- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862762573
作品紹介・あらすじ
世界は好きなように生きられるーーたとえ生まれたことが犯罪だったとしても
★2018/6/18 クーリエ・ジャポンに翻訳者記事掲載「米人気風刺番組『ザ・デイリー・ショー』のホストは34歳のアパルトヘイト経験者」
★2018/6/16 朝日新聞書評掲載「不条理な現実 笑いで解毒を」
★2018/5/9 書評メルマガ「ビジネスブックマラソン」で紹介
★2018/5/12 日経新聞掲載「社会の不条理を笑いに昇華」
存在そのものが「違法」。毛虫を食べる貧困生活。
壮絶な逆境をユーモアでサバイバルし、アメリカで最も有名な風刺ニュースの司会者になったノア。
「人生は不公平」なんて愚痴を吹き飛ばす涙と笑いの痛快な自伝。
――渡辺由佳里(洋書レビュアー、エッセイスト)
アパルトヘイトの時代に息子を信じ続けた母の愛。
コメディ界のスター誕生の背後にあった感動の実話。
人生最悪の日に起こった奇跡と、絆が育む勇気。
その時、笑いが未来を開き、生きる力そのものになる。
――茂木健一郎(脳科学者)
★ビル・ゲイツ絶賛、2017年「夏のおすすめ5冊」に選出
★NEW YORK TIMES 2017ベストブック
★Amazon.comで50週連続トップ10入り、4776レビュー平均☆4.8の圧倒的高評価! (2018/5/1時点、今も更新中)
★『ブラックパンサー』で注目のルピタ・ニョンゴ主演(母親役)で映画化決定
アメリカで人気風刺ニュース番組「ザ・デイリー・ショー」の司会をつとめる、注目のコメディアン、トレバー・ノア。
「分断」の騒がれるアメリカでユーモアによって新しい風を吹き込む存在として、注目を集めている。
アパルトヘイト下の南アフリカで、彼の人生は「黒人の母と白人の父から生まれた」という犯罪行為からはじまった。
政府の目をかいくぐって暮らした幼少期、生き抜くために上達したモノマネ、悪友たちとの闇商売、モテなかった学生時代の淡い恋……
不条理な状況をユーモアで乗り超えていく母と子の生き様を描いた物語。
感想・レビュー・書評
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南ア出身の人気コメディアン トレバー・ノアの自叙伝。傑作。アパルトヘイト下、貧困と差別の中での母親との暮らしを18のエピソードで綴る。副題は、アパルトヘイト下では、白人と黒人との性交は犯罪とされていたことによる。
白人でも黒人でもない著者の葛藤。信念を持って人生にポジティブに立ち向かう母親。南アの人種構成の複雑さ。アパルトヘイトの素顔。それらを含め、過酷な現実をユーモラスに語る凄さに感動します。著者と母親との丁々発止のやり取りも見逃せません。最後のエピソードが秀逸です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トレバーノアは決して裕福な家庭に生まれず、生まれた時から犯罪の証拠だった。黒人と白人の子供に生まれただけで。それでも母親は教育に力を入れた。会社によっては私立に入れさせてくれたり、食べ物より本に投資したり、英語を喋れるように勉強させたり。実際に今活躍してるのもそれが大いに影響してる。つまり教育の力がなければ今どうなっていたのだろうか。
トレバーはどの人種にも属さないことで学校に馴染めなかったが、南アフリカの貧富の差を利用し、金持ちの子供相手に走ることが得意だったことから並ぶビジネスをするようになった。その時も自分の身を守るために習得したいくつかの言語を使った。母親の投資から学んだのか、トレバーはその小遣いでパソコンを買った。それで新しいDJのスタイルからコメディアンの話がきて今に繋がる。
バスに轢かれそうになって逃げ回ったり、DJのパーティーで警察にパソコンを打たれたり、母親が実の父親に銃で殺されかけたり、波瀾万丈すぎる人生をこれからも歩むだろう。 -
ツイッターでバズっていた動画で著者を知りました。著者が、男性が弱さを語ったり表明したりできる様になる事の大切さや、有害な男性性について話す内容でしたが、聡明な人だなと興味が出ました。
著者は現在アメリカで番組の司会者をやってたりする売れっ子ですが、この本は彼が生まれ育ったアパルトヘイトの影響下での南アフリカでの体験や、進歩的な価値観で彼を育てた信心深いお母さんとのエピソードが語られています。アパルトヘイト政策については学校でも習ったけれども、私は全然「知らなかった」と痛感しました。実体験として語られるアパルトヘイト政策の卑劣さに衝撃を受けます。
映画化が決まってるそうですが、文章で読んだだけでも、お母さまの明るく力強い生き様には泣かされてしまいます。幸せに長生きして欲しい・・ -
779-N
閲覧 -
1990年頃までアパルトヘイトが行われていたことすら露知らなかったが,当事者として南アフリカで育った経験を元に書かれていたこの本は,とても勉強になった.
白人が現地民をコントロールするために,分断が起きるように一部の民族にだけ特権を与えたり,言語を統一しようしなかったりする対応をしていたことも,そういう効果があるのかと感心した.
一方で,見た目が違えど,同じ言語を使えば人は仲間に入れてくれようとする.それだけ言語というものは仲間意識を形成するのに重要なものなのだと感じた.
また,自分の仕事に照らして考えてみると,
自分が外国籍の人と話をするときに相手の言葉で話をしようとする努力がとても大事なのだということも理解できたし,同じ日本人でも相手の使う言葉は自分とは微妙に違っているので,出来るだけ相手の言葉を理解して使うようにすることが,距離を縮める秘訣なのだろう.
これを知って,ヴィトゲンシュタインの言語ゲームを思い出した. -
2021年8月
アメリカで活躍する有名コメディアンの南アフリカの家族の思い出。1984年生まれの著者の20歳過ぎくらいまでの話。
文章は常にユーモアを忘れないが、人種差別と女性差別という問題を鋭く描く。
帯など紹介文が"笑いで吹き飛ばす"といったニュアンスで書いてあることには違和感。著者は社会の不合理を笑いで昇華しようとは思っていないと思う。貧困から来る犯罪を個人の問題と解釈する富める者の無知を指摘し、貧しい者へは物質的な支援が必要不可欠であると説いている。
また子ども時代の思い出の、母親が夫(継父)に殴られ命の危険を感じて飛び込んだ警察署で結局警官(男)と夫が「やあ、こんばんは。まあよくある話で。まったく女ってのはなにをしでかすやら。ちょっとカッとなっただけなんですよ」と"男子会"ノリで話し出し、警察は自分たちを守ってくれないと恐怖を感じるエピソードは、今の日本の出来事だと言われても不思議はない。 -
長らく読みたい本リストに入ったまま放置してたけど、英会話の教材にさせていただいてるアメリカのTVショーのホストがトレバー・ノアで、「あれ?この人あの本の人じゃん」と思い出しようやく拝読幼少期の話と、母の話を知った上でいまの彼をみると奇跡を見ているようだし(それほどに悲惨な社会かあることを知らずに生きていた私はほんとうに恵まれてるなとも感謝するし)、日本ではあまり顕在化しない(見えない場所に蓋をされてる)人種差別を考える機会にもなった。また、訳も良い。ノアのもともとの軽快な語りをうまく受取った日本語だと思う。
彼が言葉を自在に使えるようになった経緯が印象的だった。語学学習をきっかけに知った彼の生い立ちにおいて「言葉」がいかに生き残るためのツールなのかというのを思い知る。英語一つにまだまだ苦戦している身だが、わたしはこの言葉を通してどう生きていきたいんだろうか…。いろいろ考えてしまう。