こりずに わるい食べもの

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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834253658

作品紹介・あらすじ

果てなき欲望の海原を
食って食らって突き進め!

偏屈な食いしん坊作家・千早茜による、
「体にいい」の呪縛を解く異色の食エッセイ。
シリーズ第3弾となる本作では、京都を離れ、初の東京ひとり暮らしへ……。
“知らないこの街で、これから好きなものを探していける。
食の海を渡るための、はっきりした好き嫌いの羅針盤も持ちあわせている。
さあ、どこまで自由になれるだろう。”(本文より)

【収録内容】
・40年ずっと嫌厭してきたIHと仲良くなれるのか?……「コンロのT-1000」
・緊急事態宣言下の連休で果実食に挑戦してみたが……「先祖返り」
・投げやりだった20代の頃、白昼夢のような海の記憶…「海老の頭」
・横浜中華街で、肉汁過多の極北に出会った…「中華街の粉仕事」
・10代の息苦しさから救ってくれた、雨とココアとビスケット……「雨と神様の物語」
ほか、
山形へ旅した「山形編」、アフリカ時代の鮮烈な記憶を描く「川の底」など書き下ろし4編も収録。多彩な味わいの全30話。
人気イラストレーター・北澤平祐氏の挿画も多数収録!
※電子書籍はイラスト全点フルカラー

著者:千早茜(ちはや・あかね)
1979年北海道生まれ。小学生時代の大半をアフリカで過ごす。立命館大学文学部卒業。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。同作で09年に泉鏡花文学賞、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一文学賞を受賞。小説に『男ともだち』『犬も食わない』(共著・尾崎世界観)『ひきなみ』『しろがねの葉』など。エッセイ集に『わるい食べもの』『しつこく わるい食べもの』『胃が合うふたり』(共著・新井見枝香)がある。

装画・挿画:北澤平祐
装丁:川名潤

感想・レビュー・書評

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  • 千早茜さんの食べ物エッセイ
    とにかく千早さんはよく食べる。食べることが大好きだし、作ることも好きみたいだし、妥協せず、作るときも食べるときも丁寧という印象。だから読んでいて気持ちが良い。
    この中に、「いい女」について少し触れている箇所があるけれど、"いい女"の作家先輩方はたくさん恋をしてきていて、恋より食優先な千早さんは彼女たちのようにはなれない、と書いているけれど、私から見ると千早さんも常に恋人がいて、とてもうらやましい限りなのだが…上には上が、そして下には下がいるものなのだ…。

  • 連載 千早茜「こりずに わるい食べもの」|HB ホーム社文芸図書WEBサイト
    https://hb.homesha.co.jp/m/mea6728d51538

    こりずに わるい食べもの/千早 茜 | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents_amp.html?isbn=978-4-8342-5365-8

  • わるたべ第3巻。
    東京への引っ越し等々、ツイートの端々からも気になる点が多かったので、最後の「輝く朝ごはん」できっぱりと書いてくれていて好感が持てる。
    そして兵馬俑のエピソードも読めて満足。ストレスを解放する儀式的なもの。
    あと千早さんが、食を表現するときの擬音語がけっこう好きだと思った。ぱすぱす。もろもろ。

    あとは私も浅草でどぜう食べてみたいなと思った。東京に住んでもう10年、築地も目と鼻の先なのに、全然それらしきものをたべたりしていない。いつ環境が変わるともわからないのに、だ。
    今年は食を充実させる一年にしよう。

  • 千早さんの5感表現は、耳触りの良さも分かりやすさもハッとする感じも全部ある。子供心は同じ景色を2倍豊かにするなあと、しみじみ。

    ・ささやかな個人の幸せやこだわりを理解し、共有できるかどうか。円満な恋愛も日常もそれなくしては成り立たない。

    ・食べさせてくれる。食べものを与えてくれる。それはきっと、ここで生きていていいんだよという、根源的な許しなのだと思う。

    ・「だって、朝ごはんって特別な食事だよ。恋人とか一緒に住んでいる人じゃないと食べないじゃない」

  • このシリーズやっぱり良いな。今回も楽しかった。食に纏わる千早さんの考えが特に好ましい。
    (たまに頑固すぎやしまいか…と思うこともあるが笑)

    甘いもの好きだったら生クリームも好きでしょ?等の決めつけは、食の世界だけでなく、いろんな世界で横行している。デニムを持っていない人だっているし、コーヒーが嫌いな人もいる。人に何かを進めるときは気をつけよう。自分が良いと思っていても、人にとっては微妙もしくは苦手なことは結構あるのだから。

    そして、意外に千早さんが好き嫌いが多いことに安心した。食べることが好きなら、幅広く色んな食材を食べ、味を知っていなければならないと自分で勝手に決めつけてしまっていた。
    自分の好きなものだけ食べていれば良いのだ。きっとその方が、身体にも心にも良いに違いない。

  • 読んでいると本当におなかが空いてくる一冊。比喩ではなく本当におかかが空いてくる。装画が相変わらず素敵。

    ■めんつゆはデニム:なんのこっちゃと思ったら、メジャーなものってことなのね。
    ■焼いてから:焼いたアスパラはうまい。ヨダレポイント
    ■パーフェクトワールド:自分と目の前のパフェだけの世界。
    ■海老の頭:カリカリとした歯応え、とかこういう単純な描写でヨダレ。
    ■ブラックランチボックス:家の中で手作り弁当ですか。洗わなかった弁当箱の悲劇。
    ■ロシアンルーレットで食欲爆発:ロシアンルーレットとは予防接種。食べる口実が欲しいだけ?
    ■包んで包んで兵馬俑:白く並んだ餃子を兵馬俑と表現するセンスが食いしん坊作家さん。
    ■ケーキの故郷:アメリカのドテッとした甘過ぎケーキは存在感ある。
    ■狐色のどんぶり:ごんぎつねに鰻でてきた?「京極かねよ」のきんし丼。ふるふるの玉子焼きに柔らかな鰻。ヨダレというかメシテロ。
    ■夢の食事:たしかに夢に味覚はない。なぜだろう。
    ■夜の江戸のピクニック:味噌田楽、ごぼう胡麻あえ、ビール。ヨダレポイント
    ■山形編:取材旅行うらやましい。
    ■ぬぐい菓子:皿に残ったおいしそうなソースをパンでぬぐいたい気持ち。
    ■腹以外を満たす食:果物の皮を他人に剥いてもらいたい気持ち。



  • わるたべ第3弾。舞台は東京へ。京都では行きつけのお店やお菓子の話をたくさんしてくれてましたが、今回は自炊が多めかも。パフェのパーフェクトワールド、私もたまになったりするな〜とか共感多めでした。(パーフェクトワールドとは一心不乱に目の前のご飯に向き合い周りからの干渉を受けない状態

  • 私はあんまり食にこだわりが無いので「そうなんだぁ」と、他ジャンルの話を聞くオタクみたいな感想しか出てこないのが申し訳ない。
    食へのこだわりを真似はできないけど、身体を作る物に貪欲なのっていいなぁと思った。

  • 図書館のオススメコーナーでたまたま見かけて食エッセイが好きだから借りた。筆者がパワフルで大食いなのが良い、旅行でひたすら食べるタイプの人!読んでて食欲が沸いてくる。わるい食べものって題名に入ってるだけあってジャンキーな食べ物が沢山出てくるのが良い。パフェのハシゴはすごい。インスタント麺のサッポロ1番(塩)のアレンジとかが載っていたからメモに残した。自分が知らない美味しい食べ物や食べ方を知れるのは面白いし真似したくなる。これが最新刊で1,2巻もあるみたいだからまた読もうと思う。一般的にどの家にもあるとされ万能調味料の扱いを受けているめんつゆを、皆履いているとされ年代季節問わず履けるデニムに例えているのはなるほどなと思った。皆持っているようで持っていない人もいる。1番印象に残った話は、夢現の中で海老の頭を与えてもらって猫の気持ちになった話。

  • マリービスケットを買いに走りました。
    Oさんが、私には小川洋子さんに思えました
    私の現実逃避する聖なる場所が、小川さんの作品だったので。


    だんだん家族の人数が減って、一人暮らしになるんだろうなぁ~。と漠然と感じていました。少し寂しい気分もありましたが、

    なんの、なんの美味しいものがあれば大丈夫
    みたいよ~。と思わせてくれる本でした。




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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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