶遺産」に山本作兵衛の炭坑画や日記などが登録された。《山本作兵衛コレクション》はなぜ評価されたのか、そこには何が描かれているのか。作兵衛画は芸術か、記録画か――絵画、石炭産業および近代史に精通した5人が、あらためてその価値と魅力の原点に迫る。
感想・レビュー・書評
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筑豊の炭坑で坑夫として働き、廃坑となったあとその記憶を絵画として残した山本作兵衛の作品にまつわる講演録。2012年11月17日に福岡ユネスコ協会による福岡国際文化セミナーとして一般向けに行われた講演会であったという。
山本作兵衛の絵は、独学であり芸術性というよりは過去の炭坑の記憶を後生に伝えんがための記録画である。ただその膨大な数や、文字で加えられた詳細な記録がすでに散逸の一途にある炭鉱関係の資料として貴重なのである。
本書は五氏によるそれぞれの立場からみた作兵衛の絵の価値を述べたもので、各人各様の評価が展開されているのが興味深い。タイトルにあるように炭鉱の歴史は我が国の近代化の原動力であった。にもかかわらず、この点についての記録はすでに曖昧であり、忘却の彼方に去ろうとしている。炭坑の中で必死に生きた者達が文字通り底を支えていた日本という国の近代をもう一度考えなおさなくてはならないと思ったのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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