不可思議国の探求者・木下杢太郎: 観潮楼歌会の仲間たち (星雲叢書)

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  • 短歌研究社
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862725608

感想・レビュー・書評

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  • 「短歌研究社」という版元なので自分には歯が立たないような専門的な短歌解説の本だったらどうしよう…という心配は、全くの杞憂だった。
    サブタイトル「観潮楼歌会の仲間たち」の通り、木下杢太郎の人生を観潮楼歌会の周辺人物との交流をメインに追って研究した内容。森鴎外や「五足の靴」から木下杢太郎に興味を持った自分にはまたとないテーマだったのだけど、これがもう、読みながら著者や版元に何度も感謝してしまうくらい、久々の知的興奮を感じた本だった。
    まず文章や構成がわかりやすいところが良い。本書の特徴として交友関係を手紙の頻度や日記の内容から抜き出して表にし、客観的に浮かび上がらせるというところがある。それが新鮮で、特に啄木や茂吉とのやりとりがとても興味深かった。
    読み進める内に浮かび上がる疑問などについてもとてもきめ細かく、決しておざなりにしない。平易な言葉で解説してくれて非常に好感が持てた。
    また木下杢太郎の研究については先達が多いということで(「あとがき」より)、本文中にも引用が多いのが印象に残る。だが研究者でもなければ高額な本や現在流通していない本のすべてに目を通している訳もなく、かえってこのような引用により次々と気になる本の存在を知ることができて大変参考になった。結果としてさらに木下杢太郎への興味が深まり、本書は自分にとって大切な1冊となった。

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