自由になるのは大変なのだ: インプロ・マニュアル

著者 :
  • 論創社
3.91
  • (6)
  • (9)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 99
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846004941

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1.目的
     インプロワークショップを2回経験して、さらなる意味を理解したい。インプロ企画第3弾につなげたい。

    2.得られたこと
     「ポジティブにならなきゃというネガティブシンキング。自由でないひとが、人を自由にはできない。」
     
    社会人としての成熟度は、コミュニケーション力。
    私たちが普段社会人として生活している中で、使っているコミュニケーション力と、インプロで扱っているこの言葉の意味に大きなギャップを感じた。本当のコミュニケーション能力を知るよいきっかけになった。

    3.アイデア
     第3弾の企画では、インプロゲームを楽しんだ後に、その意味を理解する対話の時間を毎回取りたい。その体験から何を学べるのか?そこにインプロワークショップを開催する意味もあるはず。

  • (図書館員のつぶやき)
    本を開いて3行目で、ドキッとしました。率直のままの自分を表現すると好ましく思われなかったり、受け入れられないことも。これが”避難される”と恐怖になってつきまとう・・・一度はこんな気持ちを抱いたことがありませんか?この本は一歩まえに弾んでみると、新しいスタートが出来そうな自分に出会えそうな気がします。手に取ってみらんね!

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784846004941

  • ――――――――――――――――――――――――――――――
    「即興できない奴相手じゃ、フィルムをまわすだけ無駄だ。延々駄目なセリフがつづくことになる」スパイク・リー

    「わたしは役者といっしょに作業したい。わたしを驚かせてほしい。自分が思いもつかなかった可能性を示してほしい」デヴィッド・クローネンバーグ9

    「期待してたら、すでに経験したと同じだ。期待していた以上のレベルか、異なったところまでいってはじめて芸術になる」ロバート・アルトマン13
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    ハリウッド映画の監督で、「セカンド・シティー」出身の役者はすぐわかると言う人がいる。

    インプロ役者は他の共演者の演技にも大きな注意を払う。共演者の演技によって、自分の演技やキャラクターが決まることを知っているからである。10
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    「自由」の反対語は「恐怖」20
    ――――――――――――――――――――――――――――――

  • これまで本を読んでいて、1ページ目から泣き始め、2ページ読み終わったら、号泣するなんてことはなかった。
    自分のありのままを表現しても、決して拒絶されることはなく、受け止めてもらえるという安心感を感じながら生きることができたら、どんなにすばらしいだろう。
    でも、私の場合は、ありのままの私を受け止めてくれる誰かを探す前に、まず自分がありのままの自分を受け止めなければいけないと思う。そうでなければ、これから生きていくのは辛いばかりだし、ありのままの誰かを受け止めることはできないだろう。
    最初の2ページは、何回読んでも泣ける。
    この本を読んで、もっと早くインプロに出会いたかったとも思うし、今出会ったからこそ、これだけ私の心に響くのだろうとも思う。

  • 来年は、ちょっとまじめにインプロやろう!
    もっと自由になれるはず!
    私にも、もっと伸びしろがあるはずなのだ!!!

  • ものを考えるためには自由でなきゃならない。アイデアがきれいに線につながって、物語を作り上げる。それを殺そうと思ったら、一番簡単なのは他人がどう思うかと考えることだ(デビッド・リンチ)

    笑いの80%は、ジョークやギャグそのものではなく、人間関係に起因していると言われている

    大事なポイントをなくさなければ、無理があっても話はなんとなく面白くて、つながっていく

    最初の1分とかは情報をしっかり設定すればいい。面白くするのは、問題を起こしてから、どういうふうに対処するのかっていうだけ。最初に登場する人は、焦る必要ない。具体的に自分の状況をちゃんとつくるっていうこと

    お客さんには当たり前のこと、お客さんが当たり前に頭に浮かぶ疑問や興味というのがプレイヤーの立場になってアイデアを出す方になってしまうと、さっぱり分かんなくなっちゃう。お客さんの気持ちが分かんなくなっちゃう。そうするとやってる本人は面白がってやってるかも知れないけど、お客さんにとっては「なんにも面白くないよ、それ」っていうことを平気で始めちゃう。

    リラックスしていないとできない。焦ってしまったり力が入ってしまったら、当たり前のことがわかんなくなってしまうから

    当たり前でいいから、具体的な設定をつくったうえで「さて、何が起こるんだろう?」っていうものをバーンって出せばいい。ポジティブに具体的にして、それで、物語をバーンと起こして、転がっていって。例えば、部屋に入るときに「床をソーっと歩いて」ってなると、「え、なんでだろう?」って興味わくじゃん。あとはその理由をこじつけていけばいいんだよ。ソーっと歩くときに、こういうことをしようっていうものが最初からあるんではなくて、何も考えずに初めてしまう。謎を出してしまうのよ。自分でも答えがわかんない状況で。そうすると、お客さんも同じように「えっ、あれ、何だろう?」「何があるんだろう?」ってなってくるわけじゃない。必要なのはインプロでは度胸だけ

    ビジュアル的に、前に立っている人がその状況にいるところをイメージすれば、次の展開が浮かんでくる。ちゃんと見ないと。立っている人が違えばひらめくことも違ってくるだろうし。一般的に、頭の中であれこれ考えちゃダメ。今、この瞬間、この時点から、この人の状態からイメージをひらめく

    映画でもテレビドラマでも、たいてい、現実には起きてほしくない出来事が題材になっている。実際に自分の身に起きてほしくない大変な状況で、どんな気持ちになり、どう行動していくのかを、登場人物を通して仮体験できるからドラマには魅力がある。観客は、主人公が苦境に追い込まれ、どんな感情になり

    余裕を持てるところにとどまらず、さらに困る状況へ自分たちを持っていけるかが、面白いストーリーにできないか、観客がハラハラドキドキできるかできないかの分かれ道になる

    インプロに限らず、芝居を見るという行為は、バレーボールのような球技の試合を見るのと基本的に同じである。状況設定(ルール)がわからないと、何をどう見ていいのかわからない。プレイヤーがどんな人物なのか知らないと、そのプレイヤーのすること、そのプレイヤーに起きることに気持ちが入り込まない。誰がどうなろうと、どっちが勝とうと、どうでもいい対戦は、見ていてもつまらない。見る意味も理由もない。魅力的なプレイヤーがいたら注目する。応援し、味方できるプレイヤーやチームだから、一緒になって白熱できる。プレイヤーが感情的に影響され、その気持ちが分かるから、見ている方も同じように感情的に影響される。プレイヤーが一球一球に真剣で前向きに集中しているから、観客も一球一球のやり取りにハラハラし、のめり込んでいく。弱気で中途半端なことをされたら、見ている者は納得しない。単調にならず、弱腰にならず、リスクを負って大胆なことをしてくれると、決まれば歓喜、失敗すればガッカリできる。どうせ見るなら、どちらかのチームが圧勝するゲームより、一進一退のゲームでハラハラしたい。「どうなるんだ?!」という展開にワクワクされ、巻き込まれていく。チームの一人ひとりの持ち味を活かし、それぞれの役割を果たし、絶妙なコンビネーションを取っていく。チームの気持ちがひとつになり、観客の気持ちもひとつになる。パフォーマンスの醍醐味は、結末より、結末に向かう一瞬一瞬のプロセスにある

    エンディング
    すべてのことは、すぐ意味付けされることはない。行き当たりばったりだった行動が、ストーリーの後半、絶妙なタイミングで突然意味を持つと、観客はスリルと感動を味わう。前に出てきたアイデアをあとになって再び出してくることを、「シェルビング」という

    多くの人は個性的であること、クリエイティブであることを、誰も思いつかない奇抜なことをすることだと勘違いしている。アーティスティックなフリをしたらダメ。潜在意識からの思いつき、ひらめきに任せた方がいい

    面白いこと、独創的なことをしてやろうとか、あるいは不安感で意識がとらわれているときには、ふと、神が降りてきたかのような奇跡的なアイデアが浮かぶことはない

    遊び心を持ったうえで、リラックスし、一瞬一瞬に覚醒していることが最も大事なことである

    人は自分の身に何事も起きないようにするエキスパートである(キース・ジョンストン)

    ノットアドバンス
    ひとつひとつの行為に徹底的にこだわる
    「タマゴを割る」という行為をしていたら、それがなかなか達成できない原因を作ったり、割るという行為をもっともっと興味深いものにしていく。金槌で叩くが割れない。電動ドリルを持ってくる。割ろうとしたら、タマゴの中からノックしていくる。一片向けたと思ったら中からひよこが出てきて修繕する。タマゴの中から足が出てきて必死に逃げ回る..
    大事なのは今やっている行為から次の行為へ簡単にアドバンスしないこと
    先に進むためのアイデアではなく、今この瞬間のためのアイデアに気づくこと。この瞬間にとどまる。そうすることによって、ただ面白おかしいアイデアを披露していくのではなく、じっくりと身体で表現する即興の演技となり、観客はその演技自体をもっと楽しむことができる

    スーパーアクセプト
    「わー、ボロボロの家」
    「高いところは大丈夫ですよね?」
    途中の一言、二言を省略する

    まずポジティブな設定を作って、混乱を起こすのは後になってから

    シーンの構成
    誰と誰?どこ?何が問題?何をどうしたい?何をしてもらいたい?
    出来事
    実際に問題/葛藤/ハプニングを起こす
    結末
    最初の問題/望み/目的はどうなったのか?
    関係(関係性とキャラクターはコインの表裏)
    間柄先行
    キャラクター先行

    頭の悪いカップルがコインランドリーで地球温暖化の話をしている。あ互い「相手にバカだと思われないように」という望みがあれば、関係性に深みが出て、もっと面白いものになる。ただおかしな芝居を演じるのではなく、その中に生きた人間を演じると、急に「芝居」になる。観客にとって共感できる接点があれば、もっと興味深くなる

    場所をつくり、その場所にあるものを扱い、行動するときに、キャラクターが表現される

    シーンの重要な要素
    風刺
    ①社会的な問題→一般人の日常
    ②話題の人物→一般の日常
    ③違った角度から見て良いとされていること→悪いこと/悪いとされていること→良いこと
    緊張を高める
    ①関係 お金を借りる vs 義理の父親からお金を借りる
    ②状況 披露宴で司会をする vs「ヤクザの親分の娘の」披露宴の司会をする
    ③人物 デートをする vs 有名一流企業の社長夫人がデートをする
    状況設定
    ①特殊な状況の中の普通な人々
    ②普通な状況の中の特殊な人々
     寝台特急の中にいる、締め切りに追われている小説家
     キャバレーにいる牧師
     ベジタリアンの板前
    シーンは、あるアクションの最中から始める。何もないところから始めない

    繰り返す動作(ルーティン)を始め、それをティルト(関係性の変化)によって中断する

    シーンとは、人と人との関係についてであり、スジや笑いについてではない。冷静に、自分の本能に従い、パートナーを信頼し、よく聞いていれば、スジと笑いは自然に起こってくる

    ストーリー自体は対して重要ではない。関係が重要。関係ができて、その関係が変わればいい

    ドラマとは、ふたりの関係性が変わること

    「いいアイデア」「面白いアイデア」は必要ない。関係性を崩せばいい

    ティルト
    一人が一人によって変化させられる。自分で勝手に変わらない。関係性のバランスの変化。
    掃除をしている母と娘
    「ねえ、お母さん、洗面所の妊娠検査薬、まさか、お母さん使ったの?」
    何が起こっても、何を言われ、何をされても影響されないと、関係性のバランスは変わらない
    「そうよ。ちゃんと妊娠してたわ」
    相手の言動に影響され、変化しないと、問題、事件にならない。2人とも同じように変わってしまっても、関係性のバランスは変わらない
    ティルトには、ミステリーを含むものと含まないものの2種類ある

    キャラクター
    キャラクターは身体的な特徴から入る。外枠ができていると、自分はその中にいられる

    ステイタスを組み合わせると、もっと面白い

    目的
    キャラクターの目的は、アクティブなものを選ぶ 「小遣いを増やして欲しい」など。「出ていってほしい」は否定的なので、建設的にシーンが進みにくい

    問題自体が大事なのではない。例えば「車が壊れた」。大事なのは、その問題(車が壊れた)に対して、どうするのか、どうしたいのか、もし相手がいるなら、どうして欲しいのか..

    基本セオリー
    3 Don't
    ①過去や未来のことをしゃべらない
    ②質問をしない
    ③否定しない

    ポジティブ
    シーンの最初はポジティブな関係を作る。あとになってネガティブになる

    ブリッジング
    未来がわかったすぐそこに行く。余計なことをしない

    いま出てきたもの、いま言われた言葉に付け加えていく。新しいものを出すな

    あなたの仕事は発見し、正当化すること。面白いことを言うことではない

    「インプロする」ということは「瞬間瞬間に発見したことを広げ、高める」こと
    「インプロする」ということは、そこに何かを創り出すことではない。そこに何かを発見することである。そのキャラクターには何があるのか?その関係性には何があるのか?そのセリフや行動には何があるのか?その状況には何があるのか?

    一瞬の言動は、Discovery→Reaction→Response
    Response 意識的なチョイス。頭の中で考えだした言動
    Reaction キャラクターの真実、感情の現れ

    セリフを言うんじゃなく、その状況の人間として生きる

    笑いを狙うな!笑いは向こうからやってくる!芝居をしなさい!シーンを演じなさい!面白いことをやろうとすると、お客さんがついていけない

    コメディーは、2つの全く異なる考えやイメージを合わせることから生まれる

    コーヒーショップでのシーン。コーヒーをこぼしちゃってどうのこうののシーンなんか見たくない。登場人物の関係性とその変化が見たい

    あなたが素晴らしい人なら普通にしていればいい。もし素晴らしい人ではないなら、どんなに頑張ったって素晴らしい人にはならない。だから普通にしてればいい

    テーマ
    不倫してバレて、ただ言い争っている夫婦より、なぜ不倫しちゃいけないのか悩んでる妻と、その夫のシーンの方が興味深い。見ている者の、もっと深いところで共感できる

    「結婚したいカレシと、したくないカノジョ」どんなに結婚したいのか、したくないかがあって、どうやって相手をその気にさせようか、きらめさせるか、があって、とんでもないやり取りや策略が出てきて、現実的ではない展開になったとしても、そこには「結婚したいカレシと、したくないカノジョ」という、見ている者が共感できるテーマがあるから興味を引く。これがシチュエーションコメディ

    キャラクターがベースのシチュエーションコメディに対して、状況アイデアがベースのサタイア(風刺・皮肉)
    ex.世界的な人口増加と食糧不足→人が人の赤ちゃんを食べる

    キャラクターとしておかしい演技をするな。特別な状況が、その中にいる人がおかしいのだ

    お客さんは面白いギャグを待っているのではない。何かが起こることを待っている。関係性の変化

    キネティックダンス
    人と人との間に起こる無意識的な動き

    2人の役者のやり取りの裏に競争意識が見えると、一見何気ないシーンでも面白く見える

    登場人物の目的を知るだけでは不十分。そのキャラクターはどうやってその目的を達成しようとするか。私は相手に愛されたいということを表現するのではなく、実際に相手に愛されるためにどう振るまい、どう関わっていくのか。そのシーンで何をしたいのか、相手にどうして欲しいのか、自分のキャラクターの目的をはっきりさせた上で、その目的を本当に実現しようとする姿が、普段のぼくたちの行動のリアルさに近づくことになる

    登場人物の目的は、脚本にかかれているその人物の行動とは異なる。例えば、「母親を殺した息子」の目的は「母親を殺す」ではなく「母親に自分を認めてもらう」であったりする。人は誰でもポジティブな目的・願望に向かって生きている。「◯◯したい。でも、障害があって実現できない。思い通りにことが運ばないので、感情が起きる。その感情に支配されながら、その障害をどうにかしようとして、結果的に事件になってしまう

  • キース・ジョンストンのインプロをそのまま伝承している今井純さんの著書。
    インプロの心構えや注意すべきポイントだけでなく、演技に大してどう役立てるも書いてあるので、インプロヴァイザーだけでなく、俳優や指導者にとっても必読の書。
    まさに名前の通りインプロマニュアル!インプロの教科書である。
    ただ、インプロのゲームはあまり載っていないので、それに関しては類書の「即興し始めたニッポン人」を読むといい。

  • 面白い!
    同じような話でも、面白いと感じる時とつまらないと感じることがある。

    即興劇についての本というより、人についての本であり、そして面白いのは人の素顔、本心なんだろうと思った。

    この本に書かれている「自由に生きる」とは、自分のありのままの事であり、大変だけど、それが面白いんだろう。演じる人も、見る人も。

  • 即興演劇という場において、計画性のない状態をリラックスして楽しめば楽しむほど、面白いものが生まれるという内容。即興を楽しむためには二つの条件が必要。1:自分で壁をつくらない。自分を信じ、自由になる。恥ずかしがらない、失敗をおそれない。2:周囲の協力。お互いを信頼し、その人のアイデアにのっかる。(『面白法人カヤック会社案内』より要約)

全13件中 1 - 10件を表示

今井純の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×