ローカルベンチャー 地域にはビジネスの可能性があふれている

著者 :
  • 木楽舎
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863241244

作品紹介・あらすじ

地域経済はもっと儲かる!

地域で自ら仕事をつくる「ローカルベンチャー」。
発祥の地は、人口わずか約1500人の岡山県・西粟倉村だ。
この村で2009年に『西粟倉・森の学校』を起業し、現在は「ローカルベンチャー」をサポートする事業などを行う『エーゼロ』も経営する著者。
二社の売り上げは、合計5億8千万円(2017年)となっている。
本書では、これまでの軌跡とその哲学、地域経済への思いなどを紹介。
地域で起業した「ローカルベンチャー」たちや、地域で熱く活動する自治体職員の物語も収録している。
移住者や自治体職員など、日本の地域に住むすべての人へ贈る“地域経済の指南書"として、地域にはビジネスの可能性があふれていることをおおいに実感できる一冊だ。

感想・レビュー・書評

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  • 優しい語り口の文章ですが、倒産の危機を経験しながらも10年以上岡山県の西粟倉村で事業を拡大してきた著者の言葉に重みを感じました。
    本書は、地方での起業で必要なことなどが体系的にまとめられたいわゆるHow to 本ではないですが、著者の経験の語りの中にはどの土地でも活かせるノウハウが散りばめられていたと思います。
    地方創生という言葉が昨今もてはやされていますが、著者のような熱い思いを持ちながらも冷静に計算できる力、困難にも立ち向かえる強い意志、多くの人を活かすための想像力がある人が増えれば、人口減少に向かう土地でも活気を持つことができると思いました。
    単発のイベントが企画され、そのイベントの成功をもって満足されることも多いかと思います。それが意味がないことだとは思いませんが、真にその土地の活性化に寄与するためには、その土地にしっかり腰を据えて取り組む覚悟が必要だと本書を読んで改めて感じました。

  • ローカルベンチャー、あるようでなかった言葉。出来ないことを考えるのではなく、出来ることを考え、創造する。そして、地域で循環させる。最近、ビジネス関連の本を読んでいると、腹を決めて物事に取り組むのが最初だと気付かされる。ワクワク、楽しむと決める。そうすると周りもその気になってくる。そのためには、やりたいことのストーリーと効果を熟考し、何がしたくて何が出来るのか、独りよがりにならず、更に継続する根気が大事。これが基本かな。

  • 地方再生、地方企業では自治体が悪く書かれがちだが、この本では公務員も一緒にイノベーションを起こす仲間としている。
    最も心に残ったのが、「自分が地方をなんとかしてやる」ということ自体を夢にしてはいけない、ということ。
    他人に認めてもらいたい、という承認欲求ではないか、よく考えることが大事。
    そうでないと、上手くいかなかったとき、協力が得られなかったとき相手のせいにしてしまう。
    大事なのは『自分が』何をしたいか。心の底からやりたいことは何なのか。人の為ではなく、まず自分の内から湧き上がってくる気持ちに向き合うこと。
    筆者の経験……ローカルビジネスで倒産の危機にあい、友人に頭を下げて金を借り、黒字になるまで何年もかかり、やりたかったことができるまで10年はかかる、という結論を得る体験談。
    これを読めば、確かに綺麗に着飾った思いではもたないな、と思わされる。人の為、世の為でなく、自分がどれだけそれが好きでやりたいか。
    寂れていく地元みてなんとかしたいなあ、とぼんやり思ったので読んでみたが、本当に行動を起こすなら、まず地域ではなく『自分』と向き合い、問いかけるというしんどいことをやらなければならないと思わされた。
    また、地元ではない地方に入るとき、認められたいと頑張るより、まず地域の人に教えてもらう、10を聞いて1を話す、という気持ち、など、ためになる心構えも教えられた。

  • 岡山県西粟倉村がローカルベンチャーで注目されている。
    その立役者である牧さんのこれまでの経緯や想いを記した本。
    こういう「想いがある人」とそれを応援する行政含む周囲のひとたち、それから「時間」が大事なんだろうと改めて実感。地方にこそ可能性がある、というよりは地方「にも」可能性があって、都会よりも参入者が少ないのでブルーオーシャンなのだ、ということかと思う。「イメージしていたことが実現されるまでには10年くらいかかる」ということをみんなが理解すべきなんだろう。徳島県神山町の話も然り。プレーヤーが楽しんで長くやってきたことが、たまたま地域全体の活性化に結びつくこともあるし、そうではないこともある。
    それと通底する話で、「地域の課題解決のために〇〇をする」というと、地域からすれば「おまえがなんぼのもんじゃ」という話であるということは肝に銘じておきたい。

  • 岡山県西粟倉村での取り組みのお話。こんな人口規模でも様々な起業が出来るのかと、とてもワクワクが詰まっている本でした。
    自治体の大きさが、5万だと大きすぎて全体が見渡せなくなるというのは同感。大きな自治体はどう小分けにして、その地域のことを自分ごとで考えていく人を増やすか、そこにどう地域内でお金を回していくかが大切なんだろうな。

  • ・迷っている人が地域をつくる
    ・小さな成功を積み上げていけばやっていける
    ・「ユカハリタイル」は賃貸住宅向けの商品。
    ・地域経済をよくするのは、それほど難しい構造ではない。
     地域全体の売上と、地域全体で発生するコスト(外に出ていくお金)の2つを考えればいい。
    ・自治体職員がローカルベンチャーになっていくことこそが、ローカルベンチャーを増殖させていくことにつながる。
    ・地域には資本主義が足りない。「ちゃんと稼ぐぞ、稼ぎたいぞ」と言いにくい空気が地域にはある。
    ・地域には、ローカルベンチャーの成長を支える大きな応援のエネルギーが埋まっている。諦めの悪い挑戦者が地域に現れた時、地域の未来を諦めたくない人達が応援してくれる。

  • 西粟倉村の上山さんの話に勇気づけられた。

  • 「ローカルベンチャー 地域にはビジネスの可能性があふれている」
    地方の可能性を示唆する挑戦。


    移住者や自治体職員等、日本の地域に住むすべての人へ贈る“地域経済の指南書"として、ローカルベンチャーの挑戦が綴られている。


    舞台は岡山県最北東端に位置する西粟倉村。過疎化や高齢化が進む中、国策として市町村合併が推進されるが、西粟倉村の住民アンケートでは58%程が合併反対。当時の村長を中心に自立を決意した。しかし、当時の人口は約1700人。非常に小さな村。そんな村は総務省の地域再生マネージャ事業を導入する。その折、著者である牧大介と西粟倉村が出会う。


    2006年にベンチャー企業「木の里工房木薫」が誕生し、2009年に「西粟倉森の学校」が、2015年には「エーゼロ」が立ち上がった。もちろん、全てが順調に進んでいたわけではなく、様々な挑戦があったわけだが、これらの挑戦には地方ビジネスの可能性がある。なかなか首都圏や大企業では難易度の高いことを実践している。


    これからリモートワークも増えるだろうし、首都圏にいる私みたいな者でも参画出来るようになるのだろうか。また、副業の制限が広がれば、ローカルベンチャーは無理であっても、地方創生に絡む大小のアプローチはより増え、更なる有機的なコラボレーションが生まれるのではないか。

    時間を全て注ぎ込めないが、関心そのものはあり、やれる範囲でやりたい人は結構居るような気がしているだけに、可能性のパイそのものは決して小さくないはずで、一気に日本のビジネス力の土台(母数)が上がるチャンスもあるのではないか。

  • いくつかのTipsもあり、楽しく読めた。ただし、牧さんは行動の人であって、文章の人ではないのだなとも思う。

  • 何気なく書店で手に取った本。
    タイトルが気に入る。
    過疎地を再生させた成功事例に励まされるし、そもそもの仕事の仕方、働き方についても勉強になる。
    かるく衝撃のあった本。

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著者プロフィール

牧 大介(まき・だいすけ) 『エーゼロ』代表取締役、『西粟倉・森の学校』代表取締役
京都府出身。京都大学大学院(森林生態学研究室)修了後、民間シンクタンクを経て、2005 年『アミタ持続可能経済研究所』設立に参画し、所長に就任。FSC 認証制度を活用した林業経営改善をはじめ、農山漁村での新規事業を多数プロデュース。2009 年、『株式会社西粟倉・森の学校』設立。木材・加工流通事業を立ち上げる。2015 年、『エーゼロ株式会社』を設立し、農林水産業の総合的な6 次産業化に向けて研究開発を開始。

「2018年 『ローカルベンチャー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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