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- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784846016906
感想・レビュー・書評
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明治の小説の面白さを紹介するというテーマの本。どこを面白いと感じるかは人それぞれだし、物語に対する好みの結果でしょうから、その「面白さ」に触れてる部分については特に感想ナシ。各章で紹介される物語の、当時の思想的・政治的背景、現在に至るまでの研究者の評価(のサワリを紹介)みたいな随筆文として楽しめました。
特に参考になったのは6章の「経国美談」~7章の「佳人之奇遇」の二つの政治小説の紹介。坪内逍遙以降の小説家については、他のガイド本で取り扱われる事も多いので、ある程度知識を得ることができますが、この「政治小説」ってモノの立ち位置やら江戸時代の読本からココへ至った経緯(そしてそこから「小説神髄」へ至る流れ)なんかが大変分かりやすく纏まってて良かった。あと、紹介されたこの2つの本の内容も面白そう。
「第9章 明治精神の終焉」は明治の青年にとっての「立身出世」の背景の説明、教養主義、大正時代の青年の気質などを綺麗に纏めた上で、その中から発生した自然主義文学、白樺派と漱石(余裕派)の活躍、そしてプロレタリア文学の台頭……といった形で当時の思想、政治背景が見事に文学史の解説へと繋がっていて凄く良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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