今こそ読みたいマクルーハン (マイナビ新書)

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  • マイナビ
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784839946531

作品紹介・あらすじ

メディアはメッセージである-マーシャル・マクルーハンという人物についてよく知らなくても、この有名なセリフは聞いたことがある人は多いでしょう。メディア論の大家、マクルーハンは、まだテレビが新しいテクノロジーだった時代に、来るべきネット社会の到来を予言していました。彼はメディアやテクノロジーに対する深い洞察を通じて、人間が何を考え、社会がどのように動いているのかを解説してみせたのです。彼が現在の情報化社会・ソーシャル時代を目にしたとしたら、どのような考察を行うのでしょうか。本書では、マクルーハンに初めて触れるという方にも分かりやすく、彼の理論のエッセンスについて解説します。

感想・レビュー・書評

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  • 半世紀前のマクルーハンの英知をTwitter、facebook、Line等ソーシャルメディアやビッグデータなどの現代のテクノロジーで発生する様々な事象を通じて論じ、難解なマクルーハンの主張を身近なものにする好著。

    マクルーハンの予言には驚くばかりですが、新たなテクノロジーが社会にどのような影響を与えるかを、衰退、強化、回復、反転と四つの視点で考察する「テトラッド」が思考のフレームワークとして特に興味深かった。

  • あれだけ学生の頃勉強したはずのマクルーハンだけど、現代の課題を切り口に検討し直すとこれだけ味が出てくるんだな…2013年の本だけど、5G時代に向けてもう一度メディアについて考えるのにいい準備運動になった。

  • LINEなどのSNSやスマートフォンなどいまのメディアを引き合いにだして分かりやすく説いたマクルーハン入門書。

  • 50年前のメディア論がまったく陳腐化していない先見性のある内容であることを大変わかりやすく読みやすく解説してくれている本。

    [more]<blockquote>P22「メディアはメッセージ」は、義務教育で教えてもよいくらい重要な言葉ではないでしょうか。

    P75 マクルーハンは人間が個々の感覚(視覚や聴覚、触覚など)をどの程度使っているのか、また全体として個々の感覚のバランスはどうなっているのかが重要であると考え、そのバランスを「感覚比率」という言葉で表しました。新たなメディア=テクノロジーの導入は必然的に感覚比率を乱すものとなります。マクルーハンはその乱れが、人間に不安を与えるのではないかと考えました。

    P117 感情的なコミュニケーションも、マクルーハンが「聴覚的空間』における人間の行動の特徴として挙げているものです。さらに彼は、聴覚的空間における人々は、『国民』というような単位ではなく『部族』という小グループ単位でまとまると考えました。

    P147 断片的な情報をまとめてひとつのコンテンツを作る「キュレーション』と言う行為(そしてそれをサポートするツールの人気が高まっています。マクルーハンはメディアがホットになることを「加熱(ホッティング・アップ)」と表現していますが、人間はどうやらメディアを加熱するのが大好きなようです。

    P168 フィルター、あるいはメディアそのものが生み出す「疑似環境」の歪みによって、人間の認識や思考も大きくゆがめられてしまうリスクがあるわけですね。ただ、人間はメディアを変え、まったく別の動物に生まれ変わったかのように「環世界」を置き換えることができます。そうやって複数の環境を見て考えるようにすれば、個々の環境が持つゆがみを意識することができるのではないでしょうか。

    P169 マクルーハンは「見えない環境を探る」という自らの手法を表現するために『プローブ』という言葉を使いました。【中略】事実を借りの「プローブ」として使い、知識やパターンを発見することがわたしのやろうとしていることだ。従来のような形で、事実を分類し、整理しようとしているのではない。古いランドマークを地図に載せるのではなく、新しい地形そのものの地図を作ろうとしているのだ。
    「私は説明しない。探求するのみ」

    P196 いくら頑張っても、人間は過去の視点(バックミラー)からしか物事を見ることができず、現在の延長線でしか未来を考えることができないというわけです。
    「われわれはバックミラーを通じて現代を見ている。我々は未来に向かって、後ろ向きに進んで行く」

    P208 すべてのメディアには、強化と衰退という機能がありそうです。そしてマクルーハンはこの考え方を整理し、『テトラッド』(四つの組)という名前で理論化したのでした。−強化・衰退・回復・反転

    P232 時間と空間の消失−デジタルメディアを象徴する性質 まるで村のように狭い空間に一緒にいるのと同じ状況になる。原始的な感情と部族的な集合体が支配する「村」が復活する(「聴覚的世界」は情報が同時多発的に上下左右さまざまな方向からやってくる、そしてそのような状況下で生きる人々は、感情的な思考をし、集団的な意識を持っている)


    P255 全人類の歴史の中で、20世紀の子供ほど一生懸命に働いている子供はいない。何をしているかと言えばデータ処理である。今日、一人一人の子供がデータ処理を迫られているその量は、いかなる人間の標準から言っても大きすぎるのである。

    P263 「見えない環境(フィルター)を意識し、それを可視化させるようにする」アプローチを学ぶこと自体が、現在の僕等にとってますます重要になりつつあると言えるでしょう。</blockquote>

  • 献本にて頂く。

    以下の記事にて紹介。

    <a href=\"http://rashita.net/blog/?p=11784\" target=\"_blank\">【書評】今こそ読みたいマクルーハン(小林啓倫)</a>(R-style)

  • メディア論の大家のマクルーハン、手頃な入門書が見つかったので読んでみた。

    マクルーハンの秀逸なアフォリズムをわかりやすく紹介していてgood。
    もちろん、「その解釈は強引じゃない?」と思う点も何箇所かあるが、難解で発散する文章をここまでまとめるのは本当に敬意を表したい。

    マクルーハンの示唆した内容が今のメディア環境にも当てはまっているということを実感するとともに、現在のメディア論を眺める上でもマクルーハンの議論は役に立つだろうと思った。

  • 読みやすさ  :★★★★☆(読みやすい)
    分かりやすさ :★★★★☆(分かりやすい)
    内容の充実度 :★★★★☆(満足)
    全体のまとまり:★★★★☆(まとまっている)
    費用対効果  :★★★★☆(買って読む価値がある)
    読後感    :★★★★☆(モチベーションがあがる)

  • メディアの話によく出てくるマクルーハン。でも名前を聞いたことある(そして断片的な引用しか見たことが無い)程度の自分が、初めて全体像を知ることができた本。マクルーハンの理論のエッセンスが平易な言葉で要領良く書かれている。

    マクルーハンの話でジェミノイドとの関連が引かれてたり(P.65)、Googleグラスとの関係性が説かれてたり、フィルターの問題が示されてたり、と正に現在進行形の話題とマクルーハンの理論を絡めてあったので、こういうポイントというのがわかりやすい。

    特にバックミラーを通して未来を見る、という話と、新しいテクノロジーは不安とノスタルジーを引き起こす、という話は印象に残った。
    『そうした激しい批判を引き起こすものこそ、僕らが「実は社会にとってプラスになるのではないか?」と考えるべきものなのかもしれません』『自分の目では気づきにくい見落としを避けるために、あえて人々が拒否反応を示しているものを探すようにする、というわけです』『少なくとも様々な批判が、いかに漠然とした根拠の上に繰り広げられているかということに、驚かされるのではないでしょうか』
    本書にもビッグデータの話題が少し出てきたが、昨今のプライバシーと匿名化されたビッグデータの利活用化というのが、この議論においてどこにあるのか、マクルーハンの意見が聞いてみたい。

  • メディア関係の本を読んでいると盛んに引用されるのがマクルーハン。しかし、一方でマクルーハンの書は難解との評判もあったので、マクルーハンのガイド本として本書を手にとってみました。

    マクルーハンが残した言葉を噛み砕いて分かり易く解説しています。メディアに携わる者としてマクルーハンを勉強してみようと思わせてくれる一冊でした。

  • マクルーハン の 「メッセージ」を初心者の私にでも分かりやすく説明してくれている本。抽象度の高い「メッセージ(アフォリズム)」だからこそ、マクルーハンの言葉は時代に関わらず応用できるんだろうなぁと思った。原書にもいつか挑戦してみたい。

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著者プロフィール

【訳者】
小林啓倫
1973年東京都生まれ。筑波大学大学院修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBA取得。外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業などで活動。著書に『FinTechが変える!金融×テクノロジーが生み出す新たな新ビジネス』(朝日新聞出版)など、訳書に『操作される現実』『ドライバーレスの衝撃』『テトリス・エフェクト』(以上、白揚社)『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』(日経BP)などがある。

「2022年 『情報セキュリティの敗北史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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