神秘なる挿絵画家 エドマンド・デュラック

制作 : マール社編集部 
  • マール社
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837304401

感想・レビュー・書評

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  • 20代の頃の代表作ばかりが取り上げられがちな二十世紀初頭の挿絵画家エドマンド・デュラック(1882〜1953)の作品を、20代から60代まで網羅的に取り上げている点で、他の画集にない魅力を持つ作品集。

    大ヒットを飛ばした20代の作品から、二つの大戦後に豪華な挿絵本が売れなくなっても描き続けた晩年の60代後半の作品まで、実に幅広く網羅した、非常に珍しく貴重な作品集。

    興味があり、これまでに何冊かデュラックの作品を紹介する本を読んできました。
    そこから私が持っていたデュラック作品のイメージといえば、青色の使い方と俯瞰的な構図、そして、異国情緒あふれる風情が特徴で、一番の代表作は「アラビアン・ナイト」。そして、その他には、「眠り姫」や「人魚姫」、「美女と野獣」といった、西欧の有名な童話の挿絵が有名、というもの。

    しかし、今回、この画集で、描かれた年代を意識して列挙・網羅された作品群と、巻末の簡潔だけれどもこれまた網羅的な解説により、上記の代表作の大半が20代のうちに描かれていたことを知りました。

    そして、30代以降の作品の大半を初めて目にして、30代から70歳で無くなるまでの彼の作品をほとんど知らなかったことに気づかされました。
    この作品集によって、彼の作風が、30代の中頃には、ヒットを飛ばした20代の頃とはまるで別人の作品のような変化を遂げていたことがよくわかり、とても驚きました。

    20代の頃の作品は、構図としては、俯瞰的・立体的で、人物描写は、19世紀のイギリスのラファエル前派(バーン・ジョーンズやロセッティなど)、チェコのアルフォンス・ミュシャの作風に近いもの感じます。

    しかし、30代以降の作品は、構図としては、平面的かつ様式的で、人物描写は日本の浮世絵や、イスラムの細密画、もっと古くは、古代ギリシアやエジプト壁画などを彷彿とさせます。これは、20世紀初頭に台頭したキュビズムの影響を受けているのかもしれません。

    そして、本作は、デュラックの人生を、その変遷する作風から三期に分けて論じた海野弘さんの手になる巻末の解説が、とてもわかりやすくも納得のいくもので、実に良かったです。

    デュラック好きには、これまで知らなかったデュラックの作品や画風の変遷がよくわかる、新鮮な魅力に溢れた作品集です。

  •  三鷹美術館にて、妖精画の特集展示を見にいったときに購入。完全に眺めて楽しむためのもの……のつもりだったのだけど、随所に出てくるオリエンタル趣味というか(フランスの話なのに、完全にペルシアの衣服をまとっていたりする)、画家の好みをあれこれ考察するほうが楽しくなってしまうあたりが困り物(笑)

     後期の作品も多く収録されているのもありがたかったけれど、できれば、絵本の挿絵としてつくられたのだから、文章のほうのレイアウトもあわせて収録して欲しかった。

  • 数年に一度
    この辺りの作家の画集を集めたくなる衝動に駆られて
    毎回なんとかやり過ごしていたのだけど
    ついに買ってしまった。

    デュラックとの出会いが
    カッセルの「グリム兄弟博物館」だったのは確かなんだけど、
    それが何の挿絵だったのか特定できず
    未だもやもやし続けている。

  • memo:孤独・パタラダイスの園・豆つぶの上に寝たお姫様・風の話 素敵な絵ばかり!模様のこだわりに見とれました

  • 味わい深い…

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著者プロフィール

19世紀に活躍したフランスの版画家の兄弟で長男イポリット(Hippolyte 1797〜1871年)と次男ポリドール(Polydore 1800年生)のこと。二人ともパリの美術学校で学び、兄イポリットは銅版・石版の画家として、弟ポリドールは兄の協力者として、ともに活躍しました。

「2014年 『ポーケのファッション画集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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