ぼくは挑戦人

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834253382

作品紹介・あらすじ

世界で活躍するプロパフォーマーのアイデンティティをめぐる長い旅。

「向かい風へと走り続けたら、身近に触れる幸せにたどり着いていた。
“生き方"を強烈に問いながらも、じんわり温かい、壮大な旅の軌跡がここにある」
――フォトジャーナリスト・安田菜津紀氏

「在日として生まれ、生きることが、こんなにも痛くて、楽しくて、切なくて、
おかしくて、愛おしくて、力強いって、知ってました? 」
――映画評論家・町山智浩氏

在日コリアンが集住する京都ウトロ地区出身。根強い民族差別を背景に、小学校時代は苛烈ないじめに遭う。
中学2年の時にジャグリングに出会い、各種大会で優勝。ビートたけし氏からの助言を受け、翌日大学に退学届を提出し、プロパフォーマーとして海外で活躍。これまで82の国と地域で舞台を踏んだ。
現在は大阪を中心とした学校での講演活動が話題を呼んでいる。

本書は、これまでのいじめ体験、そして自らのアイデンティティに悩むも、世界での様々な出会いによって答えを見出した著者が、半生を振り返る一冊。
構成はノンフィクションライターの木村元彦氏。



著者:ちゃんへん.
本名は金昌幸(キム・チャンヘン)。1985年、京都府宇治市生まれ。中学2年の時にジャグリングと出会い、翌年には米国のパフォーマンスコンテストで優勝。『大道芸ワールドカップ2002』では出場者中最年少17歳ながら人気投票1位を獲得。高校卒業後は海外で本格的にプロパフォーマーとして活動し、これまで世界82の国と地域で公演。マイケル・ジャクソン、金正恩の前でもパフォーマンスを披露した。
オーストラリア『第50回ムーンバフェスティバル』にて最優秀パフォーマー賞を受賞。
2009年からは活動の拠点を日本に置き、現在は国内外で年間200を数える公演を行っている。

構成:木村元彦(きむら・ゆきひこ)
1962年愛知県生まれ。中央大学卒。ノンフィクションライター。主な著書に『オシムの言葉』(集英社文庫)、『蹴る群れ』(集英社文庫)、『無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代』(ころから)など。

感想・レビュー・書評

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  • 読書家の世界では年間約100冊を読むことは少ない方かもしれませんが、とにかく今まで読んできた本、特にノンフィクションの中で最も感銘を受けましたので、より多くの方に読んで頂きたくて初めてレビューを書かせて頂きます。

    在日コリアン三世として京都に生まれた著者は、小学生時代に激しいいじめを経験するが、漫画雑誌の懸賞で当たったヨーヨーによって学校では人気者になり、中学生では後に職業となるジャグリングに出会う。家族や様々な人の後押しによって著者を後のプロパフォーマーとして、そして人として成長させる。それだけにとどまらず、人々に勇気を持つことや前向きに生きるきっかけを与えるため、講演家としてその役割を果たしていく。

    本書は著者が半生を振り返る笑あり涙ありの痛快サクセスストーリー(特に家族にインパクトがあります)なのですが、この本の真の素晴らしさは、いじめの問題について非常に考えさせられるいじめ対策本。著者の家族の生きてきた時代背景が垣間見える数々の哲学的な言葉から多くの気づきを与えてくれる子育て本とも言える人間育成本。夢や目標を持って努力することの楽しさや大切さを教えてくれる熱血(夢中)系教育本。好きなことかつ自分にできることを仕事にする難しさと喜びを教えてくれるキャリア教育・ビジネス思考本。平凡に生きていては知らない(気づかない)まま人生が終わっていたであろう世界がたくさん見えてくる人権啓発本。どんなに辛い経験をも超人的なプラス思考で学びに変えてしまう自己啓発本。その他、民族や宗教、人間の尊厳や生き方まで、日本はもちろん、隣国や世界で起こっている出来事の本質や問題が見え、現代人に突きつけられている課題がこの一冊にほぼ集約されていると言っても過言ではないはずだ。

    昨年はブレイディみかこさんの著書「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」という作品にも非常に多くの気づきを与えて頂きましたが、この本は単なる自叙伝や在日コリアンを学ぶための本ではなく、むしろ民族や宗教や国家といった「属性」という枠組みを超え、「個」の目線で「人間」を今一度見つめ直せる一冊である。

    駄洒落とも思えるタイトルの「朝鮮人」をもじった「挑戦人」という表記も、読み終わる頃にはただの駄洒落ではなく、著者が祖父から学んだ哲学であることが分かる。

    コロナ禍の中、このタイミングでこの本が世に出たことは何か意味があるでしょう。初めて著者の存在を知りましたが、機会があれば生でパフォーマンスを見たいと思います。

  • 皆さん、自身のアイデンティティに悩んだり、考えたことはありますか。日本に無国籍の人がいることを知っていますか。

    在日コリアンだから、という理不尽な理由・差別・偏見でいじめを受けていたちゃんへん.さん。自らのアイデンティティを見つめ、考え、旅に出ます。

    ・幸せとは何か?
    ・アイデンティティとは何か?
    ・今見ている情報は偏っていないか?
    ・日本に生まれた人は勝ち組?

    この本はたくさんのことを問いかけてきます。

    個人的に、オモニム(かっこよすぎる、大ファン)の「素敵な夢持ってる子はな、いじめなんてせえへんのや」、ハラボジの「死に方を問うな。生き方を問え」が印象的です。

    それにしてもちゃんへんさんの何でも飛び込み、考え改善する姿勢、プロ意識...!尊敬ばかりせず、わたしもしないと。

    広い知見が、涙と笑いとたくさんの勇気をくれます。

  • 安田菜津紀さんの「あなたのルーツを教えて下さい」を読書中にちゃんへん.さんのことを知り、安田さんの本を読み終える前にこちらを読んだ。小学生時代の壮絶ないじめ、豪胆な母の教育、民族への強い思いを持った祖父母が語られた後、まさにパフォーマーとして「挑戦」人として世界を駆け巡る筆者。スラム街では命の危機に遭いながらも、まさに芸は身を助くる以上の奇跡にも巡り会っていく。スンバラシイ!良い本に巡り会った!

  • ちゃんへん.さんのパフォーマンスを生で見たくなる。
    でも、それまでにもっと過去のことを知らねば。勉強せねばと思う。

    ちゃんへん.さんが小学生の時にいじめられた時に、校長、いじめた子たちに放ったお母さまの言葉が心に刺さる。

    「それはな、この学校で、子どもたちにとっていじめよりおもしろいもんがないからや!お前、学校のトップやったら子どもたちにいじめよりおもしろいもん教えたれ!じゃ、わし帰るわ」
    「素敵な夢持ってる子はな、いじめなんてせえへんのや。お前らのやっていることはただの弱いもんいじめや。強さを自慢したかったらルールのある世界で勝負せえ!」

  • オモニが素敵すぎる。ちゃんへん。さんが、学校で暴力を受けて、そこへやってきたオモニが校長先生に放った一言が、真理すぎて震えました

  • いじめが壮絶すぎる、、あんな目に遭っても日本をバッシングする、という立場ではなくあくまでも中立な立場を維持するちゃんへんさんすごい。

    すごく視野が広がる本。世界中のあらゆる問題を他人事ではなく自分ごとにとらえないと、と思える。

  • いかに自分が無知なまま過ごしているか、深く実感させられた。
    一方で、著者のチャレンジ精神と実行力に清々しい読後感もあり。良著。

  • 在日コリアンの世界チャンピオンの自伝書。
    面白過ぎて止められず、3時間半で一気読み。
    めちゃくちゃ泣いてちょっと笑って、知らない世界の現実を垣間見て。頭の中を刺激されて。心と頭が忙しかった。

    【最高にしびれたおかんのセリフ】
    ▶校長先生へ
    「学校からいじめがなくならんのは、学校で子どもたちにとっていじめよりおもろいもんがないからや!子どもたちにいじめよりおもろいもん教えたれ!」※要約
    ▶いじめっ子へ
    「素敵な夢持ってる子はな、いじめなんてせえへんのや。お前らのやってることはただの弱いもんいじめや。強さを自慢したかったらルールのある世界で勝負せえ!」

  • 前向きで明るく、周囲を惹きつける求心力が魅力的

    品質の良さに気付いてくれる人を待つ
    その間技に磨きをかける

  • 重版

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