ならず者たちのギャラリー 誰が「名画」をつくりだしたのか?
- フィルムアート社 (2018年8月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784845917150
作品紹介・あらすじ
サザビーズの競売人(オークショニア)が案内する、美術史と美術品の価値に影響を与えた魅力的な画商列伝。
数量でははかることが難しく、美や質や稀少性といった概念によって左右される美術品の価値。
画商が売りこんでいるもの、それは漠然とした、はかり知れない、だが無限の値打ちをもったもの。
すなわち芸術家の天賦の才能である。
美術の世界でこれまで顧みられることのなかった画商という存在。
美術品を売ることに対して自身の想像力と創意工夫と、
そして説得力の限りを捧げた一群の魅力的な男たち(そして女たち)が登場!!
美術史に新たな角度から光を投げかける画期的な作品!!
オークション会社サザビーズのディレクター、フィリップ・フックが
今度は「画商」について語る!!
【本書に登場する画商の例】
レンブラントを雇い、才能を開花させた男 … ファン・アイレンブルフ
セザンヌの市場価値をつくった男 … アンブロワーズ・ヴォラール
ピカソらキュビストを発見し、応援した男 … ダニエル=アンリ・カーンワイラー
モディリアーニの水先案内人 … ポール・ギヨーム
征服者なのか寄生虫なのか、あるいはその中間のど
感想・レビュー・書評
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美術品の制作者とその回りにいる人とお金の話しです。
画家へのお金は、どのようにして画家の手に
王様や貴族がパトロンとなっていた時代から現代まで、まぁ~知らない事ばかり!
イヤ、知りたくなかった事ばかり?
名もない画家を見いだし、援助し、売り出していく博打のような仕事に人生をかけている
人達、傲慢になっていく画家と渡り合う人達
あー、画家だってお金持ちになりたいよね
知識として、こぼれ話しとして、面白かったです。
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ならず者というタイトルがやや刺激的過ぎて、画商の胡散臭そうなイメージが増幅して読んでしまいがちだが、勿論多少なりともそういう輩もいたと思うが、必ずしもそうではない。
中世からのアーティストを支えてきたパトロンの役割が、画商に取って代わり現代へと続いていく流れは、政治や経済、戦争の影響も大きいが、とても面白い。
もし世界大戦がなかったら、アートの中心は現在のアメリカではなく、ヨーロッパのままだったかもしれないし、コンセプチュアルなアートはまた違った形、若しくはなかったかもしれないと思うと、不思議な感じがする。
なんとなく現代のアートは、日本語の美術という言葉ではなく、アートなんだなぁと思う。 -
美術史に関する書物は数多くありますが、
本書は画商、美術商にスポットをあてて、
彼らの存在がどのように美術史に影響を与えたか?
というようなことが書かれています。
画商、美術商といってもタイプはいろいろです。
ただ単に美術品を商品と考え、
利益のことしか頭にない商人タイプ。
いまは無名だけれど
将来有望な画家を育てることに一生懸命なタイプ。
新しいブームを生み出そうとするプロデューサータイプ
商人であり、擁護者であり、開拓者であり、
探究者であり、研究者であったともいえます。
ここに記されているのは、
古代ローマから現代にいたるまでの
美術品に関する取引にまつわること。
時代によって翻弄されたのは、
アーティストだけでなく、
画商も同じだったということがよくわかりました。
芸術の中心地がオランダからイタリア、
イギリス、フランス、ドイツ、そしてアメリカへと
移り行く様子も興味深く描かれています。
ほかにも、なるほどそうだったのかと
感心させられるエピソードが満載。
いずれにせよ彼らの存在がなければ、
芸術の進化、発展はなかったかもしれません。
また、いま世界各国の美術館で
様々な絵画や美術品を鑑賞することができるのも、
彼らのお陰かもしれません。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2 -
面白い
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画商という者をルネサンス時代から遡って現代に繋がるまで語って,その膨大な知識と内容に圧倒された.それぞれ個性的な画商のユニークさ,また美術市場やアーティストに及ぼした影響など,読み物としても面白く,美術史としても読める,類稀なる本だ.本当に楽しめました.
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戦火の絶えないこの世の中で、一枚の絵が何百年もの時を超えてわたしが目にするまでに、尽力したのは描いた本人よりもこういう人たちの貢献が大きいのだろうなぁ。
お世辞にも聖人君子とはいえない彼らからずる賢くも財を成すために、生き抜くために、アートを扱い、国と国をつなぎ、人と人をつなぎ、時をつないだ。
先の大戦で失われたアートもあるだろうけどこうして生き抜いたアートもある。その背後には画商達がいたことをちゃんと覚えておきたいな。
テロリストだったり詐欺師だったり人たらしだったり、いろんな画商がいて、とても面白い読み物でした。
美術館で絵を見ても、画集を開いて絵を見ても、そこに画家の名前はあっても、所有している人の名前はあっても、扱った画商の名前はない。
でも、作品の数だけきっと彼らの存在がある。
そのことをハートに留めて、今後も絵画鑑賞を楽しみたい。
フィルムアート社さんの本は面白くて好きです。