秘密の花園 (福音館古典童話シリーズ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834007589

感想・レビュー・書評

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  • 固く閉ざされた種のような心を持った子供たちが、光と生命と温かい愛情に包まれて、花開いていく様子を描いた物語。
    先日読んだ、梨木香歩さんの『「秘密の花園」ノート』(岩波書店)の記憶が新しいうちに読みました。

    この物語を読んでいるときに感じる高揚感はなんだろう!
    「つむじまがりのメリーさん」と呼ばれた少女が、だんだんと生きる歓びに目覚めていく姿は、私たちの身の周りにある幸福に気付かせてくれます。
    季節の移ろい、おいしい食事、コマドリのさえずり、蕾が花開く瞬間、人を愛すること、そして愛されること…。
    忙しい中で、ついつい忘れがちな瞬間が尊いものであることを思い出させてくれました。

    読んでいると、なんだか自分の中のドロドロした汚れがきれいに洗われていくような気持ちになりました。
    心のデトックス効果高し!です。

    登場人物たちが魅力的です。
    特に、動物に愛される少年・ディッコンがすてき。
    くりくりとした瞳にツンと上を向いた鼻、大きな口でにっこりと笑う表情が目に浮かぶようです。
    それに、病弱な少年・コリンの側についている看護師さんがよかったです。
    子供たちのやりとりに笑いをこらえている様子に、共感が持てました。

  • 暗い、話の始まりはこんな暗かったのか。だからこそ、ムーアに春が訪れ、庭の植物たちが目覚める描写が美しく輝く。
    荒れ果てた庭に手をかけ再生させる行程でメリー自身も再生(生き直し)ていく。
    病弱で気むずかしく、わがまま、みにくい子として描かれるメリーだが、大金持ちの親の育児放棄と無関心、誰からも愛されず存在さえ忘れられてしまう、そんな生育を考えたら仕方ない。それどころか、よくここまで生きてこられたね、そして変われたねとメリーの強さに拍手を送りたい。
    お話の中心がメリーからコリンへとすりかわっていく後半は、子どもの時も不満だったけど、やはりモヤモヤする。
    メリーが再生するには似たような生育のコリンを救うというプロジェクトが必要だったのかもしれないけれど。

  • 14年ぶりに再読しました。
    小学生の時に読んだ本で、「自分にもこんな分厚い本が読めるんだ!」と自信を持たせてくれた本の一冊です。
    でも、やっぱり子供のころ読んだ時のほうがわくわくしたというか面白かったというか。
    たぶん、あのときは一日で読んでしまうような勢いがあったからだと思います。
    今回は時間があまりとれなくてかなり間延びしながら読んだので・・・。

    でもやっぱり面白いし、夢が詰まっていますね。
    やっぱり児童文学は素敵だなぁ。

  • 子供の頃、いったい何度読んだんだろう。ほんともう大好き。
    純粋で健全で勤勉で愛らしい主人公ばかり読んでいた小学生の目にこのヒロインとこの暗さは衝撃だった。
    大人にも事情があるんだとか良い子じゃなくてもいいんだとか変わりたければ変われるんだとか、大事なことがたくさん書いてある。
    そしてなにより面白かった。
    今でも大好きだ。

  • 読みたいとずっと思っていて、やっと読めた!
    魔法信じて、頑張ろう…。
    最後のシーンでは、メリーそっちのけで話がまとまっていくのが、不思議な感触。物語の後の事を想像すると、幸せな気持ち✨

  • イギリス政府の官吏である父と、すばらしい美人で社交家の母を持つメリー.レノックスはインドで生まれ、毎日召使いたちに囲まれて暮らしていました。メリーの世話は乳母まかせ、病気がちでむずかってばかりいる醜い赤ん坊は、六つになるころには、手のつけられない、いばりくさったわがまま娘になっていました。 ところがコレラが流行って召使いたちが一人もいなくなり、両親も亡くなってメリーはひとりぼっちになってしまったのです。 孤児になったメリーはイギリスの伯父、ア-チ.ボルド.クレ-ブン氏に引き取られることになりました。迎えにはお屋敷の女中頭のメドロックさんが来ました。二人は荒野を越えて陰気くさい大きなお屋敷まで長旅をしました。
    メドロックさんが話すには、お屋敷は百も部屋があり、そのほとんどは鍵がかかって、締め切ってあるというのです。荒野のはしにある家、奥さまが亡くなって、ますます気難しくなり、屋敷にいる時は西の棟に閉じこもっているせむし男のクレ-ブン氏。 メリーの部屋に若い女中のマ-サが用事をしにやって来ました。マ-サは気だての良いほがらかな娘でした。インドにいた時の召使いのように卑屈な態度は取りません。ヨ-クシャ-訛り丸出しで、メリーにいいたいことを言いました。メリーは最初怒りを爆発させましたが、マ-サのひとなつこい様子や言葉に心を動かされ、マ-サの話に耳を傾けるようになっていきます。十二人もいる兄弟のこと、母ちゃんのこと、動物と話のできる弟のディッコンのこと。
    やがてメリーはマ-サにうながされて、外に出ました。外には大きな庭園や家庭菜園があり、果樹が植っていました。庭の一つには鍵がかかっているとマ-サから聞きましたが、それがどこかはわかりません。するうちメリーは無愛想なおじいさんに会いました。おじいさんは庭師でベン.ウェザースタフといいました。メリーと口を聞きたくなさそうでしたが、赤い胸のコマドリを見たというとおじいさんは顔をほころばせました。そしてコマドリのことをたくさん話してくれました。
    それでもおじいさんに、閉ざされた庭のことを聞くと、「あったのは十年前だ、今はねえ。」と怒って行ってしまいました。
    ある風の強い日、メリーは泣き声を聞きました。マ-サに尋ねてみたけれど、マ-サはごまかして本当のことは教えてくれません。けれどメリーはお屋敷を探検した時に壁掛けのかかったドアを見つけます。泣き声はそこから聞こえてくるようでした。お天気が良くなり、メリーはまた庭へ出かけました。するとコマドリがやってきて、まるで案内をするように飛び回りました。メリーは最近掘り返したような新しい土の山を見つけます。その中には地中に長く埋もれていた古い鍵がありました。ついにメリーは閉ざされた庭の扉を見つけます。庭は塀から垂れ下がるツタのカ-テンにおおわれていたのです。メリーは秘密の花園に入りました。そこはバラの灰色や茶色の枝々におおわれ、かすみがかかっている様でした。メリーは冬枯れの庭に芽を出している球根を見つけ、世話を始めました。庭のためにしてやることは山のようにありました。 メリーのところにマ-サの弟のディッコンが動物と共に現れました。ディッコンはマ-サの話してくれた通りの男の子でした。ディッコンは動物と話せるだけでなく、植物のこともよく知っていて、上手に世話が出来るのでした。メリーはすぐに打ち解けて、ディッコンに秘密の庭のことを教えました。二人は毎日夢中になって庭を世話しました。
    春先の嵐の夜、風は激しく吹き荒れ、雨は土砂降りでした。メリーはみじめな気持ちになり、寝つかれませんでした。その時またあの泣き声が聞こえてきたのです。メリーは大胆になって声を頼りにお屋敷の廊下を進んで行きました。
    とうとうメリーは泣き声の主を見つけました。それは四本柱の立派なベッドに寝ているやせて、神経質そうな男の子で、自分はコリン.クレ-ブスだと名のりました。 癇癪もちのコリンでしたが、メリーの話を聞くうちに興味を持ち、耳を傾けました。二人は仲良しになりました。
    コリンは毎日メリーに部屋に来てもらいたがりましたが、メリーはお天気が良くなればお庭に行きたくてたまりません。ディッコンと一緒に庭づくりに励みたいのです。とうとうコリンは盛大な癇癪を起こしました。ヒステリ-を起こした坊ちゃんをなだめる為に看護婦がメリーを呼びにきました。メリーは興奮し、かんしゃくを起こしました。意地悪い気持ちで叫びました。「黙りなさいってば。黙りなさいよ。あんたなんて大嫌いだわ。...あんたなんか死んじまったほうが、私うれしいわ。」ヒステリ-のコリンにはこの言葉がききめをあらわしました。さからわれたことのない男の子には大変な驚きだったのです。
    遠慮えしゃくないメリーの言葉に、コリンはやがて落ちつきを取り戻しました。メリーは静かにゆっくりお庭のことを話してやりました。
    それから秘密の庭は、メリーとディッコンとコリンの三人のものとなりました。
    三人は計画を立てました。庭師頭のロ-チが呼ばれ、自分たちが庭に出る時は庭師はだれひとりいてはならないとコリンは命令しました。
    それから子どもたちは秘密の庭へ行き、庭が美しい緑のベ-ルでおおわれ、そこかしこに花が咲くのを見、小鳥がさえずるのを聞きました。
    三人はわくわくするような午後を過ごしましたが、コリンは高い塀のほうに男がいるのを見つけました。それははしごに乗ったベンじいさんでした。じいさんはさんざんメリーをののしり、悪態をつきました。けれどもディッコンの押す車椅子に乗っている男の子がやってくるとベンは仰天しました。「ぼくが誰だか知ってるか?」王さまは尋ねました。ベンはふるえ声で「わかっているともさ、その目を見りゃ、おっかさまにそっくりだものな。」ベンに気の毒なびっこだの、背中が曲がってるだの言われたコリンは怒りました。
    そしてありったけの力を出して立ち上がって、ぼくを見ろと命令したのでした。 メリーとコリンが日々蘇っていく秘密の花園とともに生気を取り戻しているとき、クレ-ブン氏はノルウェーのフィヨルドや,スイスの山や谷を彷徨っていました。美しい場所を巡りながらも、この人はもう十年ごし暗い胸もつぶれそうな思いをかみしめているのでした。 しかしある日のこと、この十年以来初めて不思議なことが起こったのを感じました。そして時には何分か、時には半時間ほども黒い心の重荷が軽くなることがありました。
    クレ-ブン氏はあの庭と一緒に命を取り戻しているところだったのです。 それからある夜のこと、クレ-ブン氏は自分を呼ぶ声を聞きました。「ア-チィ、ア-チィ」その声はやさしく、はっきりと呼んでいました。「お庭にいるのよ!」
    朝になると宿に手紙が来ていました。1通はマ-サの母ちゃんの、ス-ザン.ソワビーからでした。手紙はだんなさまに家に帰るように書いてありました。奥さまがきっとそうお願いなさるだろうと結ばれていました。クレ-ブン氏はヨ-クシャ-に帰ってきました。お屋敷に帰ると閉ざされた庭の中で子どもたちの笑い声が聞こえます。足音が聞こえ、戸口に近づいて、扉がパッと開き、一人の少年がなかから飛び出してきて、クレ-ブン氏に衝突するところでした。クレ-ブン氏は子どもを抱き止め息を飲みました。「だれだ、どうした?だ、だれだ?」 「お父さま、ぼくコリンですよ。信じられないでしょう。自分でも信じられないんですから。ぼく、コリンなんです。」
    「庭にいます!庭にいます!」クレ-ブン氏は早口につぶやいていました。

  • 過去の映画化作品では、93年のアニエスカ・ホランド版が話題だったと思うが未見。で2020年の最新版を見たので、ついでに原作も。
    読んでみると、気の毒な境遇にも関わらず、共感しにくいメリーをはじめ、子供とは思えない曲者揃いの登場人物。荒れ果てた庭の再生は、人を寄せ付けない子供達の心を癒し、頑なな大人にも影響を与えていく。何と言っても憎まれっ子メリーと、今にも死にそうと本人が思っているコリンの造形が、素晴らしい。性格付けがはっきりとしていて、行動がぶれないので、この作品は何度も映像化されたんでしょうね。植民地政策真っ只中の時代だけあって、物語はインドから始まる。と言っても『小公女

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 夢中で一日で読んでしまいました。

  • イギリス出身の作家バーネットの代表作の一つ。孤独で少し荒れていた少女が秘密の庭園を見つけて……。庭園のなかで、だんだんと花開いていく登場人物たちとその関係性に注目です。

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