ごみ収集という仕事: 清掃車に乗って考えた地方自治

著者 :
  • コモンズ
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本棚登録 : 228
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861871504

作品紹介・あらすじ

若手研究者が新宿区内で9カ月間にわたって、ごみの収集を中心に清掃指導や環境学習などを体験。
それに基づいて、過酷な清掃という仕事の奥深さ、日があたらない場所で真摯に働く職員の姿、歌舞伎町や新宿二丁目のごみ事情、民間委託の問題点、そして本来の地方自治のあり方について論じる。

感想・レビュー・書評

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  • 何よりもこの仕事やその仕事の周り、働いてる人々の雰囲気や考え方、環境を追体験できるという本の作りは素晴らしい。最後の章は視点がぐぐっと変わって、この半世紀の地方行政改革の流れの俯瞰とその清掃事業への影響、そして筆者の想いが込められてる。

    小学校の頃から見学したり話聞いたり、もちろん毎日見かけるいうと身近な存在だが、実のところ彼ら彼女らがどういう人なのかよくわからない。この本で少しわかった気になれた。

    筆者個人の考え方も所々に散りばめられていて、それらには賛同できないところが多かったものの、それは個人の意見として書かれてるだけなので特に気にならなかった。

  • ゴミ収集員の日常作業の内容と実際に起こる問題やクレーム事例等。
    一般廃棄物の現状が書かれている。
    仕事上、勉強の為読んだが通常通り可もなく不可も無くというところか。

  • 読みやすいし、よくまとめられている。

  • 新型コロナウイルス感染症の流行がなければ、essential workerという言葉を知ることもなかっただろう。ごみ収集の仕事に携わる人は、まさに「欠くことのできない働き手」だ。ごみを一つの袋に詰め込みすぎると、重くなって、ごみ収集車に投げ入れるのが大変になるし、腰痛の原因にもなる。その一方、小さいごみ袋に小分けにしすぎると、ごみ収集車に投げ入れる回数が増えて、それはそれで手間がかかる。収集してもらう以上、ごみ出しの決まりを守ることは当然だと思っていたが、ごみ袋の重さや大きさまでは考えが及ばなかった。どこの自治体でも、経費削減のためにごみ収集作業の民間委託を進めているらしいが、よいことばかりとは思えない。2018年8月26日付け読売新聞書評欄。

  • 地方自治を専門とする学者が清掃の仕事に実際に携わり、その実地ルポと地方自治の現在を伝えるもの。
    著者が業務に携わったのは新宿区。偶々そこに住んでいただけという住民が多くいるであろう場所だけに課題は散々。
    しかし、自分自身を振り返っても、清掃など市町村の身近な業務は不足なく回っていれば不満もなく、特段意識もしなかった。所詮は五十歩百歩だ。
    今まさに新型コロナ危機の真っ最中。最前線に立っているであろう保健所、地公体の役割、自治のあり方に改めて思いを馳せることができた。

  • お笑いの仕事をしつつゴミ収集業務に携わっているという芸人さんをテレビで見て興味を持ったところに、図書館でこの本を見つけて読んでみた。
    現地調査を研究スタイルとする研究者が、ゴミ収集の現場で実際に働いて書いた本。学術書と一般書の中間くらいかな。前半は自分が体験した仕事のルポや働いている人たちへのインタビュー。終わりの方は廃棄物政策や地方行政の問題点の指摘で、法律の条文など固い記述が多くなってちょっと難しい。
    実際に働いて書いただけあって説得力があり、前半だけでも読む価値がある。ゴミ収集に携わる人たちに感謝したいし、こういう仕事に自分の税金が投入されているのであれば、納税者として本望だ。

  • 「ノンフィクション」というジャンルではなく、
    学者が地方自治の実態を知るための手段として
    ごみ収集作業員になり、それをレポートした内容
    をまとめた本です。

    前半はそのルポの内容が非常にリアルで、まさしく
    ノンフィクションとしての真骨頂が発揮されて
    います。

    後半はそれらの業務を一部民間業者へ外部委託
    していることによる弊害など、学者目線での提案
    が取りまとめられています。

    なので、リアルな現場というよりはゴミ収集という
    システムをどう考えるべきか、という論調を定義
    する一冊です。

  • 過酷な環境下で頑張っているという事実が良くわかります。現場の人たちの苦労を考えると、捨てる側も最低限のルールを守らなければと思います。そして減らす工夫を社会全体で考えなければなりませんね。各自治体により収集システムが違うとは思いますが、今後の労働力不足を考えると早急な待遇改善をお願いしたいです。

  • どの仕事も楽なものはなく、プロとしての誇りとやりがいが支えとなっていると感じた。データ解析のような部分があり、随分飛ばし読みした。というか、大半飛ばした。すいません。

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著者プロフィール

大東文化大学法学部准教授
広島県福山市生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了(博士(政策科学))。行政管理研究センター客員研究員を経て大東文化大学法学部に着任,現在に至る。『住民参加の現場と理論――鞆の浦,景観の未来』で2014年度自治体学会研究論文賞受賞。
主な業績に,『ごみ収集という仕事――清掃車に乗って考えた地方自治』(コモンズ,2018年),『住民参加の現場と理論――鞆の浦,景観の未来』(公人社,2013年),『政策と地域』(共編著,ミネルヴァ書房,近刊),「『技能労務職員の定員管理の適正化』の適正化――東京23区の清掃職員を事例として」(行政管理研究センター編『季刊行政管理研究』No.164,2018年,所収),「地域運営組織と『外部』人材」(後藤・安田記念東京都市研究所編『都市問題』Vol.108,2017年,所収)など。

「2020年 『アイルランドの地方政府』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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