- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863132160
感想・レビュー・書評
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2014年インパクト本。
かなりの苦労をして海底に彫刻を設置、賛否両論あるかもしれませんが、まずはページをめくり最後まで著者の思いを読んで頂きたいです。
環境的な配慮もさることながら、自然保護対策としての新たな戦略だと、唸らされました。
海中生物の営みを美しいと感じるか、グロテスクだと感じるかは人それぞれ。ただ、人型を模した彫刻に深海の時間が重なると、想像を絶する…いわゆるホラー映像そのものになるのだと実感。人知の及ばないものに恐怖を抱く人間の心理でしょうか。
海底美術館のコンセプト全て、個人的には大好物です。インパクト、メッセージ…とても伝わってくるし、考えさせられる写真集でした。
オススメ。 -
人間の終焉を感じる
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図書館で目にとまり、一瞬で心を奪われた。
モデルとなる人々から直接型をとってつくられた等身大の彫像たちは、海の底に届く光を浴びて立つと、無音の世界で永遠の眠りについているようで、いやでも、自分の死や人類の終わりについて想像させられる。
この死と滅亡の感覚は、セメントの彫像たちに藻が生え、珊瑚が密生していく姿を見ることで、いっそう強まっていく。色とりどりの珊瑚が密生してしだいに輪郭も不確かになっていく彫像たちは、まるでポンペイ火山の噴火や原爆の閃光によって、一瞬で生ける人形に変えられてしまった人々のようにも見える。そのグロテスクさと美しさ。
なおも写真を眺め続けているうちに、自然の一部に還っていける死の幸せということを想う。もし、これほど自然をいためつけてきた私たち人類の死体がこんなふうに自然に喰われていくとしたら、それは個々の存在にとっては悲劇でも、幸福な関係といえるのかもしれない。
いろんな想像を誘われ、プロジェクトの説明も興味深く読める一冊。写真の一部はここからも見られる。
http://www.underwatersculpture.com/ -
再読。PCの壁紙を〈The Musician〉にしている。海底に沈められたピアノとそれを見つめる人魚の彫刻。弾き手も聴衆も波で、聞こえるはずのないピアノの音色は虹みたいなもの。指先からこぼれる幻影。
《海ぞこに沈くピアノを弾いてゐるこの世はあをい回廊だろう》/紀野恵
《ピアノひとつ海に沈むる映画見し夜明けのわれの棺を思ふ》/黒瀬珂瀾
《深海に沈むピアノは誰のもの 眠りつづける鍵盤(キー)に触れるな》/沙羅みなみ
わたしのふたつの眼が眠るところ。轟音に浸された空を切り離し、青い蒼いしずけさに向かって祈っている。 -
行きたい
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芸術は建物の中やオープンスペースで展示されるのが普通ですが、透明できれいなカリブ海の底にも美術館があります。テイラー達は彫刻を創り、海の底に沈めました。これは何と環境のためでもあるようです。これらの彫刻は人工の礁となり、サンゴを成長させ、海の生き物を増加させます。カリブ海に行くには、貯金など準備が必要なので、まずは美術館のアートをこの本で見てみましょう!
(応用科学系応用科学コース M1) -
ネットで本書を知って借りてみた。海底にある偶然の産物ではなく、展示作品でした。人工物×自然という組み合わせが不思議な感じだけれど、廃墟とかにちょっと感覚が似ているのかも。サンゴなどが育った後はちょっと見た目が気持ち悪い。それが「自然」なのは分かるけれど...。設置直後と時間が経った後の様子(同じ作品)は連続して掲載した方が(あるいは並べた方が)時間の経過が伝わりやすかったのではないかと思う。
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2015.04 市立図書館
すごい。
でもちょっと怖い。