SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術

  • フィルムアート社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845910564

作品紹介・あらすじ

業界を知り尽くした筆者が、ジャンル、プロット、構成、販売戦略、キャスティングなど、基本要素を踏まえながら実践的に、メジャーで売れる脚本の法則を語りおろす。シンプルで、本当に大手映画会社が買ってくれる脚本を書くためのコツを教える超実践的脚本マニュアル。

感想・レビュー・書評

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  • 売れる脚本には15のビート(イベント、物語の移り変わり)があり、これを細かく説明しているのが本書の目的です。

    人を惹きつける者には必ずストーリーと変化があることに気づきました。目的は主人公の求めるものを手にすることや問題を解決することですが、それに追い付くまでにどのようにストーリーを展開(変化)させていくのか、読者に未知の体験をしてもらうかが大切だと感じました。
    例えば、お笑いでいうと、オチが読めないギャップに笑いが起こったり、どれだけストーリーを展開させても受け手が求めているキラーフレーズに落ち着くことで笑いが起こったりします。ただ、ストレートに淡々と進めるのではなく、進めるまでに変化をどう楽しませるかということが大切だと感じました。

  • 園子温がハリウッドのプロデューサーに「こういうのが売れる脚本だよ」とこの本を渡されたというのをどこかで見てどれどれ試しに読んでやろうじゃないかと手にとった。

    定形を提示するような本は好きじゃないののだけれど、この本は面白かった。

    とにかく、売れる、という一点に絞っているのが潔い。

    そして定形の命名が面白い。
    「プールで泳ぐローマ教皇」「マジパン多すぎ」「家の中のモンスター」などなど。

    映画を時間分節で区切るやり方も他の脚本術の本よりわかりやすい。

    著者が売れる脚本の優れた例として挙げている映画の中には今までなら見ずに済ましていたものもあった(「キューティーブロンド」)が、この本をきっかけに見てみると確かによく考えられたエンターテイメント作品であることがわかった。
    これは収穫だった。

    とても優れた脚本術の本でシナリオ執筆に興味がある人なら誰にでも薦めたいところなのだが、唯一の懸念は著者が「刑事ジョー ママにお手上げ」の脚本家だということだ。

  • 脚本は脚本でもだいぶ映画寄り。
    1本の映画がどのような要素から生まれているのか種明かしをしてくれる。
    あのシーンはそういう意味だったのか!という気づきがいっぱい。
    純粋に映画をただ楽しみたい人は読まない方がいいかも。

    具体例で挙げられている映画をほとんど知らなくて教養の浅さを実感した、まとめてリストアップして少しずつ鑑賞しようと思う。

  • すごくよかった!もっと早く読んでおけばよかったと思うほどだった。
    明快な体系的に脚本術について描かれており、確かにこの方法でハリウッド映画は作られているし、このように書けば、ある程度面白い作品は作ることができるであろうという確信があった。この方法を取り入れる実践的な手法についてもきちんと書かれている。

    それでいて、平易で親しみやすい文章で書かれているので、読みにくさも感じなかった。

    ほんと、もっと早く読んでおけばと思った。
    ---
    もう一度通読した。

    SAVE THE CATの理論編。頭の良い人だったり確固たる方法論を確立しているひとにとってはこれだけで良いと思う。

    この本で大きく解説しているのは3つだ。

    ・描く価値のある主人公の描き方
    ・ストーリーのタイプ別の10の作品分類
    ・15のシーンからなるプロットの解説

    主人公は観客から応援されなければならず、そのテクニックの1つとして「猫を助けるシーンを挿入しなさい=SAVE THE CAT」ということ。要するに観客の共感を呼ぶように設定しなさい、みたいなこと。

    物語は脚本のタイプによって10個に分けることができるというもの。たとえば「何かを求める旅に出る」というタイプの脚本という分類をすれば『オーシャンズ11』も『プライベート・ライアン』も『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も同じジャンルだと彼は言っている。こうやって分類してから作品を分析していくことによって、執筆中の脚本の参考になる。

    この本で一番大事なのが3幕構成をさらに細かく分割した『ブレイク・スナイダー・ビートシート』なるもの。著者の名前を冠したこのシートに当てはめていくことによって映画の脚本を簡単に完成できるというもの。
    確かにビートシートを頭に入れながら作品を見ると、該当する箇所がおおむね同じ時間で出現する。

    今まで読んだ脚本術の中で一番分かりやすく、実践的だった気がする。おすすめ。

  • 読んだらやってみたくなる脚本術。

    脚本を学んだけれど、長編はどうすれば?と思って手に取った。
    評判どおり、やるべきことが明快で、とても役に立つ本だった。 
    エンタメの仕組みがよくわかる。

    映画向けに書かれているけれど、ドラマ脚本、漫画、小説を書くうえでも参考になりそう。

  • ・売れる脚本のコツ
    → 一行 (ログライン)でどんな映画か明確に答えられる。

    ログラインに必要な4つの要素
    ① 皮肉 (つかみ)がある
    ② 映画の全体像が見える
    → 時間設定やいろいろな可能性を予想させることができる。
    ③ ターゲットの客層や製作費が明確かどうか
    ④ パンチの効いたタイトル
    → ストーリーを象徴するような言葉。

    ・ハイコンセプト=映画を見やすくすること


    ・ジャンル
    → 新しいジャンルを生み出そうとするのではなく、既存の同じジャンルの作品をふるいにかけ、その中からプロットに必要不可欠な要素を手に入れる。

    ① 家のなかのモンスタータイプ
    → 逃げ場のない場所でモンスターに襲われる。
    ジュラシックパーク、ジョーズ

    ② 金の羊毛タイプ
    → 主人公はなにかを求めて旅に出る。

    ③ 魔法のランプタイプ
    → 「ーがあったらいいのに」という願望を叶える。
    願いの代わりに天罰が下るパターンもある。

    ④ 難題に直面した平凡な奴タイプ
    → どこにでもいそうな奴が、とんでもない状況に巻き込まれる。

    ⑤ 人生の節目タイプ
    → つらい経験を通して主人公が成長する。解決策を見つける。

    ⑥ バディとの友情 (ラブストーリーも含む)タイプ
    → 最初はバディを嫌っているが、徐々に必要不可欠な存在になる。

    ⑦ なぜやったのか?タイプ
    → 人間の邪悪な性が暴かれる。

    ⑧ バカの勝利タイプ

    ⑨ 組織のなかでタイプ
    → 集団や組織、施設、ファミリーについて描く。組織の中で自分らしさを失うこともしばしば。

    ⑩ スーパーヒーロー
    → 超人的な力を持つ主人公がありきたりで平凡な状況に置かれ、苦悩する。


    ・主人公
    → 共感でき、学ぶことがあり、応援したくなり、最後に勝つ価値があり、シンプルな動機がありそれに納得がいく人物。

    ・save the catの法則
    → 主人公が置かれた状況に観客が最初から共感できるように気をつける。主人公が悪い奴の場合は敵役をさらに悪い奴にする。

    ・パイプ置きすぎの法則
    → 状況説明に多くの時間を割いてストーリーが進まない。

    ・黒人の獣医の法則
    → 設定や肩書きが多すぎる。

    ・氷山、遠すぎの法則
    → 出来事が起こるまでのスピードが遅い。テンポが遅い。

    ・変化の軌道の法則
    → 悪役を除いて全ての登場人物はストーリー中に成長する。

    ・マスコミ禁止の法則
    → 主人公のスーパーパワーや未確認物体が映画のマスコミによって報じられること。主人公と観客だけの秘密が秘密でなくなってしまい緊迫感がなくなる。


    ・脚本の再チェック
    ① 行動で見せるべきところをセリフで語っていないか?
    ② 登場人物は皆同じ話し方をしてはいないか?
    ③ 見た目の特徴ははっきりしているか?
    ④ 主人公の変化の軌道は早い段階から始まっているか?
    ⑤ 原始的な欲求か?

  •  売れる脚本には法則がある。芸術特に時間芸術と言われているものは一定の「型」が見られるが映画脚本においてもそれがあるということである。「三幕構成」が有名だが本書が提唱するのが「BS2(ブレイク・スナイダー・ビート・シート)」である。
     BS2は以下で構成されている。この構成がキモである。構成を作った人が「脚本家」として印税を手にできるのだそうだ。また全体を110ページとした場合は下記の長さはほぼ決まっており、業界の人はペラペラとめくって見るだけで良いものかどうなのかの判断ができる。ベンチマークの意味あいもある。なかなかシステマティックである。
    1.オープニング・イメージ
    2.テーマの提示
    3.セットアップ
    4.きっかけ
    5.悩みのとき
    6.第1ターニング・ポイント
    7.サブプロット
    8.お楽しみ
    9.ミッド・ポイント
    10.迫り来る悪い奴ら
    11.すべてを失って
    12.心の暗闇
    13.第2ターニング・ポイント
    14.フィナーレ
    15.ファイナル・イメージ

  • ハリウッドの作品って、中には嫌いという人もいるけれど、私は逆で、どの映画も毎回すごくよく出来ていると心から感心する。
    日本映画を見てると眠くなって飽きちゃったり、感情移入できずに終わることも多いのに(すいません、でも事実)、ハリウッド作品にはそれがほとんどなくて、逆にこんな作品で泣くー?ってくらい毎回大泣きしたり大笑いしたり。

    絶対に、海の向こうのあの国には、何か脚本を書くマニュアルとかシステム的なメソッドが確立されているはず!! そうじゃないと、こんなにいくつもいくつも長期にわたって継続的におもしろい作品が量産され続けられるはずがない!
    …などと思って、その答えがほしくていろんな脚本術の本を読んだけれど、今まで私が読んだ中では、納得いく答えがなかった。

    しかし、やっと、そういうことが書いてある本を見つけた。
    絶対あると思っていた。何ページまでに何を書いて、何ページでこういうシーンを入れて、と細かくマニュアル化した本。
    それがこの本です。

    読み物としてもおもしろかったし、その理論はとても説得力があるように思う。(といってもあくまでも私は映画を見る側なので、受け取り手として感じた説得力ですが)

    印象的だったのは、ミッドポイントが必ず45分で訪れる、というのを著者が発見したエピソード。なかなかすごい発見だと思った。
    今まで見た映画を思い浮かべても、確かにだいたい1時間くらいでそういうシーンが来る。
    そしてそのタイミングは110ページの脚本では55ページ目に来る、という著者の主張にもなんとなく納得。少なくともハリウッド映画を見る時にわたしたちが期待している物語の起伏は、映画のジャンルにかかわらず、大まかにはそのような形になっているように思う。
    きっと太古の昔から、人類は「物語を語る」という行為のテクニックを実地で磨いていって、その到達点の一つがハリウッド映画なんだろうなぁ。

    ミッドポイントだけじゃなくて、映画は四幕になっていて、それぞれの区切り(第一ターニングポイント、第二ターニングポイント)が来るタイミングも、基本的には決まっている、というあたりになってくると、統計学の箱ひげ図をほうふつとさせられて興味深かった。
    ミッドポイントを挟んだターニングポイントは、中央値を挟んだ第二四分位数と第三四分位数みたい。

    今後は映画よりも海外ドラマが主流になるんじゃないかと私は感じているが(映画は今の二時間ドラマか、テーマパークのアトラクションみたいな位置づけになるのではないかしら、などと勝手に予測)、その海外ドラマも、一つひとつのエピソードに、やっぱり同じように型があると思う。でも、映画とは時間の尺が違うから、ちょっと違う型。

    ということで、次はこの本の海外ドラマ版みたいなのが読みたいな。
    私の体の中のエンタメ時計は、もはや映画じゃなくて海外ドラマに合わせてしまっているような気がするので。

  • 映画監督になりたかった子供の頃を思い出し購入。全ての映画は特定のジャンルに分けられるなど、衝撃的な内容が多かった。脚本を書く上で、同じジャンルからヒントを得る考え方は納得感が高かった。これから映画を見る際は意識してしまうと思う。映画だけでなく、仕事での発表方法にも活かせそうな点が多かった。

  • 物語の勉強のために

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