イギリスとアイルランドの昔話 (福音館文庫 昔話)

著者 :
制作 : 石井 桃子 
  • 福音館書店
3.93
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本棚登録 : 256
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834018011

作品紹介・あらすじ

昔話集の古典ともいうべきジェイコブズによる昔話集から、「ジャックと豆の木」「三びきの子ぶた」など、世界中の子どもたちに読みつがれてきた昔話を磨きぬかれた訳文と原書の挿絵でおくります。

感想・レビュー・書評

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  • 面白ーい!
    買って良かった!
    昔話集にしてはお値段がお手頃。


    「ジャックと豆の木」
    ジャックが盗み出した大男のお宝は、元はジャックのお父さんの財産だったというバージョンを何度か読んだことがあるが、この本ではその描写はなし。私はこちらの方がしっくりくる。変に背景とかない方が昔話は面白い、と個人的には思う。


    「ミアッカどん」
    怖かった…。
    緊張と緩和が凄まじい。
    子育てしてると「一度、実際に痛い目に合わないと子供は学ばないよ!」なんてアドバイスをよく聞くけど、「一度痛い目に合ったくらいじゃ、子供には響かない」という現実を見せつけられてるようなこのお話。まぁ、とにかく、大事なことは言い聞かせ続ける以外にできることもあまりない。
    トミー・ヨゴレンボ君、命があって本当に良かったよ。


    「おスだんなと、おスおくさん」
    まさか、「すっぱいお酢のおスだんな」とここで再会できるなんて!子供の頃読んでいた童話全集に入っていて、妙に記憶に残っているお話。
    ……でも、私が知ってるお話とラストがちょっと違う。
    逆わらしべ長者のようなお話で、おスだんなは泥棒一味のお宝を棚ぼたで手に入れチャンスを掴んだものの、どんどんくだらない物と取り替えっこしてしまう。最後には金貨の山がみっともない杖1本になり、激怒した奥さんからお仕置きを受ける、という展開なのだが……

    この本では、家に帰る前に杖を捨ててしまったので、奥さんからのお仕置きは素手で済んで良かった良かった!これからまた心機一転だ!というポジティブ(?)なラスト。おスだんなの人柄も良い。

    私がもともと知っていたのは、帰る前に杖は捨てたものの、奥さんが自前のこん棒を持っていて、骨を全部折られてしまうという、びっくり後味のラスト。おスだんなには終始イライラさせられるが、案外カラッとしている謎ユーモア話。

    それにしても、お酢のビンの中で暮らしているおスだんなって、ほんと何者なのだろう?


    こういう童話集は自分で黙々と読んでいるとわりとつまらないけど(私だけ?)、声に出して子供に語りだすと、途端に物語が命を持ったように生き生きと面白くなるから不思議だ。

    • workmaさん
      yutakochiさん
      自分も愛読書です。三びきの子ブタ、を小学校や、自分の子に語りました。この本の中の物語は、しっかりしているので、聞...
      yutakochiさん
      自分も愛読書です。三びきの子ブタ、を小学校や、自分の子に語りました。この本の中の物語は、しっかりしているので、聞き手にとっても、すんなりと物語に入っていけて、聞きやすいんですよね…

      yutakochiさんの感想を読んで、「そうそう!」と、共感し、嬉しくなったので、コメントしました♪
      2022/02/03
    • yutakochiさん
      workmaさん

      私の拙い感想に共感していただけて、すごく嬉しいです!
      ありがとうございます。
      三びきの子ブタも、面白いですよね~!

      お...
      workmaさん

      私の拙い感想に共感していただけて、すごく嬉しいです!
      ありがとうございます。
      三びきの子ブタも、面白いですよね~!

      お話の基礎が無駄なくどっしりとしているので、聞き手もイメージを作りやすいのでしょうか。
      高学年の兄から幼児の妹まで、熱心に聞いてくれるので、読んでいる私も楽しくなっちゃいます。我が家でもすっかり定番の愛読書となりました♪

      workmaさんは学校で読み聞かせをしているのですね!
      大人数に語るのは、家庭の読み聞かせとは勝手が違いそうですが、昔話の世界に皆で耳を傾ける……なんて楽しそう!
      私はあがり症なので、読み聞かせ活動をされている方は本当にすごいと思います。
      2022/02/04
  • 素話のテキスト探しをそれはマメにしている。
    もっかのところ15話しか語れないので、若干寂しいローテーション。
    ひと月に1話ずつ覚えれば、10年で120話のストックになるはず・・!
    いや、夢は大きい方がいいぞっということで、ストーリーテーリングのテキストとして読んでみた。ところが非常に面白かったので記録としてとどめておこう。

    良く知られている「3びきのこぶた」や「ジャックと豆の木」などを含めて全部で30話のおはなしが載っている。
    それが、石井桃子さんのおかげで自然で親しみやすい納得の日本語訳になっている。
    一編ずつは比較的短いものもあるので、4,5歳くらいから読んで聞かせられるだろう。

    厳しい自然環境の中で生まれた口伝の民話のせいか、どれも迫力に満ちた魅力的なものばかり。
    怠け者や、意地悪な者や頑固者、気のきかない者や陽気な者、様々なタイプの人間や動物たち、時に異界の者たちが繰り広げるお話は、機知に富んでいて底抜けに明るい。
    何であれ、自らの力で運命を切り開く者を称える文化でも、あちらにはあるのだろうか。
    日本の民話とは明らかに違う力強さに圧倒されながら読む進む。
    ファンタジー色の強いものやほのぼのとしたものは少なく、全体にかすかな毒を含み、時にナンセンスで時に身体の一部が痛くなってもくる。

    とりわけ「3びきのこぶた」は、大人が読むと残酷なほどの展開だ。
    何しろ最後は、こぶたがオオカミをぐつぐつ煮て食べてしまうんだもの。
    スリルに満ちた面白い原話を、子供向けに大団円で終わるように書き換えたのは誰だろう?
    そしてそれは、真の意味で子供向けだったのだろうか?
    本物が楽しめるようになるまで、子どもの成長を待つのも、大人の大切な役目ではないのだろうか?
    大人が先回りして作り上げた幸福などよりも、本物の底力を共に味わった方が、ずうっと良いのだ。
    それはとりもなおさず、子どもを一人前に扱っているということだものね。
    ということで、一家に一冊どうぞ。
    さて、私はどのおはなしを覚えようかしら。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      ご無沙汰しております。
      とある理由から(勿体ぶっている。と思わないでね)、平凡社の「夜ふけに読みたい」シリーズを買うコ...
      nejidonさん
      ご無沙汰しております。
      とある理由から(勿体ぶっている。と思わないでね)、平凡社の「夜ふけに読みたい」シリーズを買うコトにしたので、自宅にある筈の民話や昔話をゴソゴソと探しています。石井桃子訳と比べるのは酷かしら?
      2021/11/08
  • 同名本の文庫版

  • これもストーリーテリングの定番だけあって、石井桃子さんの文章がとても自然。

    子どもが小さいうちは読み聞かせ、小学校中学年ぐらいからは自分で。

  • 内容
    イギリス
    ちいちゃい、ちいちゃい/チイチイネズミとチュウチュウネズミ/三びきのクマの話/かたやきパン/三びきの子ブタ/ミアッカどん/おスだんなとおスおくさん/だんなも、だんなも、大だんなさま/空の星/ヘドレイのべこコ/ふしぎなお客/りこうなお嫁さん/ジャックとマメの木/姉いもと/スワファムの行商人/トム・ティット・トット/ものぐさジャック/ノロウェイの黒ウシ/妖精のぬりぐすり巨人たいじのジャック/イグサのかさ/ディック・ウィッティントンとネコ 
    アイルランド
    元気な仕立て屋/どろぼうの名人/たまごのカラの酒つくり/ノックグラフトンの昔話/白いマス(コングの昔話)/主人と家来/大男フィン・マカウル/グリー

  • どのお話もようせいはひどい。「ノックグラフトンのむかし話」はおもしろいし、歌がすごくいい。こぶとりじいさんににていて、アイルランドなのにと思ってびっくりした。「女というものは、なんとか、かんとか、なだめすかして、夫がないしょにしていることを聞き出してしまうものなのだ」と書いてあったけど、おれも、お母さんになんでもはくじょうしてしまうから、ドキーンとした。(小2)

  • 三びきの子ブタやジャックと豆の木など有名作品も含む昔話集。素朴で力強い昔話が持つ魅力が、石井桃子の訳でより一層素敵に著されています。昔話は語りの物語だから、言い回しが重要なんですよね。一時「声に出して読みたい」なんてのが流行りましたが、これもそういうもののひとつでしょう。
    またイギリスの物語はブラックユーモアに溢れて皮肉が利き過ぎていて呆気に取られるものが多く、却ってアイルランドの物語は純朴でハッピーエンドが多いのは民族性なのでしょうかね。そういう点でも面白かったです。

  • ストーリーテリングで聞き慣れた話が多数収録されていた。日本でも語られ慣れた昔話集ということだろう。「語る」ことに特化した翻訳なので、ある程度本を読み慣れた児童だと、逆にまどろっこしく感じてしまうものもあるかも。それでも、イギリス・アイルランドのイメージ通りの「フェアリーテイル 」を堪能できる。アイルランド編には、イェーツの再話を語り向けに翻案した作品もあり、賛否両論あろうが、面白くはある(個人的には好き)。

  • イギリス・アイルランドの昔話

    収録作品:
    ちいちゃい、ちいちゃい
    チイチイネズミとチュウチュウネズミ
    三びきのクマの話
    かたやきパン
    三びきの子ブタ
    ミアッカどん
    おスだんなと、おスおくさん
    だんなも、だんなも、大だんなさま
    空の星
    ヘドレイのべこコ
    ふしぎなお客
    りこうなお嫁さん
    ジャックとマメの木
    姉いもと
    スワファムの行商人
    トム・ティット・トット
    ものぐさジャック
    ノロウェイの黒ウシ
    妖精のぬりぐすり
    巨人たいじのジャック
    イグサのかさ
    ディック・ウィッティントンとネコ
    元気な仕立て屋
    どろぼうの名人
    たまごのカラの酒つくり
    ノックグラフトンの昔話
    白いマス
    主人と家来
    大男フィン・マカウル
    グリーシ

  • 20221017再読。
    お話会で、ミアッカどんをするにあたり、再読。やはり昔話の世界は面白い。また、石井桃子さんの訳は、自然で美しい。

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著者プロフィール

1907年埼玉県生まれ。1951年に『ノンちゃん雲に乗る』で文部大臣賞受賞。1953年児童文学に貢献したことにより菊池寛賞受賞。童話に『三月ひなのつき』『山のトムさん』、絵本に『くいしんぼうのはなこさん』『ありこのおつかい』(以上福音館書店)、翻訳に『クマのプーさん』『たのしい川べ』『ちいさいおうち』(以上岩波書店)、『うさこちゃん』シリーズ、『ピーターラビット』シリーズ(以上福音館書店)など多数。

「2022年 『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー KATY AND THE BIG SNOW』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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