名画で学ぶ経済の世界史 国境を越えた勇気と再生の物語

著者 :
  • マガジンハウス
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838731008

作品紹介・あらすじ

美術史で語られるルネッサンス(再生)とは、
イタリアがペストから再生する人々の物語でもあったーー。

絵画の背景にある「経済」という人間の営みを、
人気公認会計士の著者が縦横無尽に解き明かす
最高に刺激的な知的エンターテインメント。

登場するのは、神父、軍人、富豪、商売人、哲学者、貴婦人、
政治家、画家、パトロン、名もなき市民……
そして、レオナルド・ダ・ヴィンチやナポレオンも!

有名無名の彼らが苦悩し、切り開いてきた世界史の舞台裏を
訪ね歩いてみませんか? 

感想・レビュー・書評

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  • ルネサンスからはじまる西洋美術、絵画の歴史を辿るところは、一般的な美術史の本と共通していると思うけれど、
    この本は、西洋美術において大きな動きのあった地域とメインとなる画家に焦点をおきつつ、さらにタイトルのとおり、その時代の経済史的な背景についても説明してくれるものになっている。

    こう書くと、すごく堅苦しい本に思えるけれど、そんなことはなく、著者自身の感想や趣味もまじえつつ、フランクな語り口で、楽しく読める本になっている。

    絵画というと、芸術、文化というイメージがあるが、この本では、それだけでない、画家のパトロンの変化や、商品、投資対象としての絵画のあり方など、絵画には経済的な側面もあるということが、言われてみれば当たり前のことなのだけれど、発見だった。

    また、絵画や芸術は、高尚なものと遠ざけてしまってはもったいない、もっと身近にふれて、視野を広げてくれるものなんだなと思える本だった。

  • 読みやすくて、わかりやすい。
    もっと深く知りたくなります。
    知的好奇心を刺激してくれるいい本です。
    ヨーロッパの歴史や風俗をもっと学びたくなりました。

  •  いやー,面白い本でした。経済と世界の絵画とのコラボがとても刺激的でした。このような視点で一冊の本を書ける人って,ちょっと変わり者ですね。少なくとも私にとっては,今までになかった視点を与えてくれました。しかもほんとに面白かった。「もっと読みたい」って思ったからね。
     「経済と絵画との関連」と聞いて真っ先にわたしが予想したのは「絵の中に何か,経済に関することが描かれているのかも」ということだった。読んでみると,確かにそんな話もたくさんあった。考えてみれば,絵画作品そのものも商品の一つだし,今じゃ金持ちの投資先の一つだとも言えるのだから,経済と結びつくのは当たり前と言えば当たり前。画家という職業は一種の商売なのだから,経済に結びつくのは必然でもある。
     自分らしさを追求したい…でも,そればかりじゃ絵が売れない。妥協も必要だけどやっぱりやりたいことはある…画家たちのこういうジレンマの中で,私たちを魅了する絵画が出来上がってきたのかと思うと,これまでちょっと近づきにくかった名作絵画がとても身近なものに感じてくる。
     文体も柔らかく,すぐそばにいて語ってくれるような調子。著者の専門分野である経済の講演会も笑いありで楽しいらしい。ぜひ,ライブで聞いてみたいものだ。

  • 名画に隠された秘密(作者の人生や時代背景)を丁寧に、かつ笑いも沢山織り混ぜながら解説して下さります。読み終わる頃には、高校の世界史で暗記科目として覚えた知識が、点と点が繋がるように整理され、知らぬ間に世界史と会計史の基礎的な知識も身に付きます。
    ヨーロッパへ旅行に行くたびに、パックツアーのスケジュールで、たった数時間で有名美術館をハシゴする行為が恥ずかしくなりました。事前に歴史・宗教を学んだうえで、時間をたっぷり取って訪問し、一枚一枚を眺め、画家と自分との対話を重ねてみたいですね。そんな「心が豊かになる旅行」を実現するための、収入と時間を手に入れるべく、人生を再設計します。

    筆者の田中先生とは企業の研修を通して出会うことが出来ました。公認会計士のお仕事から、歴史、落語、美術、リベラルアーツと、年々テリトリーを広げていらっしゃる方です。お会いするたびに、若者顔負けのバイタリティーと学習意欲のオーラが伝わって来ます。今後も田中先生の活動に目が離せません。

  • 絵画を鑑賞することはあっても、絵画史の知識はなく、印象派前の宗教画や人物画は何となく暗い感じがして敬遠していた。
    本書が説くように、絵画を経済の流れの中で見ると、ずっと生き生きと感じられ、随分と視野が広がった。
    それにしても著者の該博な知識と読みやすい文章は素晴らしい。書物としては、著者の本業にも絡む「会計の世界史」の方が読み応えがあったが、本書も評判の書だけあった。

  • 想像以上の面白さ!絵が好きで詳しい人でも知らなかったようなエピソードを、その絵が描かれた当時の時代背景を踏まえながら教えてくれる一冊。
    そして、コロナ以降に出版されたからか、それぞれの時代の画家や民衆が、何度も困難を乗り越えてきたエピソードが散りばめられていて、今を生きる私たちに勇気や希望まで与えてくれる一冊だった。
    ぜひ続編や別のバージョンも出して欲しい!

    この本を読むことで、それぞれの名画をより楽しんで鑑賞できるようになった気がする。

    特にへぇーっ!と思ったポイント。
    ・中世のイタリア人はめちゃくちゃ几帳面でなんでも書類にしていた
    ・絵画の一般公開を始めたのはナポレオン
    ・質実剛健ぽいイメージのミレーはめちゃくちゃミーハー(出たばかりのカメラで自分の作品集を撮影)
    ・ルネサンスはペストを乗り越えた復活の象徴でもあった
    ・「金のために働く」か、「自分のやりたいように働く」か、その答えはルノワールに聞け(見る人を幸せにするために働く)

    軽妙な語り口(イケてる男女を描かせたら天下一品の"モテ系"ルノワールと、山やリンゴばっかり描いてる"オタク系"セザンヌとか)も魅力の一つ。

    笑えて知識が深まって元気になれる一冊✨

  • 絵画と歴史。絵画をみるときに当時の背景が分かると面白そう。

  • 会計士という美術とは全くの異業種の著者。
    だからこそ書ける視点です。著者のファンなのでこの書を手に取る。

    コロナ禍であることを強く意識し、疫病とヨーロッパの歴史において
    絵画と画家について、著者得意のストーリで新たな視点で展開されており、
    いつの時代も、進化していくことが大事であることを得ました。

    サブタイトルにもあるように、「勇気」を過去の歴史を名画と経済という
    視点で画家をモデルロールとして描いており、
    前向きになれる気持ちになれました!

  • 名画で学ぶ経済の世界史ということで、経済に関することがメインで書かれているのかと思ったが、配分としては、名画やアートに関することの方が多かった印象。
    私は、アートが好きなので全く問題なかった。

    いろんな絵画や画家、時には画商まで話が及び、うまく歴史とも絡めていて、あっという間に読み終わった。

  • なんて素晴らしい本なんだ!
    絵画だけでなく宗教、歴史、民族、色々な知識が得られる素晴らしい本!

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著者プロフィール

1963年、三重県生まれ。作家、公認会計士。田中靖浩公認会計士事務所所長。早稲田大学卒業後、外資系コンサルティング会社などを経て現職。中小企業向け経営コンサルティング、経営・会計セミナー講師、執筆、連載を行う。著書に『会計の世界史』(日本経済新聞出版社)、共著に『お金にふりまわされず生きようぜ!レストランたてなおし大作戦』(岩崎書店)など多数。

「2022年 『会計と経営の七〇〇年史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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