俺たちの「戦力外通告」

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  • ウェッジ
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863101944

作品紹介・あらすじ

プロ野球で戦った経験こそが誇りであり、未来への動機である-戦力外通告を受けた元・プロ野球選手25人に、自身も同じ経験を持つ著者が、インタビュー。雑誌「Wedge」の人気連載を書籍化!

感想・レビュー・書評

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  • まもなく開幕を迎えるプロ野球。

    期待のルーキーたちの活躍にファンの胸が高鳴る球春。

    甲子園のスター。
    大学野球の雄。
    社会人の即戦力。

    新しい選手が入団するということは、ほぼ同じ数の選手がこの世界を去るということだ。

    プロ野球選手の中で、自分の意思で引退できるのはほんのひと握り。

    「明日、球団事務所に来てくれ。スーツでだ」

    少年時代から野球のエリートとしてプロまで登りつめた選手が、選手でなくなる「戦力外通告」。

    著者は、横浜ベイスターズから2006年高校生ドラフト4位で指名され入団。6年間在籍した。
    梶谷隆幸は同期入団。
    田中将大、前田健太の同世代。

    強打の内野手として期待されたが、プロの世界で活躍することはできなかった。

    二軍で結果を出しても活躍の場を与えられない時期に、あるベテラン選手と出会う。

    日本一も経験した大ベテランが、二軍でもチャンスを与えられない。
    彼は腐るどころか、皆の模範となっていく。

    毎朝6:00に球場に現れ、2時間のトレーニング。
    試合では誰よりも声を出し、後輩のバットを片付けた。

    2010年、彼は戦力外通告を受ける。
    そして、二軍のファン感謝デーで彼は語った。

    「2010年は、佐伯貴弘にとって、最高の年になりました」

    この言葉は、チャンスを与えられず不貞腐れていた著者の人生に大きな影響を与えた。


    2012年に選手生活にピリオドを打った著者は、第二の人生に挑戦する。

    その一つが、「戦力外通告」を受けた男たちへの取材だった。

    元大リーガーから一軍未出場選手まで、25人。

    共通するのは、今を生き切る男の輝かしい笑顔。

    「俺たちはみんな、いつか野球を辞める時が必ずくる。そしたらその時はどうか、『この世界に入ることができた』ということに誇りを持って辞めていってほしい。この世界に入ることは、普通のことじゃないんだ。だから、何もマイナスなことはない。胸を張って辞めていってほしい」(横浜ベイスターズ元二軍監督 田代富雄)

    野球だけでなく、今を生き抜く全ての人たちに、新たな意味を与えてくれる一書。

  • 簡潔で読みやすかった。野球に限らず「プロ」は本当にそれを辞めてからが大変。でも挑戦しているときは考えもしないよね。

  • 毎年のドラフト会議で入団する人数とほぼ同じ数の人間が
    「戦力外」としてクビを切られるているプロ野球の世界。

    そしてクビを切られた人は第二の人生を歩むことになり、
    そこで様々な苦労を背負うことになります。
    しかし「プロ野球選手」という非常に限られた人しか
    経験できない世界を経た人はへこたれないです。

    我々も人生100年時代を迎える現在は、
    第二の人生を歩まねばならない時が必ずきます。
    その時には、彼らのように覚悟を持って生きることが
    できるのか。

    決して他人事ではなく来るべき未来に置き換えて考えさせられる一冊です。

  • アスリートのセカンドキャリアに関する本です。野球選手と球団の関係性が浮かび上がってきます。

  • 戦力外通告で変わるのは環境。
    新たな自分の可能性に出会うチャンス。
    悲劇なのか面白くするかは自分次第。人間万事塞翁が馬。

  • 25人のプロ野球選手の戦力外通告。

    「戦力外通告」といえば、会社員で言うところのクビ。
    その後の未来はどうなっているのか?

    これを読んで、「戦力外通告」が、単なるクビではなく、未来へのスタート地点なんだなーと思った。
    さらっと書かれただけでは、わからない、葛藤、苦悩、苦労があっちと思う。
    けれど、25人全員は、自分の居場所をいま、手に入れていると思う。
    その居場所は、想像もしていないものから、野球という世界だったりとそれぞれ。

    野球選手に限らず、様々なプロスポーツ選手は、一般人よりも早くセカンドキャリアの道に入る。
    セカンドキャリアは、往々にして、ファーストキャリアの時には、きっかけさえ見つけられていないことが多い。
    この本では、キャリアチェンジの過程が細かく書かれているなーと思った。
    キャリアチェンジと言えば、プロだけのことではなく、自分たちにも関わること。
    彼らの過程は、キャリアチェンジのケーススタディにもなり得るかも。

    25人の1人、佐伯貴弘さんが言っていた言葉が印象に残った。
    『判断は、人がするものではなく、自分がする。悲劇なのか、面白くするかは、自分次第』
    『生きてると、苦しいことはいっぱいある。でも、必ずそれは後で生きてくる。何かの意味がある』

    あと。。
    野村克也さんが、選手に良い影響を出す場面が何度か書いてある。
    野球に疎い自分だが、野村克也さんって、すごい監督だったんだなーと、思った。

  • 特に

  • 内容は、wedgeという新幹線の座席に置いてある雑誌の連載をまとめたもので、高森勇旗という元野球選手が元メジャーリーガーから日本の一軍実績ほとんどないん選手まで25人をインタビューしたもの。

    どのインタビューも興味深かった。
    特に印象に残ったのは、野球選手から史上初の公認会計士になった元阪神の奥村武博。
    ブラジル料理屋を開業した元中日の瀬間仲ノルベルトや、ケーキ職人に転職した元広島(ロッテ)の小林敦司も面白かった。

  • バリエーションに富んでいたものの,逆に一人ひとりのエピソードの薄さはもったいないな…と思わななくもない.
    それでも,この構成力はさすが.

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著者プロフィール

1988年富山県高岡市生まれ。2006年、横浜ベイスターズ(現DeNA)から高校生ドラフト4位で指名を受け入団。12年に戦力外通告を受け引退。引退後は、データアナリスト、ライターなどの仕事を経て、ビジネスコーチとしての活動を始める。延べ50社以上の経営改革に関わり、業績に貢献。

「2023年 『降伏論 「できない自分」を受け入れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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