- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784837936145
作品紹介・あらすじ
死人を見る目を持つ誠二と、化け物姫の異名をとる紅羽。いつの間にやら『お気に入り』となった誠二は、紅羽と奇妙に和む交流を続けていた。そこに、供養人形が消え、死んだはずの娘が目撃されたという怪異が持ち込まれる。事を調べる中であらわになる、紅羽の従者・十夜の壮絶な過去と哀しい願い。紅羽に託され十夜を救おうとする誠二だったが、此度の怪異には兄が関わっていて…。
感想・レビュー・書評
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パラレル江戸の遊郭に住まう少女と、元遊び人の異能ミステリ。ちょっと変わった設定で面白いです。「封殺鬼」が似た雰囲気かも。姫さんが高飛車すぎず、いい具合です。
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ちょ、この人誰。え、誠二さん誠二さんなのこの人かっわいいわちくしょう! てなった。個人的に重ねてみてしまう人のいる月彦くんが幸せそうで安心した。あと誠二さんは紅羽ちゃんに貢ぐならいいからフリルとレースたっぷりのお洋服を貢げと。
紅羽ちゃん可愛い→誠二さん可愛いときて、続刊があったら間違いなく十夜さん可愛いの話になっていただろうと思われるので、f-Clan文庫が終わってしまったことが返す返すも悔やまれる。キャラクターの成長が素直に嬉しくなるお話だった。続きどっかで出ないかなこれ……。 -
シリーズ第2巻。
今回も王道展開ながら、良いテンポで書かれているので、さくさく読めた。
続きが楽しみ。 -
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2012/03/21:縞田 理理さんの「花咲く森の妖魔の姫」の後に読み始めてから、同じ人がイラストを書いているのに気づき。ついでに1巻まだ読んでなかったり。
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“神と崇めつつ、恐ろしいものとして怖がる。それが今のこの国の、化物に対する態度。
そして、それはそのまま、紅羽や誠二に対する周りの態度だ。
本能的に怖いと思うなら、それはどうしようもないことなのだろうと思う。
神と崇めるだけの理由があるなら、それもまた仕方ないと言うべきなのだろう。
当人達がそれでどれだけ居心地の悪い思いをしようと、周りの者達には理解すら難しいのかもしれない。あくまで異質なのはこちら側なのだから。
ならばこちらは、いっそ彼らの見るままに化け物を演じるか、あるいはへらりと笑ってごまかすしかない。
(……すいませんね。普通の人間じゃなくて)
本当は、とっくにわかっている。
ここが開き直るべきところなのだと。
「——なあ、それじゃ、朧ねえさんは、俺のことも怖い?」
空にした盃を指先で転がして、誠二は朧に尋ねた。
朧が、思い出したようにかすかに顔をしかめる。ああそうだったというその顔は、どうやら『鍵姫のお気に入り』という言葉に気を取られすぎて、相手の正体を忘れていたらしい。
「あー……死人視、なんだっけ、あんた。その眼帯してる方の目がそうなのかい?」
「ああ」
「そっか。……うん、怖いっていうか……なんだろうねえ」
朧は誠二から視線を外し、己の長い髪を指先でいじった。”[P.58]
2巻目。
もどかしい兄弟。
この感じだとまだ続くよね。楽しみ。
“誠二は市郎に歩み寄り、その胸倉をつかみ上げた。
「見ろよ」
片手で乱暴に眼帯を外し、灰色の左目をあらわにして、市郎の顔を間近から覗き込む。
「この目を見ろよ。俺も化け物か?けどなあ、仕方ねえだろ。これが、俺なんだから!」
叩きつけるように言い放った誠二を、市郎は言葉もなく見つめ返した。
それから、ゆるゆると市郎の視線が、誠二の左腕に向く。狐に噛まれてついた傷を、そこからあふれ出る血を、何か信じられないもののように眺める。
「何で……かばった?」
市郎の唇から、そんな呟きがこぼれ落ちた。
「お前は、俺のことが嫌いだろう。それなのに、なぜ」
「……うるせえよ」
険しい口調のままそう言い捨てて、誠二は市蔵の胸倉をつかむ手に力を込める。
「てめえなんざ大嫌いだ。でも——その人の前でてめえを殺させたら、寝覚めが悪いだろ」
「え……?」
何のことだ、というように、市郎がまばたきする。
誠二は、市郎の傍らへと、疼く左目を向けた。
そこには——右目の下に泣きぼくろのある娘が一人、立っていた。”[P.230]