- Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
- / ISBN・EAN: 9784845112746
作品紹介・あらすじ
巨大な波に翻弄されたあの日、何が生死をわけたのか。人びとの記憶からあきらかになる津波の真実!沿岸部各地の被災前と被災後がわかる航空写真を収録。
感想・レビュー・書評
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人びとの記憶から明らかになる津波の真実について、今だからこそ語られた住民100人の貴重な証言を記録した一冊。
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石巻を訪問するにあたり、図書館で借りてみた本の一冊。
地元の地域紙で連載されたインタビューをほぼそのまま掲載されているだけあってどの話も非常に現実的で、九死に一生を得た話ばかりで読んでいて涙が止まらなかった。
夜寝る前に読むと夢に出そうなくらいで、読んでいてとても怖い体験談ばかりだけど、どれも現実だから目を背けてはいけないと思った。
あれから8年経った石巻の今を、自分の目で見てきたいと思う。 -
防風林をなぎ倒し、壁のように迫って来る巨大津波。道路には四方八方
から水が迫り、大型トラックさえも軽々と水流に飲まれる。
防波堤で視界が遮られ、迫って来る津波に気付かない人々に建物の
上から「津波だ、逃げろっ!」とあらん限りの声で呼びかける人。
僅かに水面から覗いた建物の屋上で身を寄せ合う人たち。水没しそう
な車の屋根に登り、茫然としている人。
何もかもを飲み込んで迫りくる巨大津波の映像は、今でも鮮やかに
思い出すことが出来る。
地震だけであったのなら、あれほどの犠牲者を出さなかったであろう
東日本大震災。本書は石巻地方(石巻市、女川町、東松山市)で津波
から生還した人々に取材したインタビュー集だ。
巨大津波に翻弄され、自らも漂流しながら同じように津波に飲まれた
人に救助の手を差し伸べた人のなんと多いことか。これが人間の
「生きてやる」という本能なのか。
100人それぞれの津波体験がある。そして、それは読む側の気を
圧する力がある。あぁ、生きていてくれて有難う。心からそう思う。
各章の巻頭には津波が襲来する以前と以後の航空写真が掲載
されており、あの日の爪痕がいかに深かったのかがよく分かる。
ここに、心情を吐露してくれた人たちの体験はとても辛いものだと
思う。それをあえて語ってくれた人たちに報いる為にも、あの大震災
と巨大津波は、今後起るであろう自然災害への対処への教訓と
しなければいけないのだろうな。 -
まぎれもなく、被災者の声がここにある。
主婦の人もいれば、役所の人もいる。
食堂経営の人もいるし、漁師の人もいる。
レスキューの人もいる。みなひとしく被災者だ。
これを読んでいる途中に九州の地震は起きた。
読んでいなければ「ひどいことが立て続いた」という
陰惨な額装に飾ってしまうし、今もそうでないとは言えない。
けれども、間違いなく別種の災害であるし、
一つの原因とみられている多数の悲劇は
それぞれ別種の悲劇だ。
だから、これはモニュメントではない。
モニュメントは代表してしまう。
そうではなくて、代表されないものを個々人が抱える。
それは話し言葉で伝えられて、そうしてはじめて個々人が抱えるのだ。
彼らは死者と手をつないでいる。
ことばによってその手はつながっている。
あの場にいなかった読者と、
この場にいられなかった死者の手は
この人たちのことばによってつながる。
それはモニュメントではないが、
モニュメントに捧げられた花束とは同じかもしれない。 -
実際に津波を目の当たりにして、実際に激流に飲まれながらも、生き残った人たちの言葉。重みが違う。入院中にこの本を読んでいたから、今自分はなんとか生きることができる。
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文字どおり津波から生還した100名の手記。目を背けてはいけない。忘れてはいけない。
助かった方々は、暗闇の奥から、流れていく家や車の中から、助けてくれと言う声を聞いています。でも、どうすることも出来なかった。
どちら側になるかは、運もあるようですが、それより「逃げる」という判断が比べられないくらい大きかったようです。
さて、私たちはこの命を懸けた手記から何を学び取るのでしょうか。 -
石巻かほく新聞に連載された100人の証言。ひたすら「聞き書き」であり、これは遺してゆく資料としても非常に重要であると思う。
バイアスや脚色を感じさせない内容だと思う。
普段の生活と共に、地震発生時のそれぞれの様子、その後どのように行動したか。また、津波発生時にどうように逃げたか。我々の生活の中に起こり得る事だという事が、少しずつ遠ざかっている気配もある今、読むべき一冊ではないかと思う。
是非多くの方に手に取って頂きたいと思う。