プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか

  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862762498

作品紹介・あらすじ

最強ビジネスモデルのすべてを解き明かす。Fecebook、アリババ、Airbnb…人をつなぎ、取引を仲介し、市場を創り出すプラットフォーム企業はなぜ爆発的に成長するのか。あらゆる業界に広がる新たな経済原理を解明し、成功への指針と次なる機会の探し方、デジタルエコノミーの未来を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • プラットフォームとは現代の計画経済と喝破する。1975年のノーベル経済学賞の受賞内容のとおりだ。

    計画経済の立案者が、人力では実現し得なかった完全情報による資源の適切配分を、適切な価格設定と共にアルゴリズムによって実現する、とのこと。

    ここでソ連経済を思い出されることになるとは驚きである。計画経済にも価格決定メカニズムは存在して、シャドープライシングと言われたそうだが、その価格決定メカニズムが市場経済より稚拙であったため、経済成長が止まった。

    今の日本における価格規制は如何。

  • ・プラットフォームは、取引費用を低下させることでユーザに大きな価値を提供する。取引費用には3種類ある。1つ目は探すコストと情報コスト。2つ目は、交渉コスト。3つ目は、執行コスト(ユーザの管理コストと言った方が分かりやすいかも。ユーザが適切な行動をするように管理するコスト。あるいは不正や悪事を防ぐコスト。)である。
    →プラットフォームは取引を製造する。

    ・交換型プラットフォームの代表例として、アリババやUber, AirBnBがあり、ユーザ間との直接的な取引を円滑化している。メーカー型プラットフォームの代表例として、iOSやアンドロイドの開発プラットフォーム、midiumやyoutubeのようなコンテンツプロットフォームがあり、ツールとインフラを提供している。前者は1対1または1対多のやり取りが発生するため、供給数に限界があり、需給バランスが大切だが、後者は提供数に限界がないことが、大きな違いだ。
    →系統的に考えた機会がなかったが、その2種類の違いを押さえておくことは大切。

    ・企業の価値を算出するものは、かつては
    サプライチェーンだったが、いまは、
    ネットワークのエコシステムだ。
    プラットフォームは社員や工場や倉庫と
    いった社内資源に投資するのではなく、
    消費者とプロデューサーからなる大規模な
    外部ネットワークを調整することで価値を
    生み出す。
    →プラットフォームの価値の源泉は、
    ネットワーク。

    ・プラットフォームをつくる難しさは、初期の頃ユーザがほとんどいないのに、ユーザに来てもらう必要があることだ。直線的なビジネスは早くから売り上げを出せるが、プラットフォームは、そうはいかない。

    ・ネットワークが拡大すると、プラットフォームの利幅が大きくなるので、市場が成熟すると、その業界を支配するプラットフォームは1つか2つに絞られていく。競合する2つのプラットフォームの間に、寛大さの入る余地はない。

    ・アリババは、イーベイと闘うために手数料を無料化して、勝利した。しかし無料化したため、マネタイズができず、商品検索時のアドでマネタイズすることにした。次の競合は百度となり、百度のクローラーを拒否し、検索エンジンを強化することで、最終的には百度にも勝利した。
    →プラットフォーム同士の熾烈な争い。

    ・今のプラットフォームは、「所有」によってではなく、「ユーザの参加」によって成功をおさめる。
    →面白い。

    ・プラットフォームは完全に新しいカテゴリーの豊かさを世界にもたらすことで、顧客に選択肢を与える。(ピーター・ティール)

    ・プラットフォームに挑戦する多くのスタートアップが犯す最大の失敗の一つは、あれこれやろうとしすぎることだ。初期のFacebookは、ごくシンプルなプロフィールしか作れなかった。こうしたシンプルさは、意図的なものだった。すぐに出来るのは、もっと友達を招待することだけ。重要なのは、あれこれ付け加えることじゃない。削ぎ落とすことだ。
    →大切。熱狂的なファンを作れるサービスじゃないと、新規参入が大変だし、その熱狂を軸とした展開ができない。

    ・Airbnbのネットワークを成長させるためには、どんなチャンスが必要か、気がついていた。大いに騒がれている問題に、大いに話題になる解決策をもたらすと宣言することだった。
    →チャンスは訪れるものではなく、明確に、意図的にデザインして、発見して掴み取るもの。

    ・ツイッター社の人の言葉。「私たちの仕事は、会ったこともない人たちから、最善の行動や最善の結果を引き出すインセンティブと逆インセンティブを作ることだった」

    ・成功するまで成功者のふりをしろ。
    →大切。サービス自体や代表自身で、自サービスをプロデュースして、マーケティングやブランディングを行っていく。
    ・わざわざゼロからネットワークを作るのではなく、すでにあるものを利用する方法がある。一番良いのは、既存の大きなネットワークに属するユーザグループを取り込むことだ。
    →例えばMRTは、東大医局の互助サービスから発展。
    ・Adyen(アムステルダム拠点)という電子決済サービス会社は、AirBnB, Uber,Yelp, Facebook, Dropbox, Spotify等のグローバルプラットフォーム企業に顧客を絞って展開している。決済は各国の金融の規制や決済構造によるところが大きいので、世界200カ国で支払いを受け取れるようにしている仕組みに価値がある。
    →こういう、影の立役者は良い。

  • いわゆる直線的ビジネスでB2B、上位顧客に依存するモデルで生きながらえている自社が、最近、プラットフォームビジネスに変革するのだと言い始めたので、ちょっと調査のつもりで手に取った本。
    プラットフォーム企業が今までの企業と何が違うのか?そして、プラットフォーム企業のコアとなる機能は何か?今生き残っているプラットフォーム企業はどの様な施策を取ってきたのか?が書かれています。

    本の作りとしては、主に米国のスタートアップを中心に上記の観点から分析がされていて、興味ある人には良いと思う。この本では、ベースとしてインターネットを活用して成功したプラットフォーマーにフォーカスが当たっているが、個人的には、インターネットに限らず、プラットフォームを築いて来た企業にも触れて欲しかった。あとは、企業の強さの指標として主に投資家に使われるエコノミックモートとの関係が気になった。エコノミックモートのネットワーク効果、ブランド、コスト優位性、乗り換えコスト、ニッチ市場と言った指標は、プラットフォーム企業にもよく当てはまる。

    さて、自社はプラットフォームビジネス変革出来るのだろうか?

  • 流行りのプラットフォーム戦略について、概要を学べる良書。

    全てのプラットフォーム関係の本に目を通したわけではないので、これが「ベスト!」と言い切れるわけではないですが、
    企業がプラットフォームを構築する際に必要なことが豊富な実例と共に説明されていて、
    その点でこの本の価値は非常に高いです。
    失敗例も多く、本の中のフレームワークに則って、著者なりの分析がなされている。
    多くのプラットフォームは、アメリカ発の事例なので、
    理解できないケースもあるかもしれませんが、
    アメリカの事例をあまり知らない自分でも、概ね理解できました。
    フェイスブックやツイッターなどの超有名プラットフォームに関する記載もあり、
    非常に参考になります。

    大まかな全体感だけでなく、豊富な事例含めて、
    プラットフォームを理解したい人にとっては、とても良い本だと思います。

  • プラットフォームに関する数ある書籍の中でナンバーワンだろう。たかだか20年だがインターネットとモバイルによりデジタルプラットフォームが再構築されつつある。
    もちろんこれからもプラットフォーマーになるチャンスはある。ただ歴史と基本原則を知らないと、次のチャンスを見逃すか掴んでも成長できない。
    レガシー企業の経営者はよくプラットフォーマーになりたいと発言するが、まずはこの本を読んでから改めて決意してほしい。

  • 生産者と消費者をつなぐことが、プラットフォームのメリット。プラットフォームは在庫を持たず、多くの生産者と消費者をつなぐことで、手数料をもらうビジネス。
    プラットフォームそれ自体は参入障壁は低いため、如何にして巨大なネットワークを作れるかがトップに立てるかを決める。だから、最初は登録料無料などで、多くのユーザを集めることから始まる。無料にするメリットとして、ユーザが集まらないと効果が出ない仕組みの場合、初期フェーズにおいてユーザ離れを防ぐためにもなる。例えば、ウーバーは、ドライバーが多くなればなるほど、待ち時間も減るし、運賃も減る。でも初期フェーズはドライバーが少ないので、待っても来ない、なんてことはざらにある。
    そして、多くの人が入ってくるので、悪質者を除く仕組み、評価機能は必須である。

  • ・プラットホームの何が成否を分けるのか様々な例を上げて紹介されてある。

    ・プラットホームの最大のリスクは現行の法令。業界初の本格的プラットホームは、法的なグレーエリアで活動することが多い。
    ★プラットフォームビジネスの機会を見つける方法
    1.取引コストを減らしてボトルネックを取り除ける技術を探す。
    2.複雑もしくは見過ごされているネットワークを探す。
    3.大規模で分断された未活用の資源を探す。

    新しいビジネスを立ち上げる際にいろいろ参考になると思う。

  • 2018年16冊目。

    自社本のため割愛。

  • プラットフォームが構造化されてて仕組みや要所がわかりやすいです。
    事例が多いので、知らない企業のパートは冗長的に感じてしまうかも

  • 登録番号:1027142、請求記号:007.3/Mo11

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