FootBall PRINCIPLES - 躍動するチームは論理的に作られる - (SYNCHRONOUS BOOKS)
- ワニブックス (2021年9月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784847070860
作品紹介・あらすじ
日本サッカーを変えるために必要な視点
常勝軍団にあるものは何なのか。
世界のサッカーと日本のサッカー、根本的な「違い」とは?
選手を躍動させるための「言葉遣い」とは?
ハーフスペース、偽サイドバックの有効性と大きな罠……
東京五輪、日本代表、若い日本人選手のビッグクラブ移籍。日本サッカーの潮目が変わりはじめた。
なぜ日本サッカーは成長を始めたのか。そこにあるのは「サッカーの原則」を体感した選手たちの増加だ。
しかし、「体感」だけでは成長の勢いは止まる。
本書はそこにある秘密を体系化し実践的なキーワードに落とし込んだ。
日本サッカー界、屈指の理論家であり、上武大学サッカー部監督の岩政大樹が、「サッカーの原則」「頭のまわし方」「言語化と非言語化」をキーワードに、明快に示すその指針。
特別対談収録予定。
阿部勇樹さん・内田篤人さん・遠藤航さん・大島僚太さん・岡崎慎司さん・鎌田大地さん・川島永嗣さん・柴崎岳さん・シュミットダニエルさん・坪井健太郎さん・土居聖真さん・野沢拓也さん・羽生直剛さん・本山雅志さん・モラス雅輝さん
感想・レビュー・書評
-
サッカー通で無いと内容が理解できないほどマニアックな、サッカー戦術について説いた一冊。[言語化すべきこと、非言語化すべきことを使い分けることが重要である]とあったが、サッカー以外にも通じる部分があると感じた。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近くのサッカーを観る人、指導する人、プレーする人、全てに配りたいくらいおすすめ。
ヨーロッパのトップレベルのサッカーは面白い。Jリーグでもそれに近い試合を観れるときはあるが、プレミアリーグと較べたら物足りなさを感じる。代表の試合になるとなおさらだ。
この日本サッカーと世界との差ってなんなの?原因は何?どうしたらこの差は縮まるの?という疑問に対して答えてくれるのがこの本だ。
サッカーには相手が「こうしたらこう」という原則があり、それをチーム全体で共有することでチーム全体の絵が生まれる、という大枠はなんとなくわかっていたが、
「じゃあその原則ってどういうもの?」「観る側は何を基準にしてピッチで起きる現象を見ればいいの?」「指導者は選手にどう落とし込むの?」という中身の部分をよくわかっておらず、曖昧だった。そのもやもやしてる部分をどんどん言語化していってくれる岩政さん。読んでいて気持ちよかった。
読んでてハッとさせられた部分は、
原則の選手への落とし込み方。言語化は必要だが弊害もあるとのこと。ポステコグルーやオシムなど、論理的に見えるチームを作る監督ほど、選手たちに落とし込むときに言語化していない。言わなくても分かるよう、工夫して伝える。サッカーに限らず、教える側に立つときに意識したいことだと思った。
どんなものでも、背景や理論がわかれば魅力的になる。サッカーも自分なりに論理的に解釈できれば、魅力をより感じられるだろう。そういう見方ができる指導者やサポーターが増えれば、日本のサッカーももっと楽しくなるだろうなと期待させてくれる本だった。 -
ワールドカップをより楽しく見るために読み始めたが、サッカーの見方だけでなく、チームマネジメントの教科書としても素晴らしい。
原則ー判断・能力ー現象
原則はサッカーの「こうなればこうなる」。例「ボールを受けるときに、正面からアプローチを受けない」
原則をもとに、状況が相手の動きに応じて判断し、選手の能力によりそのアクションの成否が決まり、結果としての現象となる。
現象だけを見て結果論で語っても、改善にはつながらない。
強いチームは、原則を知った上で、外してくる。
原則はチーム全体で共有する。スペインでは小学校から練習を通して体で覚えている。
判断は選手の特権。選手を観察し理解し信頼して、ゆだねる。
最終的なプレー時では、ゾーン状態のような無心状態で最高の結果が出る。そのための選択肢、土台を身体化しておく。
サッカーという、ボールの止まらない、正解のない、判断の連続のスポーツにおいて、自立した選手がピッチで思考し対話し、答えを見つけていく必要がある。
言語化の必要な場所とそうでない場所。
強いチームには、監督に哲学、戦術に明確な絵がある。それは言語化されて、深く練られている必要がある。
現場への落とし込みの際は安易な言語化は禁物。必要な言葉を見極めて定義する。シンプルに。
哲学や戦術を伝えるのは、言葉や映像を尽くして同じ絵を再現しようとすることではない。言葉が選手を縛り、自立性を奪う。
オシム監督の「せざるを得ない」練習のオーガナイズ。
言葉を使わず、具体的な練習メニューで選手に自然と浸透させる。
「走れ」とは言われたことない、走らざるを得ない練習を通して、走ることが意識に刷り込まれる。練習のテーマは言われないが、内容から感じ取れるものになっている。
習得の段階によって、「ただ走る」練習から「どう走る」にシフトしていく。よく練られた練習。
岩政監督:重要だと考えるコツを言葉=コンセプトワードを伝え、練習の随所にちりばめて落とし込んでいく。選手のプレーや反応を見て言葉を追加する。(5レーン→相手からずらす→トライアングル、ダイヤモンド)
もう一つ上の段階で、抽象的で漠然としたスローガンを決めておく「Proactive football」。コンセプトワードを体現した結果、出来上がるチームのイメージ。具体的にしないことで、判断、思考、選択の余地を選手たちに残しておく。 -
「現象」だけで「判断」を話してしまうと、結果論ベースになってしまう。そのためにも「サッカーの原則」を前提として理解し、判断の評価をしなければならない。岩政はこの「サッカーの原則」が日本サッカーには欠けていると指摘する。自由度の高いスポーツであるサッカーは、瞬時の出来事に対応し、「判断」しなければならないため、原則を染み付かせなければならない。
現在は上武大学ん指導者としても活躍している岩政だが、その指導者のあり方についても面白い持論があった。それは選手に判断を委ねる姿勢。指導者はリーダーとも言われ、強い影響力を持つが、それゆえに言葉で選手たちを縛ってしまう恐れがある。「言われたことをしっかりやる」文化を持つ日本においてはなおさら。日本サッカーは早くそれに気づくべきだと述べられている。 -
図などがあってわかりやすい
例がありとてもわかりやすい
原則についてわかりやすい
地味に否定しているのがおもしろい
インタビューでいろいろな人と話しているのが良いと思った
サッカーに答えがないことがわかった -
原則、判断、能力と3段階の構成要素のうち、サッカーの原則とは何かに焦点を当てた本。
また、様々なタイプの選手と対談において岩政氏のいう原則を各選手色々な言葉や感覚で感じており、概念は皆共通であると思うが、その言語化、感覚は各者各様で興味深い。原則を育成年代に指導する際も言語化した方が理解できる選手、感覚で感じる選手などいるので伝えかたも重要と考える。 -
ピッチの中で起きる「現象」に選手が対応する際に必要なことを「原則・判断・能力」の三つに分けることでサッカーという競技を明快に「言語化」してみせながら、一方では指導するに当たっては安易に言語化することを戒める。曰く「判断は選手の特権である」。当時の鹿島のチームメイト達との対談を通じて持論を肉付けしつつ、強豪だった頃の内情が窺えるエピソードが面白かった。
-
図書館がおくる、「クラブ・サークル向けおすすめ図書」
クラブ・サークル名 サッカー部
請求記号 783.47/Iw
所蔵館 2号館図書館 -
気がつけば、サッカー以外の事も考えながら読んでいました。
岩政さんも、”経営の書籍から学ぶ事も多かった”、とありましたが、同様にこの本からサッカー以外の事柄に対する学びを得る事もできると思います。
とはいえ、メインはフットボールの書籍です。サッカー観戦が好きな人は、新たな視点で試合を観るきっかけになるはず。是非読んでほしいです。 -
面白かった。サッカーにおける原則や、育成における指導方法という点で興味深かった。岩政さんがJリーグに戻る今シーズン、どうなるか楽しみ