- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838727155
作品紹介・あらすじ
辞任以来の沈黙を破る書き下ろし!
都知事就任、五輪招致に邁進する中、
妻は突然の病に倒れ、帰らぬ人となった。
五輪招致成功の秘話、5000万円の真実、
妻と過ごした40余年の日々。
この作家の夫婦愛に泣き、不運さに憤る。
妻という女神を失った時、男はどう生きるか。
ーーーー林真理子
駆け落ち同然で結婚し、作家デビューまでの生活を支え、
公務も共にこなしてくれた、かけがえのない妻。
二人三脚で共に生きた昭和の時代と、嵐のように過ぎた2013年を、交互に描く。
そして明かされる、五輪招致成功の秘話、5000万円の真実、アマチュア政治家の意味……。
感想・レビュー・書評
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涙なくしては読めない。
あの東京五輪誘致の舞台裏での猪瀬家族の闘い。
この作品は、猪瀬さんの奥様•ゆり子さんへのレクイエムであり、“素人政治家”の反省文でもあるんだろう。
しかし、この作品が私の心を震えさせたのはそこではない。
猪瀬直樹が生み出してきた作品は何がっても否定出来ない後世に残る名作ばかりだ。
『天皇の影法師』『昭和16年の敗戦』『ミカドの肖像』などなど。
この作品はこれらの名作の“行間”が埋まって行くような感覚になるのだ。
作品に“裏舞台”は必要ないという意見もある。
きっとそれは正しい。
しかし、舞台裏が分かって通われる血もある。
名作の“行間”にゆり子さんがいた。
作品の中で猪瀬さんは夏目漱石の『こころ』に言及している。
「『こころ』には生活がない」と。
この作品は猪瀬直樹という作品に「生活」を流し込む作業だったのではないか。
結果、猪瀬直樹という人物の“虚像”が晴れていった。
そうなることを祈る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本当に奥様想いで素敵な夫婦だったのに
猪瀬さんの奥様を大事にしていた気持ちが文章に表れている -
筆者の本を読むのは実は初めてでした。
ネットのインタビュー記事を見て、是非と思い読んでました。
・パートナーが働いていることは、収入面ばかりでなく、社会性を維持できるので、とても良いこと。
・夫婦こそ、こまめに相手への感謝を伝えるべきこと。 -
東京五輪招致活動中に亡くなった奥様とのエピソード。徳洲会5000万円問題で政治家を辞めた氏であるが、緻密な取材をベースにした作風を復活させて欲しい。
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さすが名作家、淡々とした語りながら引き込まれていく。やはりこの人は作家が合っている。
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徳洲会から借りた5000万円の事情について自身はなんと言っているのか知りたかったので読んだ。都知事在任中に亡くなった奥様との思い出、闘病を、進行中の五輪招致と絡めて綴っているので、都政中心ではないが、知りたかったことは読めた。政治家ではなくて作家なんだな、と思った。でも素晴らしい奥様だったというのは発見だった。
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この人には都知事を続けて欲しかった
例の話も含め、もっと政治家時代の話も読みたかったが、それはいつか別の機会に期待
場面の切り替わりもテンポよく読みやすい -
事件の真相を知りたい、と夫が図書館で借りたのでついでに私も読んでみました。
夫が知りたかった徳洲会5000万円事件のことはさらっと触れられるだけにとどまり、ほとんどは奥様との思い出。出会い、苦労し、闘病から亡くなるまでの夫婦愛の物語でした。
奥様のことは胸を打たれましたし五輪招致の舞台裏などそれなりに興味深く読みましたが、今出版すべき内容だったのか疑問に感じました。
事件がすっきり解決した感じではなかったのでどうも全体的に言い訳がましく感じ、なんとなく素直に読めないで終わってしまった。 -
都知事辞任のきっかけになったことよりも奥様のゆり子さんはどんな方だったのかということに興味があって、手に取った本。
猪瀬さんを支えていたのはこんなに魅力的な女性だったのかとしみじみ実感。
病が発覚してから脳へのダメージでコミュニケーションがとれなくなるまでがあっという間で、ご家族はもちろんのこと、ゆり子さんも無念だっただろうと思う。