- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861827778
作品紹介・あらすじ
世界的科学者から、未来の世代へ。
人類滅亡を前にして、科学は何ができるのか?
各界の著名人、激賞!!
ロジャー・ペンローズ(数学者・宇宙物理学者)「非常に重要で、広く読まれて行動の指針とされるべき本」
イーロン・マスク(スペースX社、テスラ社CEO)「地球と宇宙の未来についての説得力あるヴィジョン」
エリック・シュミット(Google元CEO)「未来がどうなるかを知りたいなら、この本が答えにいざなってくれる」
『エコノミスト』「社会における科学の重要性を論じるのに、マーティン・リースほど優れた代弁者はいない」
『ガーディアン』「人類が今後100年を生き延びられるかを探るこの本に、ぞっとしながら魅了される」
『フィナンシャル・タイムズ』「重大な、しかもたいてい恐ろしい問題の数々を、きわめて読みやすい軽妙なタッチで論じる芸当を見せてくれている」
感想・レビュー・書評
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宇宙物理学者の視点で、地球の未来に関しての様々な心配事や、こんな未来が来るんじゃないかなぁ・・といったことが書かれている。面白いのは「専門家が予想する未来はこうなる!」みたいな強い言葉で不安を煽るのではなく、「多分こうなっちゃうけど、天体としての地球目線で見ると大したことじゃない」という宇宙的な考え方が入る点。「地球は太陽のエネルギーが尽きたら最終的には滅ぶ」という考えが根底にあるので、今現在の人間がやってることなんて大したことじゃないように感じる。遠い未来に「人類」と呼ばれているものは、本当に今の人類の延長線上にある生物なのか? みたいな考え方が、へんな自己啓発本を読むより、ずっと心地よかった。
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面白いところは、宇宙の話まで含んでいること
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読了感としてはフワフワとした感じで、あまりすっきりしなかった。
著名な宇宙物理学者が未来を語る、と言う訳だがもちろん未来の事はわからないし、断定も出来ない。ここでジャーナリストなどが著者ならひたすら危機を煽って来るが、この著者は良くも悪くも楽観的。このスタンスは良かったが、ちょっと地につかない感じがして読みにくかった。
宇宙の誕生からこれまでと現在の地球。たくさんの奇跡的な確率で成り立っている。この未来がどうなるかわからないが、少しでも良い方に進むよう、一人一人が意識して行こうと言う事なのだろう。 -
イギリスの宇宙物理学者であり英国王室天文官であり元ロンドン王立協会会長でもある著者。序章を読んだら[星を継ぐもの』のハント博士を思わせてくれるワクワクだったんだけど、読んだらあまりワクワクしなかった。。。
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人々の繁栄は、科学とテクノロジーが、どんな知恵を用意できるかにかかっている。食糧問題や気候変動など、問題を抱える地球と人類の未来を、科学的な見地から読み解いた書籍。
現在、およそ76億人の世界人口は、2050年までに90億人前後になるという。現代の農業技術なら、その数を支えるだけの食料供給は可能。しかし、食料生産に必要なエネルギーや水には限りがある。
大気中の二酸化炭素は、太陽光の熱を地球の大気内に閉じ込める働きをし、濃度が上昇すると温暖化を誘発する。気候変動に関する国際的専門組織は、二酸化炭素の年間排出量が今後も上昇すれば、極端な気候変動が起こると予測している。
地球温暖化による平均気温の上昇が、危険な「臨界点」を超えないために、どう行動するか。これを決めるのは倫理的な問題。すなわち、将来の世代のために、自分たちの満足をどの程度まで抑えるべきか、ということ。
2011年、欧米の研究グループが「H5N1亜型鳥インフルエンザ」のウィルスをごく簡単に、より有害にできることを実験で示した。だが、こうした実験は、ウィルスが誤って放出される、バイオテロリストに悪用されかねないなど、リスクが大きい。
コンピューターが囲碁の世界王者に勝つなど、機械学習の可能性は大きい。だが、機械がどう判断するか正確にはわからず「バグ」があってもそれを突きとめられる保証はない。
システムの判断が、個人にゆゆしい影響を及ぼす恐れがある。
今や世界は、電力や航空、金融など、様々な分野で精巧なネットワークへの依存を強めている。これらのネットワークは支障が生じた時、すぐに復旧できないと壊滅的な事態を招く。 -
BTとAIを中心に可能性と脅威を論ずるが、風呂敷を広げすぎな印象。
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2100年に小惑星が地球に衝突する可能性が10%ある場合、残りの90%の可能性と将来の技術進歩に期待して、50年も危機を棚上げにできるだろうか?
直ちに行動を起こし、小惑星の軌道をずらすか、衝突の影響を軽減する方策を見つけようと最善を尽くすはずだ。
いまの気候変動に対する取り組みがこれと同じで、できるはずのことと実際になされることのあいだには悲しいほどの落差がある。
本書の一貫したテーマは、この技術的に望ましいことと実際になされることのあいだの埋まらない溝や、潜在的可能性と実情とのギャップをどう埋めるかを問うている。
「地球規模の脅威に対処するには、今以上にテクノロジーが必要だ」とかや、「私たちはこれからも科学とテクノロジーに楽観的であるべき」で、「進歩にブレーキを踏むべきではない」という著者の意見を読むと、今日の脅威の一端が行き過ぎた科学技術の結果ではないかと反駁を覚えたが、最後まで読んでいくと腑に落ちる。
科学ほど国境を超えて普遍的な学問はない。
脅威に対処するため、自然に対する理解をもっと深めるためにも科学の力が必要だ。
「ある種のテクノロジーを加速させながら、別種のテクノロジーを責任を持って抑制」することが鍵となる。
第3章からますます面白くなる。
「逆説でも何でもなく、全体は部分より単純だったりする」のだ。
ゆえに、身近にある悩ましい問題を後回しにして、遠い宇宙のことをわざわざ理解しようとすることには意味がある。
この他にも逆説的だが、「最もよく理解されている現象のいくつかは、宇宙のとても遠いところで起こる現象」だ。
宇宙物理学者であり、英国王室天文官でもあるためか、時間軸でも空間軸でも、凡人の発想を超えている。
「人間は原子よりも星よりも複雑である。この宇宙で最も複雑なものは人間の脳である。思考と記憶は遺伝子よりもはるかに複雑」なのだ。
「脳は細胞の集まりであり、絵画は顔料の集まりだ。しかし重要かつ興味深いのは、それらのパターンや構造であり、言い換えれば、それらの創発的な複雑さだということになる」。
本書でも、新しいテクノロジーに関する福音伝道者を自称しているように、科学技術に対する深い信頼と、その進歩への楽観は、揺るぎないものがある。
「自然界にはパターンがある。さらに私たち人間がどう行動するかにもパターンがあり、都市の成長や、疾病の広まりや、コンピューターチップのようなテクノロジーの発達にもすべてパターンがある。私たちが世界を知れば知るほど、世界を見て悩むことは少なくなり、それだけ世界を変えることができるようになる」。