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- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784846018238
作品紹介・あらすじ
メヂィアとしてのラジオの役割を当時の文化状況に迫りながらラジオ放送の機能とその効果の検証を試みている。これまでの研究では欠落していた放送内容、番組構成、ラジオ放送の機能とその効果、満洲国社会や文化形成に対するラジオ放送の影響などが論じられている。特記すべきことは、当時の放送録音盤が吉林省档案館に保存されていて、著者の努力によって、「録音盤目録」を入手し、放送の実態をつかむことが可能となり、これらの資料が本書には十分活用されていることである。
感想・レビュー・書評
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博士論文の書籍化。内向けの放送では、ニュースでは速報性や情緒性などから徐々に新聞より優位に立ち、特に戦争報道で強い威力を発揮する。文芸性や大衆性が必要なドラマでも政治性と無縁ではなく、やがて厳しい検閲と国策順応を求められる。学校放送やラジオ体操ではイデオロギー性がより強い。しかし、国民統合や満州国の理念の浸透という点ではどこまで効果的だったのかは疑問だ。そもそも日本語の第一放送と主に中国語の第二放送という交わらない2つの言語空間があり、またインフラや受信機普及の限界から、特に農村部の中国人への浸透は不十分だった。
外向けの国際放送では、「国」としての存在を外部に主張する目的があり、世界舞台で一定の影響力があったが、戦時体制に入ってからは日本への従属性が強まったことでその影響力が削がれた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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