公務員ってなんだ? ~最年少市長が見た地方行政の真実~ (ワニブックスPLUS新書)
- ワニブックス (2012年12月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784847065347
作品紹介・あらすじ
「公務員は本当に無能なのか?今改めて考える市長の役割と職員の意識改革!」。財政危機の千葉市で奮闘中の史上最年少市長(2009年当時)が綴る行政改革と公務員改革のすべて。
感想・レビュー・書評
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自分の住んでる自治体の首長の著書だったので、好奇心に駆られて手に取ってみました。
一読した感想は、文章力とプレゼン能力が高い人だな。という事です。
(この本を読む迄、ゴミ袋1袋の処理に280円もかかってるとは、知りませんでした!)
地方の自治体の首長というと、今はマスコミへの露出度が高い橋下徹を思い浮かべがちです。
しかし、本著の最終章には、彼の手法への批判も若干記述されていて、中々興味深かったです。
(自治体の職員と市民の間に対立項を作ってはならないと記してありました。)
人のマネジメントと、自治体の運営へのバランス感覚が優れている印象があったので、読んでいてココロにすとんと落ちる感じがしました。
読後の感想として、千葉都民などと揶揄されるごりごり保守な自治体の住民ですが、首長選びは今後本当に重要になってくるな。とこの本を読んで腑に落ちました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「公務員は本当に無能なのか?今改めて考える市長の役割と職員の意識改革」財政危機の千葉市で奮闘中の史上最年少市長が綴る行政改革と公務員改革のすべて。政治、行政、街づくりに興味のある方、必読。
第一章 公務員は本当に無能なのか
第二章 市長と公務員の役割
第三章 求められる公務員の意識改革
第四章 市民にも求められる意識改革
本書は、いわゆる公務員批判の本とは異なり十分に読む価値がある。
公務員社会の特殊性を理解しつつ、行政の何を変えるべきか、住民側は何が出来るのかをわかりやすく論じている。
残念な点は、著者は千葉市の市長であり千葉市における行政改革の体験を踏まえて論じているが、部外者にはわかりにくいことである。どこかの派手な首長であれば全国版のニュースで面白おかしく取り上げられるのであるが、まじめで堅実な改革というのはニュースになりにくいようである。補足記事や年表があれば内容に厚みが増し良かったと思うが新書に求めるのは酷であろうか。
本書は良書であるが、簡単には頷けない主張もある。著者は千葉市の歴代市長は公務員出身で、選挙は通過儀礼に過ぎず事実上の内部昇格が行われてきたという。戦後初の外部出身市長である著者がこれを批判する気持ちはわかるが、住民が選挙で選んだ事実を軽く見てはいけないと思う。
また、内部昇格ゆえに選挙運動で貸しができ改革が出来ないとしている。これは一見説得力があるようにみえるが、「選挙で市民に嫌われるような見直しをすること」が出来る候補者は公務員出身であろうがなかろうがそう違いはないのではないか。果たして選挙期間中に有権者に苦言を呈する政治家がどれほどいるのだろうか。改革が進んだ背景には、千葉市が「脱・財政危機宣言」を出さざるを得ない事態であったからこそ、住民も改革に理解を示したということが言えるのではないだろうか。(だからといって千葉市の改革の価値を損ねるものではないことに注意)
著者は第三章で公務員の意識改革を論じるが、公務員が出来る領域と政治家がリーダーシップをとらなければいけない領域は分けて論じる必要があると思う。本書ではまだ水道が敷かれていない地域(10戸)に水道を敷くかどうかを例として論じているが、水道を敷くというのを公務員的発想で、コストをかけて敷く必要があるのか、他の方法や維持管理、将来的に集落が存続するのかどうか、まで考えて判断するよう意識を改革すべきだとしている。もとより、最良の方法を考えるのは当然ではあるが、費用対効果により優先順位は下がるとしても、果たして公務員に敷かないという選択肢が取りえるのだろうか。そこは政治判断の領域であるような気がする。
本書では、市民にも意識改革を促している。誰かに白紙委任すれば済んだ時代は終わり、住民が自ら責任を持たなければ立ち行かない時代を迎えている。
著者は30代半ばでまだまだ若いが早いうちから政治家になることを目標としておりなかなかの辣腕化である。千葉市の改革がどの様に進むのか。今後も注視していきたい。 -
現役千葉市長である、熊谷俊人氏による著書。
当時全国最年少市長である著者は、財政の危機的状況である中、しかも前市長が汚職で逮捕されるというスタートという波乱の後に就任し、その信念をもって市長として職務にあたる姿が印象的です。
民間企業に就職後、市議会議員を経て市長となった著者は、民間企業の経験をもとに、行政の考えの特異性、無駄のある部分を指摘しつつも、行政ならではの事情を理解しつつ対応策を論じている点は、単なる公務員批判本ではなく、建設的な主張だといえます。
著書の中では大阪市の橋本市長との違いも指摘していますが、熊谷市長の考え方はより現実的かつ実践的であると思います。
単なる公務員批判・行政批判をすることで、公務員と住民を敵対関係にしていまうことの無意味さ、地方分権を突き詰めていくと住民自治になり、そのためには公務員だけではなく、市民にも意識改革が必要であるという明確なメッセージは、将来の地方自治のあり方にとって、とても重要であると考えます。
<この本から得られた気づきとアクション>
・首長としての明確な目的と覚悟がよく表れていると思う。そのような期待に応えられる公務員であるべきだと感じる。
・民間との違いを言い訳することを甘えだと指摘しているのはそのとおりだと感じる。官民の違いを踏まえたうえで、独自の考えに陥ってはならない。
<目次>
第1章 公務員は本当に無能なのか?―特殊な世界が生み出す市民とのズレ(そもそも「公務員」とはなんなのか?
公務員批判を拡大させた石肩上がりの終えん ほか)
第2章 市長と公務員の役割―私が決断した市政改革の幕開け(『脱・財政危機宣言』
“ハコモノ行政”の見直し ほか)
第3章 求められる公務員の意識改革―私と職員の向き合い方(公務員の意識の本質的な問題
民間とは違うという甘え ほか)
第4章 市民にも求められる意識改革―自分の街をもっとワクワクする街にしませんか?(燃えるごみを3分の1減らす真の目的
行政は市民のアドバイザー ほか) -
世の中のバッシングに耐えながら地道に仕事をこなす公務員。そんな方々の心に届くトップの声である。
千葉市に8年ほど住んでいたが、市長以下市役所の中のことは一つもわからなかった…。世の中の役所というのはそんなものなのかもしれない。 -
公的な機関で働く人にとってモチベーションをあげてくれる書。
また、自分が住んでいるまちにもっと関わりたいなと思える紹介でもある。
熊谷さんは頭のいい方で説得力のある文章を書かれるなあということがわかる。
折に触れて読み直したい。
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読了
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現役千葉市長による、バッシングでも擁護でもない、バランスのとれた公務員論。自らの実績紹介が多い気はするが、著者は若いが確かに見識のある政治家だと思う。公務員が住民のために力を発揮するためには、政治家のリーダーシップが重要であるということを感じた。
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151020読了
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こんな風に考える市長が増えて、それに同調する住民が日本中で増えていくといいな。
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熊谷市長は、民間企業で身につけた考え方を市政に活かして千葉市を良くしていこうと考えていることがよく分かった。
地方分権、さらには住民自治を目指して、市民が当事者意識をもって、身近な不便を減らすために物事を大局的に考えなければならないと思った。