ドイツ軍事史――その虚像と実像

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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861825743

感想・レビュー・書評

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  • 事実の追求よりも戦訓を引き出すことに力を傾けた日本陸軍のアプローチ、社会史との関連で軍事史を扱う「広義の軍事史」のアプローチ双方から距離を置きつつ、戦略や戦争決定過程などに焦点をあてる「狭義の軍事史」を目指している。題材は多くが第二次大戦時のナチス・ドイツの動向、特に独ソ戦から取られているが、まず第1章で特に第二次大戦の戦史研究におけるイデオロギー的偏向を批判し、学問的な戦史研究の必要性を説いたのち、第2章で18世紀から第一次大戦までのプロイセン・ドイツ軍の歴史を追い、そののち第3・4・5章で第二次大戦時のドイツの軍事や開戦決定に関わる政治のプロセスが記述される。その意味で、論文集の体裁をとっているとはいえ、近代ドイツ軍事史の通史とも言えるような好著だと思う。

  • ドイツ軍事史本だが、第二次世界大戦が中心

  • コマンドマガジン連載コラムを同人誌として4冊販売されていたものに修正を加え1冊にまとめた書籍です。
    同人誌版を揃えましたが書籍版では追加された物もありましたので購入しました。
    大変読みやすい文体に資料をしっかり提示して展開される為に理解し易くまた楽しく読めます。
    フリードリッヒ大王からWW2までがその題材です。独ソ戦の様な大変メジャーなお話から収容所でのドイツ高級将校のお話まで幅広く扱われておりどこから読んでも楽しめると思います。
    より深い話が必要な方は自分で海外文献などを当たれば良いのです。本書籍の対象はウォーゲームプレイヤーであり歴史研究家ではありません。そこを履き違えてはいけません。
    大木氏は防衛庁 陸上自衛隊幹部学校講師でもありますのでそこら辺のミリオタとは違うことを理解しておくべきでしょう。

  • 軍事

  • 18世紀から第二次世界大戦の敗戦までのドイツの軍事史をさまざまな文献を参照して解説した図書。歴史研究における一次史料の扱い方や検証方法などは、はじめて知った。読み物としても楽しめる。誤字が少しある。

  • 大モルトケのエピソード。「もっとも、軍人に憧れていたというわけではなく、賭けが苦しくなっていたから士官学校に入るよりほかに教育を受ける道がなかった」「本当は考古学を専攻し、大学教授になりたかったというのが、彼の打ち明け話である」
    (p105)というのは、銀英伝のヤン・ウェンリーのエピソードの元ネタなのかと思った。

  • コマンドマガジンに掲載されていたプロイセンやドイツ第三帝国の記事や戦史エッセイを収録した書籍(2016/03/30発行)。

    本書、期待していた程の加筆も無く、今となっては驚くような新事実もありません。 多少なりとも英語が解ればインターネットの発達した現在では、本書で触れていることは意外と普通に収集出来る話ですので、個人的には今更感を強かったです。
    出来ればもっと大幅に加筆した記事や戦史エッセイが読みたかったので残念に思いましたが、特に悪い内容でも無く個人的には普通でした。

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著者プロフィール

現代史家。1961年東京生まれ。立教大学大学院博士後期課程単位取得退学。DAAD(ドイツ学術交流会)奨学生としてボン大学に留学。千葉大学その他の非常勤講師、防衛省防衛研究所講師、国立昭和館運営専門委員等を経て、著述業。『独ソ戦』(岩波新書)で新書大賞2020大賞を受賞。主な著書に『「砂漠の狐」ロンメル』『戦車将軍グデーリアン』『「太平洋の巨鷲」山本五十六』『日独伊三国同盟』(角川新書)、『ドイツ軍攻防史』(作品社)、訳書に『「砂漠の狐」回想録』『マンシュタイン元帥自伝』(以上、作品社)など多数。

「2023年 『歴史・戦史・現代史 実証主義に依拠して』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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