- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861523670
作品紹介・あらすじ
圧倒的超絶技巧による時空混在の洛中洛外図、新作の平等院襖絵、
武者絵、素描などを収録。8年ぶり、待望の最新作品集。
真骨頂の絵画表現とともに、見立て茶室のオブジェ、現代アートに警笛を鳴らす
独自開催展覧会〈山愚痴屋澱エンナーレ〉まで、
山口晃の複層的思考を網羅した画期的画集。付:自作解題
寄稿:椹木野衣(美術評論家)、ジョン・カーペンター(メトロポリタン美術館キュレーター)
デザイン:塚原敬史
感想・レビュー・書評
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とにかくめちゃくちゃ巧くてため息がでる。技術がすさまじい。そして洒落が効いている。
山口晃の作品は、昔の日本文化や美術(例えば「洛中洛外図屏風」とか)を現代日本のそれと合体させたようなものが多い。
例えば「東京圖 六本木昼図」といった作品として結実している。あるいは「百貨店圖 日本橋 新三越本店」。過去の建物と現代の機械、過去の人と現代人が入り乱れ、細部を見ていると楽しすぎて時間を忘れる。おびただしい人間が描かれているのに、ひとりひとりが違うのだ。
あるいは、馬とバイクを融合させた作品。この創意もすばらしい。その上に摩利支天がまたがった作品もある。これはこれで、めちゃくちゃかっこいい。
まだまだ。花鳥画に、襖絵に、テレビのリモコンを宇宙船に見立てたデッサンに、茶室に……多彩すぎる。油彩で描いた「洞穴の頼朝」「どぶ川のほとり」にも惚れ惚れする。
なかでも個人的なメッセージのように受け取ってしまったのは、電柱に屋根をつけたり、階段をつけたりして装飾を施した絵。美的にグッとくる電柱というのがたまにあって、道を歩きながらこれを作品として美術館に飾ったら面白いな、と時々思うのだけど、山口氏はこちらの想像をはるかに超えるかっこいい電柱を描いてくれている。また、実際に電柱を制作してすでに美術館に展示してしまっている。脱帽。そして拍手。
この才能ほとばしる氏、文章もひどくうまくてびっくりしている。たいへん批評意識の高い人。全作品見せてほしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
素晴らしいとしか言い表しようがない。
最近、TVで知りました。こんなに素晴らしい方がいらしたなんて。
こいいうのを望んでいたんだ、きっと、私は。 -
うー、もう最高だー。見てる間中、ドーパミンだかエンドルフィンだか知らないが、とにかく脳内快楽物質がダダ漏れだったと思う。ちょっと高いから長いことためらってたけど、買って良かったあ。
心奪われる、っていうのはこういうことを言うんだろう。理屈抜きで、その線の優雅さや着想の面白さに耽溺する。
本書に寄稿しているキュレーターの方が「そーゆー了簡ではいけません」という意味のことを書いていたけど(いえ、もっときちんとした論考でしたが。もちろん)、何と言われても楽しいものは楽しいのよ。見ることがこれほど快楽となる絵って、私には他にない。
とは言っても、山口氏の絵は、ただ上手いとか面白いとかではない感慨を抱かせるのも確かだ。うまく言えないけれど、この人は「美術」というものについて、考えていること、言いたいことがたくさんあるんだろうと思わせられる。その思索の深さや鋭さがどの絵にもひそかに息づいているのを感じる。
これからじっくり時間をかけて隅々まで眺めて楽しもうと思っているが、一通り見てとりわけ気に入ったのが「九相圖」。ここでは人間ではなく山口氏得意の「馬バイク」が土に還っていく。法隆寺を燃やしちゃう「炎上圖」もいい。いやもう、言い出したらキリがないが(山口氏の絵ってすごーく「語りたくなる」絵だ)、もしもこの中からひとつだけあげるよと言われたら、私は断然「廣目天」がいい! 誰もくれませんか、そうですか。 -
中日新聞連載小説「親鸞」の挿絵が素晴らしいことをマイミクさんから知った。
「新聞連載では山口晃氏の挿画があるようだが、単行本にはないのが残念だ」 とのこと。
どんな絵を書く画家なのか、興味がありこの本を読むことにしました。
大型の見開き本は、時代が交錯した洛中洛外図絵も面白かったが、細かい絵を見るにはにはちょっとパワーが必要。
電柱に関する事が書かれたページが興味深かった。
2013/07/02 予約 9/19 借りて読み始め一気に読み終わる。
内容と著者は
内容 :
圧倒的超絶技巧による時空混在の洛中洛外図、新作の平等院襖絵、武者絵、素描等を収録。
見たて茶屋のオブジェ、現代アートに警笛を鳴らす「山愚痴屋澱エンナーレ」など、山口晃の複層的思考を網羅した作品集第2弾。
著者 :
1969年東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了。
岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞受賞。 -
大画面に偽りなしの超絶技巧画家・山口晃画伯の素晴らしい作品集です。立体作品もいくつか収録。山口氏の作品は過去と現在が交錯した混沌となりがちな街並みをスッキリとした美しい線の緻密な作画で魅せユーモアを織り交ぜたところが真骨頂とも言える。「藝大に入ったから絵が上手くなるわけではない。絵が上手いから藝大に入れたのだ」と某デッサンスクールの講師が仰っていたが山口氏の幼少期の作品にはもうその片鱗が伺える。以前Eテレで14歳の頃描いたと言う氏の作品を拝見したが既にもう超画力だった。ユーモアたっぷりのカッコいい画集。
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山口晃・・・やっぱり大好き!でも作品は素晴らしいけど、このひとつ前の画集を見たばかりで、インパクトとしては薄く感じたところもある。比べてみると、前の画集の小さいサイズや本のデザインけっこう好きだったし、作品が手元で収まる感じも楽しかった。
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昔の時代絵の中に現代人が混じっていたり、緻密な作品をまじまじと見れて面白かった。
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多様な作品。作品の中に多くのものが書き込まれているが、パラパラ眺めていると、色々の物が見え出して、好きだとか、嫌いだとかに分かれてきた。
山口晃は面白い。 -
この人の絵の、何か風合いの合わないものが無理矢理に接続されている残酷な感じが好きだ。バイクと馬でも、花とメカでも。飛行機や三越の楽しげな絵でも、何かが破壊されている感覚。「大画面」といってもルーペがほしくなるのでご準備を。