そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい

著者 :
  • 雷鳥社
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784844137597

作品紹介・あらすじ

植物観察家の鈴木純さんが、まちの植物にずんずん近づいて個性的な見た目や生き方、謎解きなどをぶつぶつ言いながら楽しみます。観察の楽しみ方のコツが伝わるようにとの思いを込めて、漫画のようなコマ割りで、著者と一緒に観察しているような感覚で読めるようにしました。まちなかの植物を約30点掲載。使用写真は500点ほど。全く新しい植物観察の本です!この本を読むと、まちの見え方が変わります。

感想・レビュー・書評

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  • この本の表紙の素朴で可愛らしいお花、何だと思います?
    正解は、、、皆の嫌われ者、ヤブガラシ。
    もともとそこに生えていた植物も枯らしてしまう、藪をも枯らす勢いの生命力。
    そんな植物もこんなお花が咲くんですね。
    とにかく嫌われているので、まさかヤブガラシ自身も表紙になるとは思ってなかったでしょう。

    この本には街にでもいそうな、身近な植物達がたくさん出てきます。
    道端や駐車場、街路樹、公園にいる樹まで。
    それらを【植物観察家】鈴木純さんの視点で一緒に観察していく、というコンセプトです。

    豊富な写真が漫画のコマ割のようになっていて、植物達にズームしたり、触ったり、実を崩してタネを数えたり。
    鈴木さんのつぶやきが吹出しのようにデザインされています。

    なんでも楽しむためにはコツが要りますよね。
    そのコツを教えてもらえます。

    図鑑やネットで調べて頭にインプットするのも楽しいけれど、外にでて、風を感じ、匂いを嗅ぎ、触れるのも大事なのだ、と改めて思いました。
    図鑑やネットが間違っていることもあるかもしれませんしね。

    「そんなふうに生きていたのね」

    一番好きだというツメクサ。
    アスファルトの割れ目によく居る背の低いザ・雑草なイメージの地味な植物。
    そんな植物に掛ける声はとても愛情に満ちていて、温かいのです。

    • やまさん
      5552さん
      こんにちは。
      1月から、その月の最後に読んだ本に、その月のベスト3を載せています。
      きょうから始めています。
      やま
      5552さん
      こんにちは。
      1月から、その月の最後に読んだ本に、その月のベスト3を載せています。
      きょうから始めています。
      やま
      2020/02/23
    • やまさん
      各位
      こんにちは。
      1月最後に読んだ本は、「新・浪人若さま 新見左近【四】-桜田の悪 (双葉文庫) 」です。
      見つけ方は、私のページの...
      各位
      こんにちは。
      1月最後に読んだ本は、「新・浪人若さま 新見左近【四】-桜田の悪 (双葉文庫) 」です。
      見つけ方は、私のページの「読書グラフ」の2020.01をクリックして、1月、本、27(冊)をクリックして、一番最後までもって行くと最後に読んだ本の所に行き当たります。
      やま
      2020/02/23
    • 5552さん
      やまさん、こんにちは。
      1月は27冊も読まれたんですね。
      それにレビューもちゃんとしてらして、凄いです。
      ベスト3の件、承知しました!
      やまさん、こんにちは。
      1月は27冊も読まれたんですね。
      それにレビューもちゃんとしてらして、凄いです。
      ベスト3の件、承知しました!
      2020/02/23
  • 一昨日の早朝、ウグイスの初音を聞く。
    芽吹きの季節はあっという間にやってきた。
    ブク友さんのレビューで知った本を、さっそく読んでみることに。
    大変読みやすく親しみやすく、植物観察の入門としてふさわしい本だ。
    暮らしの身近にある植物ばかりを取材してるという点も微笑ましい。
    深山に生息する地域限定の山野草を紹介するような本ではないのが良いところ。
    まるでブク友さんのレビューのように温かくて、読後がとても気持ちが良いのだ。

    フリーの植物ガイドとして独立しているという著者の肩書は、「植物観察家」。
    門外漢ではなく、かと言って研究者でも専門家でもない。
    植物に対するその視点は、触れたり嗅いだりしながら驚きの発見をしていくという、植物観察のアイディア集のようなものになっている。

    豊富な花の写真たち。
    そこに白抜きで吹き出しが書かれ、著者の脳内会話がキャプションで挿入される。
    もうここだけで面白い。
    花の名前を憶えたくとも、そもそも見分け方さえ分からなかった頃を思い出す。
    ああ、そう言えばこんな風に思った。こんな風に驚いたりした。この敷居の低さが、とても魅力的だ。

    葉室麟さんの小説で「蛍草」と呼ばれているツユクサの観察は、ちょっとした目からウロコ。
    稲垣栄洋さんの解説にも通じる植物のしたたかさを、こちらでも知ることになる。
    自家受粉までの過程を拡大画像で見せてくれるから、結構な迫力だ。
    夏の朝、見つけるたびにちょっとドキドキする「カラスウリ」の花も、幻想的に登場。
    怖ろしくなるほど増え続けるヤブガラシだって、可愛い花をアップしてもらって喜んでいるかも!ちなみに表紙画像がそれ。刈り取っても刈り取ってもめげないコなんだけどね。

    各章の終わりにあらわれる著者のコラムも面白い。
    「もしも目の前に困難や不安が立ちふさがった時には、足元の自然を見てほしい。
    そこにはこの本で紹介したような、自ら動けないからこそ、あの手この手で工夫を重ねて生きている植物たちがいる。
    生まれながらに違う個性を持った彼らが、他と自らを比較することなく我が道を進んでいく様子を見ていると、私たちも自分自身の世界を大切にし、ありのままに生きていていいんだ。と、勇気をもらうことが出来るはずだ。」
    全ての方に、おすすめ。
    日々驚いたり喜んだりしたいワタクシには、心の栄養となった一冊なのでした。

    • 5552さん
      nejidonさん、こんばんは。

      nejidonさんの所はウグイスの鳴き声が聞けましたか~。春ですね。ウグイスって鳴きはじめがたどたど...
      nejidonさん、こんばんは。

      nejidonさんの所はウグイスの鳴き声が聞けましたか~。春ですね。ウグイスって鳴きはじめがたどたどしくって可愛いです。

      この本、良い本ですよね。
      お散歩が楽しくなります♪
      図書館で借りたのですが、実はまだ手元にあるんです。新型コロナの影響で図書館が休館になってしまって、返せないままになってるんです。
      なのでパラパラと読み返しながらnejidonさんのレビューを拝読しました。
      作品のキモを押さえつつ、楽しく、誠実なレビューだなあと感嘆しました。毎回ですけどね。


      2020/03/22
    • nejidonさん
      5552さん、こんにちは(^^♪
      こちらのレビューにコメントを下さってとても嬉しいです!
      5552さんのところでお見かけしてから、ずうっ...
      5552さん、こんにちは(^^♪
      こちらのレビューにコメントを下さってとても嬉しいです!
      5552さんのところでお見かけしてから、ずうっと読みたいなぁと思っていました。
      本当に、珍しいほど読みやすいですよね。
      なかなかこういう本は出ないかもしれません。

      そちらでは図書館そのものが休館でしたか。
      仕方がないことですが、不便ですよね。
      私の方は「返却ポスト」が館外に設置してあって、休館でも返却できるようになっています。
      閲覧や視聴、学習はできないけど、予約した本だけは借りられますよ。
      せめてそうなってくれると助かるのですけどね。。
      私は自分のレビューはそんなに好きではありません。
      読む人は退屈だろうなぁと、いつも心配しています。
      何より、皆さんの大好きな小説が全然出て来ませんし・笑
      そんなわけで、読んで下さる方をこっそり尊敬しています、ええ、本当です(^^;
      2020/03/22
  • まちの植物観察会を行っている人が工夫を凝らして書いただけあって、素人が興味を抱くツボを押さえた写真や吹き出しに引きずり込まれました。

    今年は春の期間コロナ自粛で人間どもが家でうだうだしていたせいか、街の雑草たちが伸び伸びと育ちました。
    外出禁止で何処にも行けず、なまった身体をほぐすため近場を散歩する日々が続きました。
    気が付けば散歩の暇つぶしは、道端や公園の雑草観察に!
    普段ならチラ見しかしないのに、よく見れば可愛らしい花を咲かせているではありませんか。
    何て言う名前の花(草)かな?と思うのは自然なこと。あとで調べようと写真だけはたくさん撮りためました。

    今の季節は地中の根(地下茎)が取り切れず毎年大量発生して駆除できないヤブカラシ、ドクダミが一番の厄介者。
    綺麗な花が咲くので放置しておくと大量の種をまき散らすナガミヒナゲシも近年勢力拡大中の困り者。
    観賞用の草花は大切に世話をしていても枯れてしまったりするのに、こいつらの生命力の何と逞しいことか。

    それにしても植物は沢山の種類があって識別ができないせいか名前が覚えられない。
    同じなのにいくつも名前がついていたりして余計覚えられない。
    ヒガンバナは曼殊沙華と呼んだりするが、全国各地で1000もの別名を持つらしいので困ったもんです。

    この本、視点がユニークで最初から最後まで新鮮な驚きに満ちていました。おもしろかった♪

  • ブク友さんのレビューを拝見して手に取ったこの本
    教えてもらったことに感謝!感謝です
    開いてから閉じるまで何回驚嘆、感嘆の声を発しただろう
    もしかしたら、すべてのページで、
    「ええっー」「わあ、きれい」「すごーい」「へえ、そうなんや」などの声を発したかもしれない
    それぐらいおもしろかったし、驚いたし、感動した

    まず、最初に登場したシロザとアカザの葉の表面の白と赤のビーズ、魅せられてしまった

    草というのは、田舎に住む主婦にとっては、宿敵のようなもの、まして梅雨どきや夏場になれば草の勢いもすごく、早朝5時には起きて、草引きの毎日

    あなたたちは、こんなに健気に一生懸命に、したたかに、種を守るために頑張っていたんだね、いやあ、申し訳ないと謝りたくなった

    この本を読み終えた翌朝のワンコの散歩時、私はひたすら下を向いて、道路の割れ目や畦道の草に目を止めた
    それぞれに小さくても個性があり、美しい
    これからは散歩にルーペは必携だなと思った

    前々から彼岸花については疑問に思っていた。ある日、何の予告もなしに、打ち合わせをしたかのように畔に一斉に彼岸花が咲いているのを見て、葉も見たことないのに、どうなっているのだろうと。こういうことだったのかと合点がいった
    今年の秋には、彼岸花が咲き終わったあと、葉が伸びてくるのを見つけたい。彼岸花の別名「葉見ず花見ず」をこの目で確かめたい

    また、コンクリートや石のタイルの割れ目に生えたツメクサの花もじっくり見てみたい

    是非、鈴木さんの植物観察会に参加してみたいなあとも思った

    この本おススメです!!

  •  さんぽみちなどに生えている身近な植物の秘密にふれることができました。著者の気持ちがまんがのセリフのようにふきだしで表現されてて、「おおっ?」「へえー!」「ふふっ」と楽しめます。
     読むと、植物がともだちになった気分になり、植物を愛でたくなるとおもいます。
     印象に残ったフレーズは、『植物の名前を知るとともだちになれる』
    春になり、散策の友としたいです。

  • 植物が皆同じように見える私にとって、この本は、正に目から鱗の内容でした。しかも、分かりやすくて、おすすめです。

    他の図鑑のような堅苦しい文字の羅列ではなく、漫画のようなコマ割りと台詞で、植物観察家の鈴木純さんの視点で眺める、植物たちの多種多様な生態には、楽しいと共に、ただただ溜息ばかりで、こんなにも知らないことがあったのかと愕然とさせられました。

    しかも、それらは面白く興味深いものばかりで、ルーペで拡大して覗くことによって、芸術性の高い葉っぱや花の作りを実感したり、実が小さいミカン(なんと3ミリ!)みたいだからコミカンソウだったり、ナガミヒナゲシのひとつの実を数えて、その種の数が2858個もあったりと、鈴木さん自身の楽しさが私にも伝わってくるようです。

    また、植物が如何に生きるのに一生懸命なのかも知ることができ、朝は虫による受粉でほかの花との交配を狙い、成功しなければ、くるくる丸めて自分の花の中で受粉をする二段構えのツユクサや、アリが好む物質を含むエライオソームを種にくっつけて、アリに運んでもらう作戦のクサノオウ等々、もしかしたら、私が歩く周辺でこのようなことが起こっているのかと思うと、何だか励みになる思いがしました。

    更に、「名前を知ることによって、そこの樹木がケヤキとなり、そこの草がハゼランとなったとき、世界はお友達だらけになる」という言葉もすごく心に響くものがあり、私の世界が明るく賑やかになったように感じられて、この本を片手に、植物を探すのが楽しみになりました。

  • 子供の頃、みちばたの植物を見ながら帰るのが好きでした。
    すずなりの草、小判の木、クサクサ草など…
    自分たちで考えた名前を付けたり、
    お姉さんやお兄さんたちに教えてもらって摘んで帰ったりしていました。

    この本はそんな子供の頃の発見をまた教えてくれた本

    よく見るとすごい構造だったり
    小さすぎてわからないけどとってもかわいかったり
    驚きの生態をもっていたり…

    この本を読んだあと何気なく歩く公園の草むらが
    本当に楽しいものになりました。

    著者の鈴木さんの写真も美しい!
    そしてなによりも鈴木さんの視点が優しい

    私もいつか鈴木さんの植物ガイドツアーに参加してみたくなりました。

  • これはこの本を読んでもらうしかないくらい面白かった。
    著者の植物への興奮が伝わってきてずっと「へえ〜!」「すごいな〜っ」ばかり連発して楽しかった。


    ・ソテツ 新芽のクルクル p27
    ・雌雄異熟の植物  p91
    ・ネジバナ 螺旋状に小さな花 p94
    ・ツユクサ 横から見た造形美 p104
     昼になると雄しべを丸めて雌しべにくっつける
    ・アメリカシャクナゲ 立体的で小さな蕾 p115
     雄しべが中心にまるまった時の造形美
    ・ナガミヒナゲシ 3000粒の小さなタネが詰まった実p164
    ・ユリノキ パラパラと外れるタネが集まった実っぽいの p184
     風の抵抗でクルクルと回り落ちる形になっているタネ

    ・ユズリハ 葉が落ちた後が笑ってるように見える p202

    ・ヒガンバナ 冬緑性 秋から春に葉をつけ、夏は蓄え、秋に花をつける p225

    p192
    自分で勝手にテーマを見つけて観察する
    書いてあることでも確かめたくなる

    → 植物観察に限らず自分が好きな物とか、必ず先にチェックしちゃうのもわかるなあ
    著者の鈴木さんがとにかく植物観察にワクワクしてるのが伝わってきて、その世界をすこし見せてもらった感じがよかった

    p230
    朝、植物をみて
    昼、植物をみて
    夜、翌日の作戦を練る
    → 植物観察に限らず、何かにハマるとこうなるのすごくわかる

  • 「そんなふうに生きていたのね」 足もとの植物が教えてくれるこの世界の豊かさ(岩永直子)BuzzFeed News
    https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/shokubutsu-kansatsuka

    そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい|その他|書籍|雷鳥社 Raichosha
    http://www.raichosha.co.jp/book/other/ot48.html

  • 街中でよく見られる植物が紹介されており、こんな視点で観察したらこんなにおもしろいのか!と発見があります。

    著者の視点がほんわかユーモラスで、読んでいてとても楽しい。

    ナガミヒナゲシを見るたびに、こ、この中に2800個もの種が入ってるのか、と思うようになりました。

    ケヤキの冬芽の中には枝葉がセットになって詰まっているとか、ハナミズキの花は実は真ん中の地味な緑の玉!など、きっと散歩中に連れに話したくなるなあ。

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著者プロフィール

植物観察家。植物生態写真家。1986年東京都生まれ。東京農業大学で造園学を学んだのち、青年海外協力隊に参加。中国で砂漠緑化活動に従事する。帰国後、国内外の野生植物を見て回り、2018年にフリーの植物ガイドとして独立。野山ではなく、街中をフィールドとした植物観察会を行っている。2021年に第47回東京農業大学「造園大賞」を受賞。著書に『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい』『種から種へ 命つながるお野菜の一生』(ともに雷鳥社)、『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう!すごすぎる身近な植物の図鑑』(KADOKAWA)、『子どもかんさつ帖』(アノニマ・スタジオ)、監修に『はるなつあきふゆのたからさがし』(矢原由布子・アノニマ・スタジオ)、『まちなか植物観察のススメ』( カツヤマケイコ・小学館)ほか、雑誌等への寄稿多数。

「2023年 『冬の植物観察日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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