ハリスおばさんニューヨークへ行く (fukkan.com)

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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784835441658

感想・レビュー・書評

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  • ハリスおばさんシリーズの第二作。

    今度はおばさんが、隣家で虐待されている少年の父親を探しに、ニューヨークへひとっ飛び!ロンドンの下町のアパート。壁の向こうの音は筒抜け。今日も隣の家のヘンリーぼうやがひどい目にあっている。少年の母は行方が知れず、父親は遠いアメリカにいて、生き別れたままだ。アメリカ人のお得意様に、ニューヨークへ同行してほしいと頼まれたハリスおばさんは、親友のバターフィールドおばさんをお供に、ヘンリーぼうやをアメリカへ密航?させてしまう。なあに、きっと父ちゃんをみつけてあげるよ。しかし、ハリスおばさんは、アメリカの広大さをまだ知らない。さあ、この珍道中、どうなるどうなる?

    と、そんな始まり。いたいけな少年を助けて、幸せにしてあげたい一心から、アメリカまで行っちゃうハリスおばさん。自分の物見遊山のためでなく、人助けのため、溢れる熱いハートからというのが、実に『らしい』。50年代から60年代の、まだおっとりしたアメリカとは言え、ヨーロッパから着てみれば、大変な喧騒。ありふれた名字の父親をどう探すのか、ちゃんとハッピーエンドにはなるけれど、種明かしはここまで。ハリスおばさんの人情味と、常識の豊かさ、行動力が、パリに続いてここでも幸福を呼ぶ。読後感の爽やかさも、さすが。

    それと、文化史、芸術史をちょっとでもかじっていると、R&Bや黒人文化が、既に強力なムーブメントとなって人気を得ていたことがわかって、児童文学と言えども侮れない質の高さを感じさせる。ギャリコの作品は、人気作が多いが、どの読者層に向けて書かれたものでも手抜かりがない。文が平易で美しく、優しさに溢れながら、世相を映す鏡でもある。テネシー・ウィリアムズや、トルーマン・カポーティなどと併読したくなる事が多い。いずれもどこかせつなく、街の片隅で生きる人を描いているからだろうか。

    次の舞台はモスクワ。いったいおばさんは、どんな冒険をするのだろう。

  • 元気なアダ・ハリスに元気づけられて読後もスッキリ。いつもピンチに陥り、いつもなんとか脱出し、うまくいくところがとてもいい。そしてそれが運だけでもなく、ハリスおばさんの度胸によるところが大きいのも好き。
    思い込みが激しくその通りになると信じてがんばるおばさんには勇気をもらえる。とんでもない勘違いはおばさんの愛嬌で、とても好きなところ。

  • 四十年ぶりくらいの続巻!おばさん、あちこち出かけてたのか〜。不幸な子を幸せにして、まさかの還暦過ぎての恋の予感?Σ(゚Д゚)

  • [ 内容 ]
    ロンドンっ子のハリスおばさん、少年ヘンリーを救うべく、今回はアメリカへ飛ぶ!
    傑作シリーズ、第2弾。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ハリスおばさんシリーズ第二作。人のためになりたい!という情熱が、トンデモな行動力と結びついて、前作よりパワーアップした印象。とはいえ、密入国させちゃいましょう☆的な、結果が良ければ途中はどうにかなるという考え方は引いてしまう部分も。ギャリコは、おばさんが学がないからいいのです、って言ってるけど。

  • これはこれで楽しめましたが、ちょっと無理がありすぎる気がしてのめりこめず・・・。

  • 前作「パリへ行く」と同じようなテンポのよさ。今度は友だちのバターフィールドおばさんまで巻き込んでの大騒ぎ。

    都合よく、ということがたくさんおきるけど、それが物語の明るさの秘訣なのかも。
    軽くて明るい物語を読みたいなぁと思うときにちょっと手に取ってみるのが似合う物語。

  • 図書館

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著者プロフィール

1897年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。デイリー・ニューズ社でスポーツ編集者、コラムニスト、編集長補佐として活躍。退社後、英デボンシャーのサルコムの丘で家を買い、グレートデーン犬と23匹の猫と暮らす。1941年に第二次世界大戦を題材とした『スノーグース』が世界的なベストセラーとなる。1944年にアメリカ軍の従軍記者に。その後モナコで暮らし、海釣りを愛した。生涯40冊以上の本を書いたが、そのうち4冊がミセス・ハリスの物語だった。1976年没。

「2023年 『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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