- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838701841
感想・レビュー・書評
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女性を、超越している所が、小気味いい
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いいな、いいな、やっぱりこの人好きだなあ。
「佐野洋子」よりも「さのようこ」の方がなじみがあった。
本業は絵本作家。
息子たちが幼い頃、彼女の何冊かの絵本も我が家の本棚に並んでいた。
当時は絵本作家としての「さのようこ」しか知らなかったのだが、何かで彼女が書いたもの(エッセイだと思う)を目にして、「うん、うん、うん、うん」と頷いてしまった。
この「ふつうがえらい」はそんな彼女があちこちに書き散らしていた雑文 (佐野洋子はエッセイではなく雑文と言う)を1冊にまとめたもの。
あとがきで本人曰く『…私は書いたら書きっ放しで、印刷されたものも放っぽらかして、いつ何に何を書いたかほとんど忘れてしまっている』のだそうだ。
もちろん絵本作家という人並み優れた才能の持ち主であり、非凡なる才能は文章の端々にも表れているのだが、そこに書かれている日常の些細な出来事に対する感覚は、とても「ふつう」の人なのである。
この「ふつう」がさまざまなシチュエーションの中で描かれているわけで、それを読む方はその感覚に「ホッ」とするのである。
「ああ、あたしもいっしょだわ…」ってつぶやいたりして…
佐野洋子は以前読んだ「美しすぎる場所」に登場する12人の中の一人で、その中に収められている6編はすべてここにも収められている。
「読書の原点」という雑文の中の一節。
『わかる本は一回読めばいいのね、わかんない本は何回も読んで少しずつわかって来る。書物ばかりではない。人生そのものが、少しずつわかって来るものだからで、少しずつわかって来た時、やっぱ何もわかんないんだという事がしみじみわかって謙虚になれる。』
いいな、いいな、やっぱり好きだわ、この人。 -
おもしろかったあ!ふつうがえらい。まさに絶妙なるバランス感覚に支えられた、元気の出てくる一冊。