九つの銅貨 (福音館文庫 物語)

  • 福音館書店
4.05
  • (8)
  • (7)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 83
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834020304

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • どの作品もとにかく風景描写に引き込まれる。流石は詩人。その分、物語の展開はスローペースなので、せっかちさんには向かないかも。きっとこれが、イギリスのリアルな妖精観なんだろうなと思いながら読んだ。じっくり情景を楽しんでほしい1冊。

  • 目次
    ・チーズのお日さま
    ・九つの銅貨
    ・ウォクリッシャーの眠り小僧
    ・ルーシー
    ・魚の王さま

    なんというか…これはすごい。
    どれもこれも、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかわからない。
    薄い、水のようなオートミールのおかゆを食べて生きているような登場人物たちに、この世から少しはみ出したような世界が訪れ、その結果うんと幸せになったりしないエンディング。

    この中では『九つの銅貨』がはっきりしたハッピーエンドだけど、苦労した割にはざっくざくのお宝をもらったわけではなく、もともと自分が持っていたもののほかには金貨と謎の果物とそれから…。

    他の4編は、不条理。
    親を殺した妖精を憎み続けることで破滅に向かうジョン、夢や空想の中でしか幸せを感じられない生活を送る煙突掃除の子やジーン、魚釣りにしか興味の持てないジョン。(あら、ジョンが二人)

    子ども向けの作品だけど、決して簡単な話ではない。
    ボタンを押せば正解が落ちてくるような、そんなわかりやすいものではない。
    それってどういうこと?
    どんな情景が、どんな異形の者が、どんな結末が…。
    頭と心をフルに動かして初めて何かが見えてくる。

    そういう読書体験をすることによって、想像力が鍛えられ、世の中は多様であり、決して自分が中心ではないことを学んでいくのだと思う。
    そういう読書体験ができた子供は幸いだ。
    お金では買えないものを豊かに持つことになるからだ。

  • ともかく不思議なお話しの短編集でした。
    全てが印象に残ったのですが、個人的にはルーシーが一番好きでした。家が傾いてジーンがせっせと働く辺りから、ぐっと引きこまれ、読み終えた後ジーン・エルスペットの微笑みが目の前に浮かんできました。
    詩人だから、このような話が紡げるのでしょうかね。

  • ウォルター・デ・ラ・メアの『子どものための物語集』からの五編。詩人でもあったデ・ラ・メア独特な夢幻的世界が、イギリスの風土と伝承に根ざしつつ不思議な物語として楽しめる。

    一見つかみどころないような話の展開も、実に丹念な情景描写と言葉でつむぎだされた深い味わいと感性が、いつのまにか読んでいる自身の幼心に響いてくるようで、不思議な余韻が残るものばかりだ。
    裏表紙にあったように、まさに“香気ゆたかなお話集”ですね。

    ちょうど、彼の詩集『妖精詩集』(Down-Adown-Derry)も荒俣氏の訳で読んでいたところで、思いもよらずはまりそう…(笑)他のも読んでみたいなって。

  • 表題作は物語にものすごく入り込める。
    これを上手に読める人が読み聞かせしたらドキッとびっくりする部分があっていいのかなと思う。一度やってみたい。
    イギリスらしく妖精や小人が出てくるのは◯。ただ、古い本なので物の名前や花の名前等興味がないと引っかかってしまうところがある気もする。こどもはでもそういうのを飛び越えて読めるのかも。

  • n.

  • 二十世紀前半のイギリスを代表する詩人の一人であり物語作家でもある著者の
    『子どものための物語集』から五編を選びました。奇妙な筋書きと細やかな風景
    描写、そこに姿を現わす不思議な存在の数々…。風土や風俗習慣、さまざまな
    伝承をふまえながら独特な世界を編みあげた、香気ゆたかなお話集です

全8件中 1 - 8件を表示

W.デ・ラ・メアの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×