フクロウからのプロポーズ

  • 日経ナショナルジオグラフィック社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863131019

作品紹介・あらすじ

ミュージシャン一族に生まれながらも、生来の動物好きが高じて生物学をこころざしたステイシー。カリフォルニア工科大学でフクロウ研究に従事していたところ、翼を傷めた生まれたばかりのメンフクロウを引き取ることになる。1985年、聖ヴァレンタン・デーのことだった。ウェズリーと名づけ一緒に暮らしはじめると、あっというまに夢中になった。身近にいるからこそ見られる生態、能力、知能に驚く毎日。つぎつぎと持ちあがる騒動。ステイシーは、高い知能と豊かな感情を持ったウェズリーと、深く心を通わせあうようになる。ところが、一生面倒を見ると心に誓っていたステイシーだったが、日常生活もままならないほどの大病を患ってしまい-。

感想・レビュー・書評

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  • 生まれつき野生では生きていけないメンフクロウの雛を引き取った著者が、フクロウと共に暮らした19年間を綴った記録です。
    生物学を専攻し、カリフォルニア工科大学のフクロウ研究チームに在籍していたこともある著者なので、フクロウを観察する眼は抜群です。
    しかし、本書のすてきなところは、研究者としての眼だけでなく、愛するものを見つめる温かい眼差しも感じられるところでしょう。

    フクロウは生涯にたった1羽のパートナーとつがい、パートナーが死ぬと後を追うようにもう1羽も数日のうちに死んでしまうことがあるのだとか。
    ウェズリーと名付けられたメンフクロウは、著者を母であり、生涯の伴侶であると認めていたようです。
    クローゼットの中やトイレの後ろを愛の巣とみなし、著者に向かって求愛コールをするウェズリーの姿を想像すると、ついつい笑ってしまいます。
    エピソードの1つ1つから、著者とウェズリーの絆の強さが感じられました。

    また、生後すぐに人間と暮らしはじめたために、他のフクロウを知らないウェズリーの行動には驚かされます。
    水浴びでは飽き足らず、湯船やトイレにまでダイブしたウェズリーですが、これは野生のメンフクロウでは考えられない行動なのだそう。(メンフクロウの羽は水をはじかないので、水に濡れると重くて身動きができなくなってしまうとのことです。)
    著者が歯磨きをしようとすると、真似して歯ブラシをくちばしでつまんでみたりするなど、ものまねも上手だったようです。

    生き物と暮らすことの喜び。
    そしてその喜びが、生き物と本気で向き合ったからこそ味わえるものであること。
    その両方を教えてくれた1冊です。

  • 保護したメンフクロウとの19年に渡る生活を綴った物語。

    一般的にフクロウというと、森で静かに無く印象しかないが、この物語を通してフクロウ(特にメンフクロウ)が非常に感情・表情が豊かで知能もある動物であることが分かる。 鳴き声、目付きなど、犬猫と同様一緒に暮らしてみてこそ読み取れるようだ。 主人公(著者)のメンフクロウに対する大きな愛情も行間から伝わってくるし、それに応えているメンフクロウの姿も手に取るように分かる。

    実は、我が家にもメンフクロウが居る。 ペットとしてフクロウを買う前の勉強として本書を手にとった。 専門書とは異なり実体験なだけに、フクロウの飼育方法の一般論とするには特殊すぎるのかもしれないが、フクロウを自分の家族として受け入れ付き合う方法が垣間見れた。 飼う前に半分ぐらい読んでいてそのまま放置していたのだが、フクロウを飼い始めて4ヶ月経った今、あらためて読み返してみると、主人公とメンフクロウのウェズリーがその場に居るかのように身近に感じられた。
    特にウェズリーが寿命を全うするシーンは、まるで自分のフクロウがそうなったかの様に非常に切なく悲しい思いに包まれた。

    動物との生活を描いた本だけに、ストーリー的に大きな起伏が有るわけではないが、メンフクロウという動物の(一般的には)知られざる魅力やほのぼのとしたエピソードが満載で、楽しく読める一冊ではある。

  • 【ノート】
    ・この本を知った由来は、多分、amazonでカラス関連の本を探していた時だと思う。

    ・動物との交流、特に「通じ合った!」と無条件で思える瞬間というのは、極上の体験だ。その感動が本書からよく伝わってくる。大変な生活なのに、大した女性だなあと思っていたら、オブライエンとはケルト系の血筋か。途中でアイリッシュミュージックに関する記述が出てきたところで初めて気がついた。

    ・大変な生活だなあと思いながら読んだ。なかなか一気に読み進めることができた。帯には「とりのなん子」なる人物の「最高にうらやましい!」との一文が掲載されているが、本書で書かれている生活の大変さを分かった上で羨ましがっているのだろうかと思ってしまう。感動的な内容であることは間違いないが「全米が涙した」との帯コピーは安っぽい。

    ・この本を読んだ数日後に、ノースサファリサッポロという所でメンフクロウの実物に触る機会があった。ふわっふわの毛だった。

  • 7月新着
    フクロウの名前はウェズリー。著者は動物ものを読むときに、結末を先にのぞいて、心の準備をするという。だからわざわざ331ページに「ウェズリーの最期を知りたくないという方は、ここで本を閉じてほしい」と書いていて、それだけで心の準備をしなきゃならなかった。生後数日の写真が掲載されているから、まさしく「鳥の一生」です。

  • 本当に奇跡の19年というのにふさわしいすばらしい話でした
    フクロウを飼ってみたいと思ったこともあるけれども
    半端な気持ちでは絶対に無理だなあ
    WESLEY THE OWL
    http://www.wesleytheowl.com/

  • 生物学を選考した著者が、自ら育てたメンフクロウの育てる。その中で得られたメンフクロウの習性や、人間とフクロウとの心のつながりについて綴られている。
    残念なのは、著者の表現が科学的に正しいのかな? と思える部分が含まれていること(訳注されています)。1カ所、そのような部分があると、他の内容も「本当なの?」と気になってしまい、集中できませんでした。気にしなくてもいいのかもしれないけれど。

  • 非常に面白いです。話の展開も非常に興味深いし、フクロウに大して知恵がつくだけの本じゃない。
    ときどき笑ったり、なごんだり、びっくりしたり……最後はずっとずびずび泣きながら読みました。

    人間じゃないものと心を通わせるっていうことは、この本だと、努力さえすればできるみたいな感じだけどそれはステイシーさんが本当に、絶えずずっと歩みより続けていた結果であって、本当は凄く凄く大変なことなんだろうと思った。
    だからこそ彼女は尊い。

  • この人も難病にいま悩んでる人。ここまで、ある一つの生き物と心をつなぎ合わせられるのは本当にすごいなと思った。動物好きだからなせることでもあるけれど、芯のつよい素敵な女性。子育てをする上でもいろいろと考えさせられる所が多かった。

  • 自然に生きるものが最も美しく尊い。
    そんな彼らの翼に抱かれたい。

  • 羨ましいの一言です・・・。
    http://booklog.jp/edit/4863131011

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