文学はおいしい。

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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861827198

作品紹介・あらすじ

日本の食と文学への愛を凝縮した珠玉のエッセイ。料理挿絵(カラー)100点【日本食の文化史もよくわかる】

感想・レビュー・書評

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  • 食べ物や飲み物が作品の中心に出てくる小説・エッセイ、詩、短歌、俳句などの紹介100選。
    目次を見るだけでたくさんあってまぁビックリ。
    作品に登場する意味や、日本にいつ頃からあったのか、どの時代に伝来したのか、ルーツや歴史まで触れている。食べ物という側面から文学作品を知るという、ちょっと面白い企画だ。

    共同通信社配信企画として全国新聞に連載していたものをまとめたもので、書き手の小山さんは編集・論説委員さん。
    どの作品にもハルノ宵子さんの挿絵が描かれていて、実際に作って描いたかのような、美味しそうな絵ばかり。
    妹さんの吉本ばななさんがトップに登場して、大ラスはお父様の吉本隆明さん。
    どうやらお料理好きなご家族だったらしい。

    有名なところは、漱石の羊羹大好きの話(草枕)、森鴎外の饅頭のお茶漬け(森茉莉 記憶の糸)、宮沢賢治のトマト(黄色いトマト)、太宰治のトンカツ(グッド・バイ)、角田光代の素麺(八日目の蝉)、佐藤春夫の秋刀魚(秋刀魚の歌)などだろうか。
    中3の国語に登場する三浦哲郎の海老フライ(盆土産)もある。
    どんな場面で出てくるか、それがどんな効果を出しているかも説明されている。
    「物語の旅」のレビューの冒頭に書いた阿佐田哲也が、本名の色川武代で銀シャリの山盛りを食べている。たいそうな大食漢だったようだ。

    ブク友さんにファンの多い池波正太郎の「根深汁」は、レシピまで載っている。
    剣客商売の秋山親子や鬼平の長谷川平蔵もこれが好きだったという素朴な料理だ。
    要は「ネギのお味噌汁」のことで、日本書紀にもネギは記載されているらしい。
    池波さんの作品のファンの方、登場人物になりきって(笑)作ってみてはいかが?

    一番印象的なのは吉本隆明さんのネギ弁当(わたしが料理を作るとき)だ。
    職なし・金なし・着の身着のままで奥様と暮らし始めた頃の、四畳半での思い出のご飯。
    「美味しく、ひっそりとして、その頃は愉しかった」と書いている。目に見えるようだ。
    そんな吉本家推薦の焼き蓮根が出てくる(開店休業 親子共著)。
    焼き網の上で蓮根をひと節ずつ芯に火が通るほど焼く。
    湯気が立っているうちに薄く輪切りにして、お醤油を垂らしてご飯のお供にする。
    これは私もやるけど、すごく美味しい。ついでに長芋でも美味しい。お薦め。

    食文化の歴史はその時代の影響をモロに受けるものだが、やはり思い出の味は生涯忘れないものだ。私は何だろう。読み終えてから考えている。
    まさに[文学はおいしい]のだ。お好きな作家さんの作品から、食べ物を作って味わうも良し、楽しみ方は色々。お好みの作品&味が見つかりますように。

    • goya626さん
      ううむ、食指がうごきますねえ。小山哲郎さんは、白川静さん関係の漢字の本も出していますね。
      ううむ、食指がうごきますねえ。小山哲郎さんは、白川静さん関係の漢字の本も出していますね。
      2020/06/18
    • nejidonさん
      goya626さん、こんにちは(^^♪
      面白そうでしょう?ええ、面白いのです・笑
      他の方のレビューも読みましたが、皆さん気になるところが...
      goya626さん、こんにちは(^^♪
      面白そうでしょう?ええ、面白いのです・笑
      他の方のレビューも読みましたが、皆さん気になるところが違っていました。
      私はばななさん一家にターゲットを当てましたが、goya626さんはどうなるのでしょう。
      それを知りたいです。
      ぜひぜひどうぞ!
      2020/06/18
  • 小山鉄郎 著&ハルノ宵子 画「文学はおいしい。」、2018.9発行。幸田文「流れる」コロッケ、「おとうと」鍋焼うどん、芥川龍之介「蜜柑」蜜柑、佐藤春夫「秋刀魚の歌」秋刀魚、太宰治「津軽」ハタハタ、川上弘美「センセイの鞄」蛸しゃぶ、三浦しをん「まほろ駅前狂騒曲」ナポリタン、向田邦子「きんぎょの夢」おでん、林芙美子「放浪記」アンパン、黒井千次「高く手を振る日」焙じ茶 など。

  • 読むとお腹が減ってきてしまうのでやむなく積読。飯テロ本です。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 食べ物の話しは、大好きです。
    坂口安吾のラムネには、小林秀雄や三好達治がわやわや言ってるし、コレラで大流行したり戦争で必要になったりラムネからフグやキノコ、文学までおよぶ考察が安吾の思考だ。
    と、
    挿し絵も素敵。文章のまとめ方も好き。

    「美酒佳肴の歳時記」森下賢一
    と並んでいます。

  • 2021年4月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00543805

  • 文学を通しておいしいものの話が書いてあって楽しかった。

  • ここ何年かライトな文芸や漫画で「グルメ」にスポットが当たっているが、
    スポットが当たっていなくたって物語で重要な役割を果たしてきた料理がこんなにもあるのかと思い返された。
    何よりあたたかみのある挿絵が良い。絵を見て小説に入り込んでいく感覚は不思議。

  •  文章は小山鉄郎さん。新聞記者なんだけれど、いや、だからか、新聞に載せたコラム。ハルノ宵子さんは漫画家。一部の人には吉本隆明のお嬢さんの方が有名かも。
    小山さんは、村上春樹論とか書く人で、白川静の紹介の本もたくさん書いている。多分小説とか読むのが好き。武田百合子さんの「富士日記」、武田泰淳の山荘暮らしの日記ね、から「松茸」を探してくるなんて、えらい。それに、ハルノ宵子さんは、写実みたいで、やっぱりマンガっぽい挿絵を描いてる。お暇な方にはピッタリ。

  •  目次を開くと、まるで何処かのお店の品書きを見ているようだ。その数100種類。小説・エッセイなどに登場する食べ物、飲み物の食の歴史、それらが作品に使われた意味、簡単な作り方やレシピまで挿絵とともに綴られている。
     ちなみに、角田光代『八日目の蝉』の作品の章では、「どんな人間にも、生きている価値があるということだろう。素麺の切れ端・ふしのおいしさは、希和子の人生と思いの象徴だろう。」…と本書で語られている。

     サンドイッチの章で、宮本輝『水のかたち』に登場するキュウリのサンドイッチが、書かれていないのが残念。

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著者プロフィール

著者略歴

小山鉄郎(こやま・てつろう)
1949年、群馬県生まれ。一橋大学経済学部卒。共同通信社編集委員・論説委員。村上春樹作品の解読や白川静博士の漢字学の紹介で、日本記者クラブ賞受賞。著書に『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』『白川静さんに学ぶ 漢字は怖い』(共同通信社・新潮文庫)、『白川静入門 真・狂・遊』(平凡社新書)、『村上春樹を読みつくす』(講談社現代新書)、『村上春樹を読む午後』(文藝春秋、共著)、『村上春樹の動物誌』(早稲田新書)、『大変を生きる―日本の災害と文学』『文学はおいしい。』(作品社)『あのとき、文学があった―「文学者追跡」完全版』『白川静さんに学ぶ これが日本語』(論創社)など。
2009年から白川静博士の業績を学ぶ同人会「白川静会」の事務局長を務めている。

「2021年 『白川静さんに学ぶ 漢字がわかる コロナ時代の二字熟語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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