黒ねこのおきゃくさま (世界傑作童話シリーズ)

  • 福音館書店
4.09
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (56ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834015843

作品紹介・あらすじ

冬の嵐の晩、貧しいひとり暮らしのおじいさんのもとに、一ぴきの黒ねこがやってきました。やせ細り、びしょぬれになってふるえている黒ねこを哀れに思ったおじいさんは、わずかばかりのミルクとパンを全て与え、さらにはとっておきの羊の肉までやってしまいます。そればかりか、残っていたまきをすべてだんろにくべて、黒ねこをあたためてやるのでした。そして翌朝、奇跡はおこりました……。

感想・レビュー・書評

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  • どしゃ降りの雨の中、貧しいおじいさんの家にふらりと現れたのは黒猫。
    足は細いし、おなかもぺっしゃんこ。
    尻尾はまるで黒い靴ひものような、痩せたみすぼらしい猫。
    びしょぬれになった猫を不憫に思ったおじいさんは、タオルで体を拭いてやり、なけなしのミルクをお皿に注ぎます。
    喉を鳴らしながら一気に飲み干した黒猫は
    大きな声で「にゃーおぅ」と鳴き、
    おじいさんが一週間に一度だけ土曜の晩に贅沢をしたいと置いておいたミルクとパンと羊の肉まですべて平らげてしまったのです…。

    猫のためにすべてを捧げもてなした
    優しいおじいさんに起こる奇跡を描いた美しい絵本。


    いやぁ~、猫の話には滅法弱い自分だけど、
    中でも黒猫が出てくる物語は感情移入し過ぎて困ります(汗)。

    恩返しモノの王道と言えるストーリーだけど、
    やわらかで淡い色合いの絵がとにかく素晴らしくて
    1ページ1ページ食い入るように見てしまいました。

    なんと言っても宝石のように緑色の目をした黒猫の絵の見事なこと。
    ずぶ濡れになった黒猫の表情、ミルクをねだる顔、肉のついた骨をしゃぶり満足げに毛繕いをする姿など、
    仕草や表情が本当に生き生きとしてリアルなのです!

    食事をとるごとに骨と皮ばかりの姿から毛はやわらかくフサフサになり、
    ヒゲはピンと張って、尻尾は二倍に膨らみ、
    みるみるうちにフクフクでまん丸な猫に変わっていく様が面白いし、
    そんな姿を見て幸せな気持ちに満たされる
    おじいさんの笑顔が実にいいのですよ。
    (貧乏なおじいさんにとっては大事な大事な食糧なのに…)

    そしてお腹がいっぱいになった黒猫のために最後の薪を燃やし、
    暖炉に火を灯すおじいさん。

    読んでるこちらは
    明日からおじいさん生きていけるんやろか?って
    ドキドキしながらページをめくるのですが、

    おじいさんが黒猫を「友達」と呼び、暖炉で一緒に座ってあたたまるシーンや
    黒猫が喉をゴロゴロ鳴らしながら
    前足を代わる代わる動かして毛布にくるまり、
    (猫好きさんなら分かる猫が寝る気マンマンの時の儀式ですね笑)

    おじいさんのベッドで一緒に眠るシーンのおじいさんの顔を見れば、
    もうなんにも言えなくなってしまったなぁ~。

    そしてクライマックス、
    あたり一面真っ白な雪の中を去っていく黒猫が振り返って
    おじいさんに喋り出すシーンの衝撃。

    そしてそれを聞いたおじいさんの
    迷いのない一言が
    静かに胸を打ちます。


    それにしても猫とは
    なんてミステリアスな存在なんだろ。

    古今東西、 国を問わず
    時には神として祭られ
    時には 魔法使いの連れになる猫という生き物。
    無駄な殺生を避け、 魚と葉っぱで生き、 
    身の丈を知り、驕ることなく卑屈にならず、
    凛としてガツガツしない猫の生き方に
    僕はいつも憧れます。


    でもおじいさんが本当に望んだのは
    暖かい部屋で食べ物に不自由しない、
    そんな生活だったんだろうか。

    本当は寒さに震えても貧乏であっても
    心通わせられる友達やパートナーの存在があれば
    それで満ち足りていたんじゃないだろうか。
    黒猫に友達としてずっとそばにいてもらいたかったんじゃないのだろうか。


    ちょっと季節外れではありますが(笑)、
    猫好き、黒猫好き、
    美しい絵本に目がない人にオススメします。
    いろんなことを考えさせられますよ。

  • 自分のものをどんどんあげるおじいさんに
    子どもは心配しっぱなし!
    そんな子どものハラハラする様子や
    ラストにキョトンとする様子が楽しめる♪

  • 昔読んだことがあり、とてもよかったのを思い出して、また図書館で借りてしまった。夜に読むとほんとうにしんみりする。
    とうとう夜中にポチッと…買ってしまった。
    これからはこの本がいつでも読める!初心に戻りたい時読もうと思う。

    つい最近、神様は知らない間に自分のところにやって来てる。そうとは知らずに邪険に扱うと罰が当たる、というようなことを何かで読んで、まさにこの本みたいだなぁ、と思った。

  • こんなにねだられたら、すべてあげるしかないでしょう。

  • 心が満たされる、ってこういうことなんだろうなあ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「こういうことなんだろうなあ。 」
      昔話のセオリーですね、、、
      私は話の内容より描写力に感嘆しました。。。
      「こういうことなんだろうなあ。 」
      昔話のセオリーですね、、、
      私は話の内容より描写力に感嘆しました。。。
      2013/03/19
  • 貧しいおじいさんの家に 一匹の
    やせた黒ねこがやってきます。
    哀れに思った優しいおじいさんは、
    残りわずかな食べ物も与え、残りの薪もすべて、
    黒ねこのためにくべてしまいます。
    そしてラストに奇跡が・・・
    心があたたかくなる絵本です。
    挿絵もとてもきれいで
    黒ねこの緑の目もおじいさんの優しい顔も
    とても美しく描かれてます。

  • 自分が飢えている時、さらに飢えた者を見たときにどうするか。
    お爺さんみたいになれたらいいな。

    これって黒猫は自分より弱い立場であると思うから出来ることのような気がする。
    もしこれが大柄な熊でも同じことができるか。
    誰にでも同じことができる人はすごい。

  • くろねこからたべものやミルクをもらってよかったねとおもった。
    ※図書館で借りた本
    読み終わった後、ため息ついて「おもしろかったー」と言っていたので、星5かと思っていたけど4だったそう。

  • 4歳3ヶ月
    私が絵本から幼年文学に移る頃の本として読んでみたいと思って図書館から借りていたところ、息子も読みたいと言って読んであげた。
    まだ理解するのは難しいだろうと思うけど、お話は最後まで聞いていられるし、寝る前の絵本に選んで持ってくる。

    このお話を読んであげたからといって、こういう人になりなさいということではないけれど、この美しい絵と美しいお話を目にして耳にすることは親としてしてあげたい事だなぁと思った。

  • ぼくは、動物が好きだから、おじいさんが動物にやさしくていしているのがいいなと思った。おじいさんは、自分の大切な食べものを全部わけてあげていた。ぼくも、こんなとき、同じようにできると思いたい。
    黒ねこのおかげで幸せに暮らせるようになったのは、うらやましい。ぼくは生まれた時から幸せだけど、こういう、事件みたいのがあって、幸せになった、というのはいいなあと思う。ぼくのところにも黒ねこががきてほしい。(小4)

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著者プロフィール

ルース・エインズワース イギリス、マンチェスターに生まれた。子どものために二冊の詩集を出版。後に、BBCラジオ番組“Listen With Mother"のために、いくつかの物語を書いた。主な作品に『こすずめのぼうけん』『ちいさな ろば』『黒ねこのおきゃくさま』『ふしぎなロシア人形バーバ』(以上、福音館書店)、作品集に『ねこのお客―かめのシェルオーバーのお話1』『魔女のおくりもの―かめのシェルオーバーのお話2』(河本祥子訳・絵/ともに岩波書店)などがある。

「2021年 『こねこのウィンクルとクリスマスツリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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