新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス)
- インプレス (2015年8月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784844338727
感想・レビュー・書評
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【感想】
ナタリー式のノウハウは2つ。「速くわかりやすく書く」「重複を避ける」。
ナタリーは「いい文章」を「完読される文章」と定義づけている。
完読されるためには、何よりすらすらと読めなくてはならない。すらすら読めるとは、構造が論理的であり、かつ一文一文が回りくどくなく、頭から読み下して理解できることである。
すらすらとした文章を書くためには、主眼(テーマ)と骨子を決め、文章のパーツと設計図を先に作るのが望ましい。
まずは書きたいことを箇条書きでとにかくリストアップする。気の赴くままに、誤字脱字なんて気にせずとにかく数を出していく。
パーツを集めたら次は設計図づくりだ。テーマに沿ってパーツの順番を並び替え、本当に必要な文章とそうでないものの取捨選択を行う。そして、主張したい順にABCでランク付けをし、文の比重を調整する。
こうして集めたものを繋ぎ合わせ、体裁を整えればあら不思議、記事が7割がたできあがっているというわけだ。
以上が完読されるための構造上の気遣いだが、これを支えるのが言い回しの気遣い、つまり「重複を避ける」というテクニックだ。
同じことは2回言わなくていい。スピードが落ちるだけだ。難しい言い回しも可読性を下げるし、文末が同じパターンばかりでは読み手が退屈してしまう。
なるべく最短経路で、誰にでもわかるように書く。ナタリー式のキモはここにあると言える。
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読者のなかには、ナタリー式は「味気ない文章術だ」と感じる人も多いかもしれない。
それもそのはず、ナタリーは「なんでもやる」をモットーにしている。そのため、鋭く刺さる文ではなく、万人に向けた文をとにかくたくさん届けるというスタンスで記事を書いている。
ナタリー式はかなり割り切った文章術なのだ。
ナタリーは「完読される文章」がいい文章と定義づけているが、まずその前提からして賛否が分かれるだろう。
読んだ人の心の中にトゲを残すような文章、ゆっくりでもいいから何度も読み返される文章、読みにくいが読後感も強い文章……人がどれを「いい」と感じるかは多岐に渡る。
私は文章にはTPOがあると考えている。つまり、自分が何を書きたいかによって記法を変えるべきということだ。
noteで思考をアウトプットしたい人や、ブログで日記を書きたい人が、ナタリー式のような事実を伝えることに徹したニュートラルな文体を使用しても、ただの味気ない文字の羅列で終わってしまう。また、小説を書きたい人には全く役に立たない。
大切なのは、「わかりやすく書く」「構造を整理しておく」といった基本を押さえながら、媒体と目的に沿って文をチューニングしていくことである。
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【本書のまとめ】
1 構造シートの作りかた
いい文章とは「完読される文章」である。
本書の目指すゴールは、完読される文章を書けるようになることだ。
①
・書き始める前にまず「テーマ」を決める。
・その後、テーマのために「何を」「どれから」「どれくらい」話すか決める。
②
・書きたい話題を箇条書きにする。(パーツあつめ)
③
・主眼をテーマ欄に書き込む。
・話したい順番にパーツへ番号を振る。
・紙を替え、話題を順番通りに並べ直す。あらためて主眼を書く。
・テーマに沿って、パーツを「どのくらいのウエイトで話したいか」でA.B.Cにランク付けする。
これらは必ず「手書き」でやること。パソコンを使ってやると、面倒になっていきなり文章を書き始めるスタイルに戻る人が多くなる。
構造だけで文章の70%が出来上がる。事実とロジックがしっかりしている文章ならば、言葉遣いが無骨でも読まれる文章になる。
2 推敲
●重複チェック
推敲の第一歩は重複チェックだ。
・「の」が続く
・動詞がダブっている
・文末のバリエーションが同じ
・体言止めを連続で使用している
これらはNGな例として覚えておこう。
文末表現のカードをいかに多く持っているかが、文章力の秘訣と言っても過言ではない。
・過去や未来の出来事に現在時制の文末を混在させることで、バリエーションが豊かになる。
・文型や段落単位でも重複に注意する。
2つの段落の構造が丸々同じだと、読んでいて冗長に感じてしまう。
・文を適切な長さに区切る。
すべて単文ではないにせよ、ぎりぎりぶっきらぼうではないくらいの素朴さがいい。
推敲の終わりには、必ず冒頭から音読して読み返し、滑らかに読めるようチェックすること。
3 明快に
・接続詞を削る
・重複を削る(特に主語)
・「という」「こと」を削る
・代名詞を削る
・不必要でおおげさな修飾語を削る
・脱線、メタ言及、エクスキューズを削る。
・「が」を順接で使わない
・「で」でだらだらと繋げない
・係り受けは、なるべく距離を近づける。
修飾語は長いものほど先に置く。同様に、より大きな状況ほど先に置けば読みやすくなる。(年月→場所→人物)
同じ情報を並列するときには、語句のレベルを合わせるようにすること。動詞と名詞を並べたり、対応する述語が違うものをひとまとめにしたりしない。
4 スピードをコントロールする
文章は明確で簡潔に、とよく言われるが、シンプルすぎてもぶっきらぼうになってしまう。大切なのは適度なスピード感だ。
①体言止めは最小限にする
②安易に名詞化しない(〇〇感、△△的、□□化など)
③指示語は極力使わない(使うなら直前の語を受けるにとどめる)
④今回、本作、当サイトなどの「指示語もどき」を多用しない
→長い固有名詞の重複を避けるためには便利だが、分かりにくくもなるため、可能な限り別の表現を探すこと。
⑤ぼんやりワードを使わない
企画、作品、楽曲、番組、物語、コンテンツ、ストーリー…
おのおの具体的な言葉に置き換えること。
5 もっと読んでもらうために
・具体的なエピソードを書く
・主観を交えすぎるとくどくなるため、なるべく客観的に書く
・数字を入れて具体性を上げる詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「実用的な文章を効率よく!」
元ナタリーの編集長が書いている通り、ロジカルな文章力を磨きたい、多く速く文章を生み出したい人向け。
中には構造シートというテーマ決めから5W1Hで内容を整理する方法なども紹介されている。
その他、帆¥細かいティップスだと
・体言止めや過度な名詞化はぶっきらぼうな印象を与える
・指示語の多用や既知を要求する言葉は避ける
・漢字の割合をコントロールする
など、「なんとなくこちらのほうが見栄えが良い」の「なんとなく」の部分をロジカルに説明してくれているので、てっとりばやく「伝わりやすい文章が書きたい」人にはインストールしやすい一冊だと思う。
一方で、小説やいわゆる「エモい」文章を書きたい人とはまた趣旨がズレるので注意。 -
書籍や映画の感想をうまく書きたいけど、どう書いたらいいかがわからないので購入。
筆者はナタリーの元編集長。
新人記者教育をパッケージした本となっている。
「書きたいことがあるけど、どう書いたらいいかわからない人」に向けたメソッドがこの本にはかかれてある。自分にはぴったりだった。
メソッドの内容は一言で「いきなり書き始めてはいけない」ということ。
自分が一番興味深く読めた部分はまさしくその部分を説明した1章で、これから数多くある文章を書く機会に実践しようと思った。
2章以降は書く前の準備が身についた人へ向けた技術が主となっている。文章を書くことに慣れてきたら、もう一度読み返したい。 -
横書きの見開きで、とても読みやすかったです。
文章に行き詰まった時、また読み返そうと思います。 -
WEBライターにおすすめの本ということで、早速、購入。
何気なく書いている文章では、読み手は離脱してしまうというのが良く分かった。
簡潔で伝わりやすい文章は、完読されやすくなる。
書く前の準備がおろそかになると、結局書きたいことが脱線してしまうのはよくあることだと痛感。
記事の構成作りで時間がかかったり順番が正しくなかったりすることも多いので、この本は、非常に役立つポイントがまとめられていると思った。 -
◆どうして読もうと思ったのか?
現時点で、自分の文章をより改善できるような手法がないか、探したかったから。
◆どんな本なのか?
70以上もの、文章を改善できる手法が並んでいる。
文章を書き始めてから、読んでもらうまでの間で駆使できる技術が盛り込まれている。
仕事やプライベート等、普段文章を書く人にオススメしたい1冊です。
自分の文章で、改善できそうな方法が絶対に見つかるはずです。 -
前提としてニュースメディアの運営に携わっていた人が方法論をまとめたというスタンス。
主観を混ぜることなく「分かりやすく」「正しく」伝えることを主眼に置いている。
そのためセールスライティングとはまた違ったテイストの本になっていて面白い。
伝えたいことを羅列して全体の構成を考えてから書き始める、各セクションの目的をしっかりと持って書くという点は脚本を書く時以外あまり意識できていなかったかも。
良い文章=完読される文章
インタビュー=同意と深掘り (初対面の相手にも使えそう)
国語の時間に習うような細かな表現のミスをまとめて再確認できるという観点からもオススメ。 -
文章書くのに困ったという時に、とても読みやすい本に出会いました。
「新しい文章力の教室」
本の表紙、帯、目次でほとんど説明してくれていました。
「書く前に準備しろ」これに尽きる。 -
文章の書き方を丁寧に説明している。
読者の「完読」を目指し
文章構成を見た後で、普段何気なく書いている部分を細かく指摘していく。
ミクロ・マクロ視点での重複内容を取り払うこと、主語と述語の一致、抽象ワードの削除など実践的ない内容が多く勉強になった。
読み手の視点に立ち、どうすれば「完読」できるのかを主眼に置いており、何度も参考にしていきたい