- Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862340245
作品紹介・あらすじ
二〇〇一年夏、パキスタンにいる友人から一本の電話がくる。この電話回線の先にあるのは、わたしの過去、まだ償いの終わっていない罪…。電話を切る直前、彼はふと思いついたようにいった。「もう一度やり直す道がある」小さい頃、わたしは召使いであるハッサンとよく遊んだ。追いかけっこ、かくれんぼ、泥棒ごっこ、そして凧あげ。わたしはちゃんとした学校へ通っていて、読み書きもできる。しかし、ハッサンは世の中の「真理」をすべてわかっているようだった。真理とは、愛や慈悲、そして罪、というものについてだ。十二歳の冬の凧合戦の日。ついにそれが起こる。記憶の底に決して沈めてしまうことのできない罪…。他人を救うことの困難さ、友情、愛、畏れについて深く考えさせる、アフガニスタン出身作家の鮮烈なデビュー作。
感想・レビュー・書評
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現在でもこんな物語があるのだ?と思った。悲しい話である。戦争が関係している。人の命を奪ってしまう。大切なもの、友人や思い出もなくしてしまう。
アミールとハッサン、とても仲の良かった二人であるが、ある時(凧上げで優勝)を境に、関係が変わった。アミールの自分に対する裏切りが原因である。そして時を同じくして、ソ連のアフガニスタン侵略がはじまる。アメリカに移民した、アミールとババ。進学し、結婚し、幸福な中でババは死を迎える。友人のラヒムカーンからの知らせで、ハッサンのことを知る。時間が子どものときに戻ったようである。だが、ハッサンと妻はすでに死んでおり、息子が一人いる。そしてハッサンはアミールと異母兄弟であったことを知る。息子のソーブラを引き取り、アメリカに帰還するが、信頼を取り戻すためには、まだ時間がかかりそうだ。
物語は淡々と進む。場面展開は速いと思う。また、華美な装飾もなく、的確な状況が良く分かる文章である。前半部分は、どうして?という疑問。どうして愛さない(ババから)。ハッサンの信頼を得ているのに応えられない。ババが他界し、アフガニスタンに戻ると、状況は変わる。思わず、どんでん返しの繰り返しての大転回、目が離せない。そして、悲しくもあり、少しの希望が見えた結末。もっと早くそうして欲しかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アフガニスタンの話。
暗く深い海の底を漂っているように感じる。
息苦しさで涙が止まらない。
この本に出会えて良かった。
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カーレド・ホッセイニ『カイト・ランナー』を再読。
時が経っているとはいえ、重要なエピソードすら忘れていて、読み進めながら「あーっ、そうだった~!」と、何度もうなずく始末 -
二〇〇一年夏、パキスタンにいる友人から一本の電話がくる。この電話回線の先にあるのは、わたしの過去、まだ償いの終わっていない罪…。電話を切る直前、彼はふと思いついたようにいった。「もう一度やり直す道がある」小さい頃、わたしは召使いであるハッサンとよく遊んだ。追いかけっこ、かくれんぼ、泥棒ごっこ、そして凧あげ。わたしはちゃんとした学校へ通っていて、読み書きもできる。しかし、ハッサンは世の中の「真理」をすべてわかっているようだった。真理とは、愛や慈悲、そして罪、というものについてだ。十二歳の冬の凧合戦の日。ついにそれが起こる。記憶の底に決して沈めてしまうことのできない罪…。他人を救うことの困難さ、友情、愛、畏れについて深く考えさせる、アフガニスタン出身作家の鮮烈なデビュー作。
原題:The kite runner
(2003年) -
号泣
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久々に「小説」を読んだ。久々に心を打たれた。中東、イスラム、アフガニスタン、これらを上辺でなく、根底から理解するのには最適の本だと思う。映画もぜひ観たい。
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今 現在も 現実に この小説の様な出来事が
起こっていると思うと 胸が締め付けられる思いでした。
平和な日本に、偉大な先人に 改めて感謝すると共に
「平和な世の中」こそ、
自分たち現役世代が 未来へ引き継ぐべきモノだと
強く感じました。 -
訳した人に感謝です。
ただ、文庫のほうの題名はいかがなものかと思います。 -
後に映画「君のためなら千回でも」となった作品。
アイロニーに満ちたアフガニスタンのお話し。
罪を悔い善行を積む、深いお話し。
巧みな話の構成、和訳も全く違和感なく、最後まで一気に読めました。
途中、wikiで調べながら読むのも面白いです。
ムジャヒディン、タリバン、ソ連侵攻、イスラム教とその宗派、近隣諸国の関係、ムッラーナスルディン(笑)、いろいろ詳しくなりました。 -
重い。カブールが豊かだったとか知らなかった。物語だとストレートに響く。凧の話が印象的。映画のブラッドダイヤモンドを思い出した。孤児、少年兵とか、戦争は弱者にしわ寄せがくる。今の日本に生まれただけで、怯えずに生きられるのって本当に感謝だ…。