Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ
- 英治出版 (2018年7月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862762580
作品紹介・あらすじ
★学習法・勉強法のベストセラー。大好評5刷
「学習の方法を学ぶことは、専門家が言うところの「究極のサバイバルツール」、つまり、現代において最も重要な能力の一つであり、あらゆるスキルの前提となるスキルである。」(イントロダクションより)
深い学びを得るにはいったい何が必要なのか?
子どものころに学習困難を抱えていた著者が、多くの実証研究調査と、学びの専門家への取材を通して辿り着いた、小手先のテクニックではない本質的な「学び方」。
米Amazon 2017年ベスト・サイエンス書
「読者の声」
「学ぶ」という冒険に出るための「地図」みたいな本。
何かを学ぼうとする時に、1度は読んだほうが良いと思います。
――人材派遣業、40代女性
読むことで自分にとっての学ぶ意味をより具体化できた。
――教育関係、30代男性
本を読む<以前>と<以後>では、
まるで違う世界を生きているような感覚です。
「学び」に関わるすべての人におすすめします。
――ファシリテーター、20代男性
「学びのデザイン」をするために不可欠な内容が詰まっていました。
――人材開発コンサルティング、30代男性
感想・レビュー・書評
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本書の目的は、「科学的で効率のよい学習法を学ぼう」です。
学習方法を学ぶことは、現代において最も重要な能力の一つであり、あらゆるスキルの前提となるスキルである。
・学習とは理解のプロセス、メソッド、体系。
・スキルを習得するうえで、モチベーションは最初の一歩、意味があると思えないことを学ぶのは難しい。
・自分に経験がある経験するだろうことのほうが学習のモチベーションが上がる。
・短期記憶は小さく、学習の目標を絞り込まなければならない。一度にたくさん学習してはならない。
・個人指導は、他の教育法にくらべて倍の効果がある。
・学習は苦労して当たり前。
・能力開発は、フィードバックとモニタリング。
・不確定なもの、不確実性を受け入れる感性を持てる人ほど、よく学べる。
・自分に語りかける、たくさん質問をすることが、学習を加速させる。
・仮定推論、アナロジーをつかって関連づける。
・ポリアの四段階問題解決、①問題の理解、②計画の立案、③計画の実行、④振り返り
・謙虚であれ!過去の実績から、過信が起こる
・外部からチェックする。内省する。集中するために静かな時間をもつ。
目次は以下です。
イントロダクション
第1章 価値を見いだす
第2章 目標を決める
第3章 能力を伸ばす
第4章 発展させる
第5章 関係づける
第6章 再考する
エピローグ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[076‐03]【ブックレビュー】『Learn Better 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』 アーリック・ボーザー著 月谷真紀訳 - IDポータル
https://idportal.gsis.jp/magazine/doc_magazine/142.html
Learn Better|書籍|英治出版
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2258 -
1.学習することにおいて自分に足りないことは何かを考えるために読みました。
2,自分の学びをより良くするためには以下の6つの作業を頭の中で行っていかなくてはな
りません。
①価値を見出す:学びたいと思う
②目標を設定する:集中する
③能力を伸ばす:パフォーマンス向上の手段を知る
④発展させる:知識をより深く理解するためにはアウトプットが必要であるということ
⑤関係づける:人間は関連付けなければ理解することができない
⑥再考する:疑うことで新しい知識の習得の意欲がわき、新しいアイデアを生むことにも繋がる。
以上のような行為がなければ学びを深めることはできません。本書では、サイエンス書として脳科学の視点から人はどのようにして知識を取得していくのか、実際に行った実験を基に述べています。
3.私に足りないのは、本書でいうところの「パターン認識能力」だと思いました。私は昔から容量が悪く「4~5倍やってやっと人並み」という自覚があるほど初めての作業に時間がかかります。そうなってしまう理由がこれなのだと思いました。容量の良い人は「この作業はこれと似てる」といった関連付けが非常に上手です。ですが私は新しいことに出会った場合、ゼロから考えてしまいます。そして、後になってから「これと似てる」と気づくことが多いです。つまり、瞬時にパターンを認識し、自分の知っているモデルを派生させていくことで、容量が良くなりますし、知識の体系化にも役立ちます。 -
学習、学ぶことについての探求。とても面白かった。最近読んだ本の中では一番。
学習には6つのステップがあるといいます。
①価値を見いだす
②目標を決める
③能力を伸ばす
④発展させる
⑤関係づける
⑥再考する
各ステップにおいて象徴的なエピソードを紹介したり、著者自身の体験に基づく身近な例を引いたり、その合間を縫うように最新の心理学や脳科学など各種の研究の成果が紹介されていて飽かせずに一気に読ませます。
元々自分自身の学びのスタイルや姿勢を見直せればと思って手に取った本で、その点での学びも十分以上にあったけれど、同時にコンサルをするときや講師業をするときなど自分の仕事(人に学びを深めてもらうとき)にも使える視点が多かった。
例えばステップ①価値を見いだすで面白かったのは、学習をするテーマに対して「自分自身や自分の生活とどのような関わりがあるかを考える」という時間を取るか取らないかで学習効果が大きく違うといいます。学習の内容自体が分かっていなくとも、価値の創造だけで効果があるというのが面白い点。これは色々な場面で使えそうです。
また、よく言われることではありますが説明をすることによる学習効果もやはりすごい。内省や抽象化といった経験学習サイクルで言われるステップを凝縮して体験することになるんでしょう。
人生100年時代とも呼ばれる多様性に溢れ、不確定な時代を生きていく中で、学ぶ力の価値は増し続けています。 -
①『Learn Better』(アーリック・ボーザー)を読んで、
〜〜学習とは理解のプロセス、メソッド、体系なのである。学習とは一つのことへの集中と計画性と内省をともなう活動であり、学習の方法がわかれば習得の度合いと効果は大きく上がる。
〜〜
と始まる。
生まれながらにおもいおもいに、そして無自覚に当たり前に、誰かの真似をして身につけてきた学習のスタイルに『それで良いのか?』と問いかけてくる。
覚えるために、何度も読んだり、蛍光ペンで文章をなぞったり、何度も紙に書いたりしてきた。
それらが、実は根拠もなく、効果が無いことだったとは思いもよらなかった。この本を読み終えた今でも長年の癖でついてやってしまうこれらの所作は何故身につけてしまったのかも含めて新しい学びの、学びの仕組みの獲得だった。
学習の6つの段階的プロセスとして①【価値を見出す】→②【目標を設定する】→③【能力を伸ばす】→④【発展させる】→⑤【関係づける】→⑥【再考する】
を軸に据えながら、現在学びの途上にある人、教育者、指導者と呼ばれる人にはきっと大きな収穫をもたらすことになる事間違いなしの本です。
基本の“キ”でありながら見えていなかったこと、教えることに真剣に取り組んで来た者たちが、立てた仮説を実験によって実証した手法など様々な紹介があり理念が語られている。
人生は一生学びの連続だと思っていらっしゃる方には必読の書になるだろうことは疑いようがない。 -
2018年41冊目。
自社本のため割愛。 -
「学びのための学び」の書。メタ認知、自問に内省、分散学習…。いまの学校や学ぶ人にかけていることばかりです。思えば自問するときの脳に汗をかいた時ほど学びが深かった覚えがあります。文科省と経団連の担当者はこの本を多角的に分析すべきです。
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●要するにどんな本?
成功するための学習の方法が6ステップで書かれている。さまざまな専門家の論文やインタビュー、実例を通して、「専門家の思考スキルを得るため(あるいは、専門的知識を身につけるため)」の体系的なアプローチを紹介している。
●なぜ読んだか
ずいぶん前に話題になっていたが、今さら読み終えた。おそらく大人が学ぶときの参考書だが、子どもが学習するうえでの参考にしたいと思った。
●気になったところとその理由
・この本で勧める学習のステップは6つ。「価値を見いだす」「目標を設定する」「能力を伸ばす」「発展させる」「関係づける」「再考する」の手順だ。それぞれのアプローチが章に分かれて説明されている。現代の「教育」でいうと、「目標を設定する」「能力を伸ばす」は当たり前に行われているが、「価値を見いだす」は非常に薄いと言わざるをえない。また「発展させる」つまり自分ごととして応用したり、具体的にすることもないがしろにされている。ものとものを「関係づける」が学習に効果的なことは直感的に理解できる。また、「再考する」もアンラーニングなど最近よく言われていることではある。
・まずは、<価値を見いだす(Value)>だ。自分に経験があること、今後経験するであろうことのほうが、学習のモチベーションがはるかに上がるという。それを学習の「意味」だと説いていて、自分自身で発見する必用がある。自分と関連性を高めたり、「やるに値する」と思わせること。私はこの「モチベーション」のところに大いに興味があり、マーカーを引いた箇所も多かった。小6の長男は、「文章を書く仕事」に少し興味があるようだった。「そのためには本を読んだ方がいい」と言うと小説を読もうとしたものの、あまり没頭できないと言う。「漫画でもいい」と話したら漫画を読み始めた。何もいわなければゲームをするだろうが、それを漫画にあてているということで、彼にとっては多少の「意味付け」ができたのかもしれない。
・ゲームの「マインクラフト」は、自分に関連性のある何かを創造すること、個人的に意味のある何かを見つけることを単純にやらせてくれる、と書かれている。そこから見るに、「好きだからやりたい」という感情的な動機も「意味」や「価値」に分類されているようだ。
・「意味への欲求とは、多くの点で、発見への欲求なのである」と書かれていたのはとても衝撃的だった。子どもの様子を見ていると、何かを「発見」したときにはとても情熱的である。自分自身についても同じだ。「発見」するプロセスはエキサイティングで、発見し続けられる仕事は幸せであると間違いなく言えそうだ。この本では「探求」とも書かれているが、私は「発見」のほうがぴんとくる。発見というキーワードを持ってすれば、なぜ一方的に教えられることが知的好奇心を削いでしまうのか、明確に説明ができるからだ。
・ただし、発見はその場限りのモチベーションだともとらえられそうだ。深層的モチベーションにするためには、やはり「やるに値する」という価値の概念が必要だという。確かに、何かの専門家になるには、一方的にインプットすることも必要なのは間違いない。私が過去に数学やプログラミングを学んだときには「これを自分で発見するのは無理だ」と、教えられることの重要性を肌で味わった。ただ、その中にも発見はあると思う。私にとっては「自分で編み出すのは無理だから、先人の知恵を学ぶことは得である」という「発見」があったとも言える。
・ほか「意味の創出には危険な側面がある」という。「価値のないところに価値を見いだすような、お粗末な結論を出してしまう場合がある」というのだ。それがお粗末だと何をもってして結論づけるのかは難しいだろう。資本主義的には、「社会的価値のないもの」「誰にも評価されないもの」「誰の役にも立たないもの」かもしれない。ただ、世の中には「何の役にもたたない」と思われた研究や学習があとから評価された例もたくさんあり、「お粗末かどうか」を早々に結論付けるのはクリエイティブを阻む行為であるとも思う。「お粗末である」とは、いつ誰がわかるのだろうかという疑問が残る。
・「意味は支援のとっかかりにすぎない」という言葉は、まさにそうなのだろう。学習そのものではない。ただの入り口だ。だが、このモチベーションがなければ学習に向かうことはできない。意味があるだけではだめだが、意味はなければならない。足がなければ走ることはできない。
・次は<目標を持つ(Target))>。「何も考えずに学習してはいけない」「学習は偶然にできるものではない」という。アメリカの「サクセス・フォー・オール」というプログラムでは、目標を明確に定めて成功を納めているらしい。アメリカでは有名なのかもしれないが、この実体はあまりよくわからなかった。目標の持ち方は? 変更の仕方は? それぞれはとても難しい問題だと思う。重要性はよく語られているが、それは学習プロセスの一部であるということ。また、モチベーションとは離して語られているのがおもしろいと感じた。
・目標を持つ際に、自分がどこにいるかを理解することが重要で、そのためにメタ認知が有用であるようだ。「メタ認知とは思考についての思考のことで、広い意味では自分が物事をどう理解するかを理解することを指す」「学習に関しては、メタ認知はしばしば地頭の良さより重要だ」と書かれていた。我が子(男児ふたり)は「俺はこういうことをこう考える」とか「俺はこういうことを考えがちだ」とよく話しており、メタ認知は得意なように思うのでこの事実はうれしい。ただ、学習全体のネットワークをしらないので、どうにかして知る必要があるだろう。
・その次は<能力を伸ばす(Develop)>。「スキルを伸ばすには評価も重要だ」という。それは、今の状況を「見える化」するモニタリングしかり、他社からのフィードバックしかりだそうだ。これは、自分の位置を知る「メタ認知」と大いに関連している。目標があっても、自分の位置を知らなければ能力を伸ばすことはできない。
・ミスが大きなキーであるようだ。ミスから何かを学んだり、ミスを「だれでも起こること」と大きくとらえないことで、その先の成長が付いてくるということのようだ。能力を伸ばすためには実行(修練、練習)が必要で、うまく行くことばかりをしていても能力が伸びない、というのはスポーツで実感している。何度もミスをして、ようやくスキルがアップする。
・次は<発展させる(Extend)>。要約をして自分の言葉に置き換えたり、模倣してより具体的にすることで、「発展」をもたらすらしい。抽象化と具体化という全く別のアプローチだが、それに効果があるということは体感的にわかる。要約はメタ認知のようなものだし、具体化には「発見」がある。
・「学習を実際に応用すると、理解の空白に気が付く」とあった。それは、ものを作ろうとすると知らない部分に愕然とするということだろう。カエルの形を知っているつもりでも、カエルを描こうとすると描けない。それは、知らないことが余りにも多いという事実を私たちに気づかせてくれる。私はこういう応用はとても好きで、だからものづくりもとても好きだ。
・「自分とは違う人々に囲まれていると、人は自分の思考により厳しくなる。(略)外見が自分と異なる人々が周囲にいると、他人の行動の合理性を無批判に信じなくなる。他人のまねをするのではなく、自分の頭で考える傾向が高くなる」という話はおもしろかった。似た人と一緒にいるとあまり考えないというが、それはわかるような気がする。違いがあるとなぜ違うのか考えるからだ。
・その次は<関連づける(Relate)>。「学習効果を上げるには関係性を考える、これに尽きます」リッチランドという人は言う。1つのことを知るにも、近しいいろいろなものを読んで調べ、その関連性を気づくからだという。ここでも「気づく」という言葉。これは「発見」だ。自分で発見することが、学習を大きく前進させるのだろう。
・「アナロジーが人の学習を助ける最良の方法の一つである」と書かれていた。アナロジーとは、ものとものの関連性から類推すること。「この二つはどのように似ているだろう?」「どこが違うのだろう?」という問いが大きな意味をなすのだという。似ている部分と違いを探すことにより、それぞれのものへの理解が深まるのは確かだ。ひとつのものをただ覚えていても、そこから何かを発見することはできない。比べるものとその「問い」にオリジナリティが現れるのかもしれない。
・次は<再考する(Rethink)>。ダニエル・カーネマンは「私が魔法の杖を持っていたら何を消すかな? それは、過信だよ」と言ったそうだ。自分の知識などを過信しない人は、自分を常に疑うことになるだろう。それにより、もう一度考える。すべての知識を疑っていたららちがあかないが、そういう姿勢が大事だというのは腑に落ちる。
・また、人は「生産的に心を遊ばせる」ことに取り組むべきだと書かれていた。「しばらくプラスチックのブロックで遊んだ後では創造性テストの結果がよくなる」という。創造性の必要な作業に息詰まったら、ブロックや折り紙、そろばんなどで遊んでみようかと思った。
・まとめとして。「発見」というのは私にとって大きなキーワードだった。あらゆることに「発見(気づき)」が生まれれば、人は学習が楽しくなる。「今日の気づき」なんていう言葉はビジネス界隈ではよく聞かれるが、言い古されているにしても意味があるのだろう。何かを見つけること。それは人にとって大きな喜びなのだ。 -
「深い学び」というほどの深さは感じなかったが、学びへのアプローチで必要な観点についてはよく触れられていて、抜いてしまいがちなポイントのいくつかの再発見になった。複数回読むようにしたい本