ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ 世界を変えてみたくなる留学

著者 :
  • 英治出版
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760470

感想・レビュー・書評

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  • 今年のマイベスト本に間違いなく入選です。この時点で。
    それくらい衝撃的に面白かった。

    官僚だった著者がハーバードケネディースクールに
    留学したときの体験記。
    前半は講義録、後半は海外でのインターン経験を
    著者が余すところなく綴っている。

    「答えのない問題に対してどう取り組むのか?」
    政治・NPO・ビジネス…あらゆる答えのない問題に対して、
    著者やその周りの学生や教授たちはどう考え、
    取り組もうとしているのか、自分も一緒に考えながら、
    ページを進めていくと、本当に留学している気分になっちゃいます。

    自分は、今まで「学校」という場所のことを、
    教えてもらうところだという意識が強かったように思いますが、
    本来は自分で何をどう学ぶか自分で見つける場所。
    そんなハーバードに留学してみたくなっちゃいます。
    ま、まずは、英語ですな。。

  • 本書は、日本の財務省若手官僚が世界各国トップクラスの社会人達が集うMPPプログラム(Master in Public Policy:公共政策修士課程)を学ぶため、ハーバード大学ケネディ校にて留学した2年間を大学の授業や留学中の様々な体験を惜しみなく綴った記録です。行間から著者の心意気や熱気が伝わってきて、好感が持てます。

    特に印象的だったのは第4章。
    「リーダーシップは教室で学べるのか?」の副題で、リーダーシップを学ぶ授業の様子が紹介されています。
    これが面白い!
    池田さんのブログで、その一部を読むことができます。
    講義中に先生が消えてしまうなどの型破りで奇想天外な授業の様子が、まさしくワークショップそのものでした(本書に登場するミュージック・エクササイズが凄い!)。

    ブログ「ハーバードケネディスクールからのメッセージ」より
    http://blog.goo.ne.jp/ikeday_1977/e/4558feb483b8abe90ba4a80140812d98

    当然ながらリーダーシップは、偉大なリーダー達の話を聞いたり読んだだけで発揮できるものではありません。
    ハイフェッツ教授は、「Authority(権威)」と「Leadership」を明確に区別し、地位や資質・能力を意味する「Authority」に対し、「Leadership is an action.」であるということを様々な形態の授業を通じて受講生に伝えようとします。

    既存の方法では解を見い出すことのできない課題「adaptive work」について、皆で考え、何とか新たな解を見い出すために必要な「学び(learning)」を続ける空間を、”問い掛け”によって作り出すこと、そして集団が持つ資源を課題解決に向けて結集するよう働きかけること、を「頭の上と下(both above and below the neck)をつかって考えてほしい」としています。
    やはり頭で理解するだけじゃ駄目なんですね。首から下、つまり身体でどれだけ考え、理解できるか。
    また、この授業の中で、リーダーに必要なこと、あるいはワークを通じて次のことが強調されていました。

    1)Create Holding Environment(安心できる空間を作る能力)
    2)Create Interaction with Audience(観衆と相互に影響し合う能力)
    3)Improvise(即興の能力)
    4)Listen(耳を傾ける能力)

    1)Stay with your audience(聴衆とともにあれ)
    2)Make each word count(一つひとつの言葉を大切にしろ)
    3)Allow to silence(沈黙を許せ)

  • ハーバードでの講義内容などが綴られている。正直内容は過去のものであり、ふーんと言う感じだが、大学院のカリキュラムなどがよくわかる。
    reflectionについては、忘れがちだが大事な行為だと思う。

  • 財務省の官僚がハーバード・ケネディスクールで公共政策学修士号を取得する留学体験記。

    まずなんといってもよくまとめられている。体験記というと日記のように、ただ単にあった出来事を書いていくように思うけどそうではない。授業内容を事細かに紹介している章があり、実際にアメリカの大学院で授業を受けている感覚になる。特にリーダーシップの章は秀逸すぎる。自己啓発本としての要素も含んでおり、留学そのものに興味がない人にとっても面白く感じられるのでは。

    もちろん留学体験記としても良書。あとがきでも書いているけど留学を限りなく「体験」できる内容。
    興味深いのは留学で得たもの。最後にまとめて記述されているが、語学力が上がったことが全く触れられていないこと。
    代わりに出てくるのは"自分らしさ"について。
    語学力UPが留学の目的ではないにしろ、非常に面白い。

  • 素晴らしい本でした。文句無しの5つ星です。できれば、もっと早く、大学1年生のころに出会っていたかったですね。
    学生の方には強くオススメします。
    この本を通して感じたことは主に3つあります。
    1つめは、自分の問題意識と重なって勉強になった、ということです。この本の著者は、「激変する現代社会の中で、政策を担うのは政府だけではないだろう。色んなアクターが公共政策に参加していくべきではないか」という問題意識を持って、ケネディスクールの門を叩きました。私自身も先日、「政府が信頼されないのはなぜか」というテーマで発表を行ったばかりで、その中で同じ問題意識に辿りつきました。そうした観点から本が読めたことはとても勉強になりました。
    2つ目は、視野が広がった、ということです。本一冊で視野が広がるなんて、と思うかもしれませんが、この本にはそんな力がありました。
    そしてそれを可能にしてくれたのが、3つ目の、自分が感じたことを表現するのが上手いな、と私に感じさせてくれた著者の能力だと思います。自由で、それでいて素直な表現は、私に著者のケネディスクールでの経験を具体的にイメージさせてくれ、自らが授業を受けているような感覚を与えてくれました。同時に、そんな素直な表現は私のボキャブラリーを豊富にもしてくれました。

    学生の内にこの本を読むことで、視野が広がり、これから先の学生生活でできることの選択肢を増やすことができると思います。
    またそれだけでなく、文中で著者が自分に対してする「問いかけ」の一つ一つを通して、読み手である読者自身もつい自分を振り返させられます。これから社会に出る学生という身分の内に、そうした自分の振り返りを行い、自分が社会に出て何がしたいのかを問わせてくれる、そんな力も本書にはあると思います。
    とにかく、オススメです。

  • 勧められて数ヶ月、ようやく読みはじめ、読み終わった!
    故ケネディ元大統領の名言"Ask what you can do for your country"を真摯に追求し、あえてパブリックセクターに留まって変化を起こそうという若手官僚の男性の留学レポート。力に奢らず、「雄弁な語り手ではなく思慮深い聞き手であること」。誠実に生きるということ。自分の襟元を正したくなるような、生きた経験を走り気味の文章で綴られている。
    授業で扱う様々な事例に対する思考プロセスも覗き見ることができるようで、そういう意味でも面白かった。

  • 文句なくおすすめ。

     低所得者の厳しい生活、高齢者の孤独死、それらを政府の責任だとする意見は多々見られる。
     また、政府なんて信用できない!という意見は私も含め多くの日本人の中にある共通のオピニオンだろう。

     そのような私たちと同じ問題意識をもった財務省官僚の一人が著した一冊。


     政府に全てを任せていいのか?リーダーシップとは何だ?そういった数々の疑問を一緒に考えるのがハーバードケネディスクール。
     アメリカドラマでよく目にするセントラルパーク、グラミン銀行で有名になったマイクロファイナンス、NPOと企業をつなぐコモンインパクト。。。等々、書を置き、世界へ出ようというテーマのもと訪れる様々な現場の話は非常に興味深い。

     また、政府保護の下目まぐるしい発展を遂げてきた日本と自由主義と言う名のもとに市民一人一人の力で発展を遂げてきたアメリカとの国民性の違いについても言及してあり非常におもしろかった。

     機会があればこういう留学もいいな。

  • なんか自分のモチベーションもUPしてくれる良書 日本と世界のギャップというか、自分の視野の狭さを 著者が経験してきた視点を通して、ビッと指摘される感じもする。 様々な社会問題に対する、行政・民間のそれぞれの取り組み方、 あるいは協調のあり方を、実践的で生々しいケーススタディと 世界中の有志による鋭いディスカッションを通じて学ぶ、 そんな学校が世の中にはあるようです。 民間でよく使うマーケティングの理屈・手法もフル活用。 この事実からして目から鱗。 日本人からしてみれば、ハコモノとやゆされる行政について 本当に真正面から突っ込んで取り組む姿勢に感服するかんじ。 世界は進んでいるのですね。 とにかく、何事も学ぶ、考える、議論する、そして経験するという すべてに前向きな姿勢が伝わってきて、好感が持てます。 インドやケニヤでのNPO法人活動に参加、カトリーナの災害地での ボランティア活動を通じて見た行政・NPO、人材・資金の諸問題。 これら実体験をレポートする形式で、論文などは出てきません。 著者の人柄か、霞が関のヒトの割にはとても文体も砕けていて 専門用語も丁寧に説明してくれてます。 著者のような人が多ければ、日本の行政・NPOも変わるのでは。 自分のやる気も刺激されます。

  • 世界の第一線の人々が大学という場所でどんなことを考え、活動しているのかを読者の視点に立った筆者が伝えてくれる。

  • 著者の友人チュン氏がハーバードに挑戦することを決めた理由
    「自分を鍛えるため」

    このチュン氏の言葉がもっとも心に残った。

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著者プロフィール

1977年タイ・バンコク生まれ。2001年に早稲田大学政治経済学部を卒業、財務省に入省。主計局、広島国税局、金融庁を経て2006年秋よりハーバード大学ケネディスクールに留学、2008年6月に公共政策学修士号を取得・卒業。以後、財務省国際局にて、世界金融危機への対応、世銀と日本の協働プログラムの企画・立案等の担当として活躍。2011年夏より世界銀行に出向。バングラデシュ現地事務所での2年間の勤務を経て、現在ワシントンの本部にて、世銀をより成果重視の機関とするための組織改革に従事。 公務の傍ら、「官民協働ネットワークCrossover21」を2001年に創設。官と民、営利と非営利、年齢や国境、あるいは前例や先入観等、様々な壁を乗り越える力を高め、社会問題解決に向けた協働のきっかけを創り出すための勉強会、討論会等を代表として多数主催。著書に『ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ――世界を変えてみたくなる留学』(英治出版)がある。

「2013年 『バングラデシュ国づくり奮闘記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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