カズオ・イシグロの視線――記憶・想像・郷愁

制作 : 荘中 孝之  三村 尚央  森川 慎也 
  • 作品社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861827105

作品紹介・あらすじ

幼年時代の日本での記憶とイギリスでの体験をもとに、独特の世界を構築するイシグロ。気鋭の英文学者らがノーベル賞作家の全作品を時系列に通観し、その全貌に迫る。

 本書のタイトルは『カズオ・イシグロの視線――記憶・想像・郷愁』である。デビュー作の書名『遠い山なみの光』(原題A Pale View of Hills)にもその語が見られるように、イシグロは遠くを見晴るかす眺め(view)に強く惹かれている。そしてそこに向けられる視線が、物理的に離れた場所だけでなく、時間的な隔たりの彼方にある過去をもとらえようとするものであることは、彼の作品群の随所から理解されるであろう。その原点にあるのが、五歳の時に離れながらもつねに彼とともにあり続けた日本であることは明らかだが、自分自身でしばしば強調するように、懐かしく回想される日本は記憶と想像の入り交じった、独特の世界なのである。本書の各執筆者はそのようなイシグロのテクストに寄り添いながら、彼の視線とその先にあるものをとらえなおそうとしている。――本書「まえがき」より

感想・レビュー・書評

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  • 図書館流し読みだけど記録
    語りの構造と視点のはなし、風景がもたらす効果のはなしなど
    日の名残り面白いテクストだなー

  • 『日の名残り』関連のふたつの論考のみ読んだ。

    斎藤兆史「『日の名残り』というテクストのからくり」
    なぜスティーブンスの嘘は読者にばれるのか。地の文での語りとほかの登場人物の発する台詞の内容が食い違うからだが、ではなぜ読者は会話を真実と信じ、地の語りを疑うのか。

    金子幸男「執事、風景、カントリーハウスの黄昏 –– 『日の名残り』におけるホームとイングリッシュネス」
    ナショナル・アイデンティティ、風景、スティーブンスの「ホーム」および新たなアイデンティティ探しの旅について。

    スティーブンスの凋落があまりにもくっきりしてしまい、こんなに悲しい話だったのかと愕然としてしまった。スティーブンスはお屋敷と抱き合わせでファラディさんに買われたようなものなのね。

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