悲しみの時計少女

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  • 復刊ドットコム
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784835445618

感想・レビュー・書評

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  • 再読。狂った時計を見ながら歩いていくようなものだから、元町から鎌倉までの道のりは予想したよりも長い。
    時計少女の悲劇は、呑みこんだ痕跡も呑みこまなかった痕跡も残さない、記憶のブラック・ホールに落ちてしまったこと。その穴に呑みこまれたものはどこか思わぬところにひょっこりと顔を出すことがあるけれど、落ちたという事実はなくならない。秒針のチクタクという音が次第にちぐはぐになって「いま」「いま」「いま」の不穏な輪唱。
    きこえる。 きこえない。 忙殺と忘却を生きていることと取り違える前に、きいて。 体をめぐる血液の音。

  • 『不思議の国のアリス』を思わせるようなノンセンス・ホラー。
    森の鳩時計少女、山奥の砂時計夫婦、ヨモリ時計店の監禁時計、どれもまあまあかな、と思っていたら、ラストで急転直下の時計館殺人事件に変貌して満足度急上昇。この話が谷山浩子さんの一番人気なのも頷けました。
    それにしても何故人間は怪しいダークサイドに魅かれてしまうのでしょうか。「私も人の亡くなるお話は苦手なんです」なーんて口が裂けても言えませんわ。

  • NHK-FM サウンド夢工房

    メルヘンホラーサスペンス

  • 一言で表現するならシュールホラーかな。真昼間にうっかりうたた寝しちゃって、ものすごく変な夢を見ちゃったよな感じのお話です。ほのかに怖くて、だけどなんだか悲しくて輪郭だけは覚えている。そんな夢。ラジオドラマで聴いて以来、ずっと読みたいと思っていたのでうれしいです。

  •  猫。ガラス。水。森。船。帽子。野菜と卵。手品と魔法。
     人形。鏡。家。靴。窓。少年と少女。風。魚。
     ナイフ。殺す。迷路。悪魔。指。骨。
     月や星など天体関係のもの。睡眠と夢。記憶。過去。夜と暗闇。時計と時。


     少女や時計、ナンセンスな台詞の応酬でアリスみたいな悪夢ファンタジーかと思ったらしっかりミステリで締めてきてびっくり。著者の交友関係にもびっくり。伝説の編集者宇山日出臣やら綾辻やら皆川博子に竹本健治に錚々たる顔ぶれじゃないか……後書きに一番びっくりだ……。そもそも谷山さんが作家活動をしていたことを知らなかったので、良いパンチだった。他の著作も探してみたい。
     暗黒ではないけど夕闇児童文学くらいの悪夢感が素敵だった。

  • ♪私の彼は鳩時計 ぽっぽう

    曲も小説も大好きでした。

  • 久しぶりに懐かしくて再読。
    この世界観に浸りたくてラジオドラマの方も聴き直してしまいました。
    元々学生時代に大好きだった谷山浩子さんの曲達。
    そしてミステリにハマるきっかけになった綾辻先生の大絶賛を受けて読んだのが最初だったと思います。
    雰囲気はラジオドラマの方が出てますね。
    最初に読んだ時はもっと衝撃的だったのだけど、久しぶりに読むと昔読んだ絵本を読んでいる様な気分でした。

    時計中毒者の浩子と恋人だと名乗る魚男、そして時計の文字盤の顔をした時計少女の3人が鎌倉になるという時計屋敷を探す物語です。
    ファンタジーかと思えますが、ホラー要素ありのどんでん返しミステリです。

  • 主人公の浩子さんは、常に時刻が確認できないと、なんだか不安になってしまいます。そんな彼女が時計のない世界で出合ってしまった、時計の顔を持つ少女とサカナ男。3人は、鎌倉にあるという時計少女の家“時計屋敷”を訪ねることになるのですが、ヘンテコリンな出来事が次々起って・・・。
    シンガーソングライターの谷山浩子さんが、このような本を書かれているなんて、今日までぜんぜん知りませんでした。午後のティータイムに、あるいは週末の眠れぬ夜にぴったりの物語かも。

  • 初めて本に対して持った感情。激しい嫉妬、羨望感、脱力感。この本はいい、悪いではなく、なんとも言えない苦しい感情が湧いた一冊。内容がどうではなく作品そのものに対しての感情だと思う。

  • 奇妙奇天烈な時計がたくさん出てくるお話。最後はとても意外な結末で、帯にある「この作品はまぎれもなく第一級のミステリーでもある。」というコメントに納得。著者のイマジネーションに感服した作品。

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著者プロフィール

シンガーソングライター。東京都出身。1972年にシングル「銀河系はやっぱりまわってる」、アルバム『静かでいいな~谷山浩子15の世界~』をキングレコードからリリースするなど、早くからその才能を発揮する。現在までに40作品以上のオリジナルアルバムをリリース。その独自の高い音楽性は根強いファンを獲得している。
NHK「みんなのうた」「おかあさんといっしょ」やCF、また「オールナイトニッポン」をはじめとするラジオ番組のパーソナリティー、童話、エッセイ、小説の執筆など、その活動範囲はますます拡大している。近年は、映画『ゲド戦記』の挿入歌「テルーの唄」、映画「コクリコ坂から」の劇中挿入歌の楽曲提供を担当するほか、斉藤由貴、手嶌葵、持田香織(Every Little Thing)、声優の豊崎愛生、今井麻美、上坂すみれへの楽曲提供など作家としての活動も著しい。
2022年4月にデビュー50周年を迎え、コンサートや執筆など精力的に活動している。谷山浩子公式YouTubeチャンネルで、音声のみの番組「谷山浩子のSORAMIMI ラジオ」配信中。

「2023年 『ヒロコとニャンコと音楽の魔法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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