はじめての絵画の歴史 ―「見る」「描く」「撮る」のひみつ―

  • 青幻舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861526848

作品紹介・あらすじ

現代の巨匠、ホックニーが贈る!
“アートを知る喜び"に出会う画期的入門書!


洞窟絵画からモナリザ、浮世絵、写真、コンピューターグラフィックスまで、
古今東西のアートに隠された表現の情熱、視点の変化、影響の受け方、道具の発明……
アートをもっと自由に楽しめるヒントの数々を、かわいいイラストとともに、
ホックニーとマーティンが語り言葉でナビゲートします。

●ダ・ヴィンチ、歌川広重、ゴッホ、モネ、ピカソ……約50人のアーティストの図版約70点を掲載。
●一目でわかる「年表」「用語集」「索引」つき。


2019ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア ニューホライズン賞受賞

感想・レビュー・書評

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  • 同名タイトルの本を読む気でいたけど、図書館の蔵書にあった絵本版が気になったので借りてみた。
    絵本と言いながらも文字数は多いが、結果こちらスタートで正解だったかも。

    デイヴィッド・ホックニー氏(世界的な現代芸術家らしい。恥ずかしながら読むまで知らなかった…)とマーティン・ゲイフォード氏(芸術評論家)が「絵」の歴史について、各章のテーマに沿って対談する。
    対談であると同時に、テーマに沿った名画と鑑賞するポイントを探っていくという、まるでワークショップのようなスタイル。
    巻末には用語集や絵にまつわる発明品の(これまたラブリーな)年表が掲載されている。

    ホックニー氏らが示す鑑賞ポイントも、独特というか芸術家ならではだ。
    「絵の中で物語を物語るのに、空間をどう使うのか」「筆やペンでつけた”しるし”を、どうやって人間や物のように見せるのか」
    背景(絵の意味や描かれた理由)よりも、表面(絵の中に何が見えるか、どんな方法で描いたのか)を鑑賞せよってことか。

    ホックニー氏も、自らのアート活動のほかに先人の芸術家はどのようにして名画を描き上げたのかを研究してきたという。
    確かに自分も、美術展では背景を考えようとする傍ら表面も知ろうと絵を覗き込んでいる。それで分かった試しは微塵もないが、こうして芸術家と美術館内の絵を見て廻ったらきっと見る目も変わっていくんだろうな。

    落書き程度の絵を描く自分としては、“しるし”の話がそそられたかも。
    ここでの“しるし”とは筆やペンでつけた線やシミのことで、そこから対象をどのように完成させていくのかを紹介する章がある。
    13世紀中国の僧が描いた柿の絵は驚異的だった。使ったのは墨一色で筆を動かした回数も少ないのに、6つの柿をそれぞれ見事に描き分けている。

    他にも壁の模様や傷といった既存の”しるし”から風景や人物を連想、そのまま作品にしたダヴィンチの例も取り上げられている。全ては小ぶりの点や線から始まっており、上手く活用すれば僅かな“しるし”だけで立派な絵が描ける。
    巷の絵師達による綺麗すぎるデッサン画を見て自信を無くしていたけど、別に下書きからしっかり表そうとする必要はないんだと心強い気になれた。

    本書が指し示す「絵」には写真や動画も含まれる。
    (「絵」と)カギ括弧が付いている意味が分からずにいたけど、要は静止画像全般を指している。思えば動画も静止画像が連続しているから動いて見えるのであって、所詮「絵」であることに変わりはない。

    「ぼくたちはみんな、自分なりの見方で『絵』を見ている。いろんな見方ができるのが『絵』のすばらしいところだし、だからこそ、ぼくも『絵』を作り続けているんだ」

    今回は本書で紹介された鑑賞ポイントという「見方」を得た。
    それらを足がかりとして、相手(「絵」)の生い立ちや地位よりも、まずは外貌に着目してあげる。「光の当たり方が綺麗!どうやって表したの?」といった風に。

  • 娘の本を拝借して開いたら、もう夢中に。

    現代美術作家デイヴィッド・ホックニーがまとめた、極私的美術史。

    洞窟画、いわゆるファインアート、デッサン、東洋画、影絵、写真、iPad、ひいては自分の作品をも縫いながら、かなり偏りのある柄のタペストリーになっている。

    でも、なまじ客観を装った歴史よりも、とことん主観を貫いた物語のほうが面白いに決まっている。

    なぜに、そしてどのように作者が美術に興味を持ち、自分でも作品を作るに至ったのか。本書は個人史であると同時に、いやだからこそ、ある種の普遍性を持っている。

    初めての経験だったけれど、「歴史」と名のついた本を読んで、これほど元気が出たことはなかった。

  • 現代美術の巨匠・ホックニーが贈る「アートを知る喜び」に出会う入門書です。洞窟壁画に始まり、iPadに至る絵画の歴史を大きな視点で見せてくれます。大人から子どもまで楽しめるよう、優しく書かれています。

  • 【3つの気づき】
    ・絵は自分の視点を伝えるために作られる。
    ・芸術家は様々な便利な道具を使った(素人が見たらずるいと思うかもしれない)。
    ・絵の歴史は生き残った絵の歴史(ほとんどは忘れられる)。
    【3つのToDo】
    ・「この絵の中に何が見えるだろう」と考えてみる。
    ・「どんな場所で描かれたか」を想像してみる。
    ・芸術家が絵の中で物語を伝えるために立てた計画について考えてみる。

  • カラフルな図鑑のような楽しい本。
    絵が好きな人、絵の見方を知りたい人におすすめ。
    ただ絵を見るんじゃなくて、こんな視点の見方もあるよ、と教えてくれる。

    有名なものや特徴的な絵に焦点を当て、その手法や着目点をわかりやすく解説してくれる。
    絵、写真、映画、スマートフォンーーー、時代とともに変わっていく絵画を取り巻く環境。
    生き残った「絵」について考えたくなる、そんな一冊でした。

  • 著者は初めて知りましたが、図鑑のようで面白かった。

  • 洞窟壁画からiPadまでの「絵」の歴史について、絵本で描かれたというだけですごい。手元に置いて時々開く本にする。
    「人は絵に自分の時間をあてはめるけど、映画は映画の時間を人にあてはめようとする」
    「「絵」の歴史は、生き残った「絵」の歴史にほかなりません」
    このあたりの一文が今回は心に残った。

  • 共著者の『絵画の歴史』(対談形式)を児童向けに直したのが大人にもよく分かる入門書になっているほど論旨の骨格がしっかりした一冊。「見る」ものを「描く」のが人類の衝動であり、「撮る」ことを発明したことで美術はさらに深化したという自論を展開する。
    バロック時代に巨匠たちがすでに光学装置を使って絵を描いたと主張してる単著『秘密の知識』は刊行当時に反響を呼んだらしい。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50125475

  • 新入生におすすめの本2022

    所蔵状況の確認はこちらから↓
    https://libopac.akibi.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2001013745

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