- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833423939
感想・レビュー・書評
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ひと言でいうならば、令和版『論語と算盤』
資本主義の役目を終えた時代に、ボクらは何を目指すべきか。そのひとつの可能性がここにある。
著者の書いた本はすべて読んでいる上で言う。
本書でも、著者の得意とする哲学や心理学などの人文科学領域の知識が、がっつり活かされている。
数々の著名な学者や識者たちの遺した研究結果などをうまく取り入れることで、著者の主張にも説得力がある。
本というのは、読んでいる間はじっくりと議論はできないものだから、後からまた考察してみる必要はある。きっとボクは、これから何度も読み返すことになる。
『もっと早く読みたかったなぁ……』
これが読書後の第一思だった。
本書の主張は、著者の学びの集大成といっても過言ではないと思った。これを書くために、今までの著書があったのかもしれない……。著者の運命さえ感じさせる、そんな一冊になっている。
様々なSNSの投稿やブログなどに目を通していると思うことがある。
それは、現代の社会の在り方というものに、非常に強い違和感を持っている若者たちは、きっと少なくないということだ。
そんな若者たちにこそ、本書は手に取ってもらいたい。
自分がいずれ居なくなるとわかりきっているこの世界を、なんとか前に進めようとしているおっさん達がいることを、ボクはぜひ知ってもらいたい。「日本、捨てたもんじゃないかも…!」と、未来に希望を持って生きてほしい。
ボクは年間300冊以上の本を読んでいる。
そんな中でも、ここまで頭をガツンとやられたアタリ本は、もうホントに数える程度しかない。300冊読んでせいぜい10冊程度あるかないかだ。
だから何度も言いたい。
若者にこそ、本書を読んでもらいたい。
これからを生きるボクらの行動で未来は決まる。
未来を変えるのは、ひとりの英雄なんかではない。圧倒的多数の凡人であるボクらこそ、その主役なのだと思う。
資本主義に絶望せず、次代に希望を持たせる一冊。ぜひ一読あれ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本は、既に物質的満足度は達成し、高原と名付ける低成長時代に突入している。GDPの成長率を上げようとしても無駄な努力だ。20世紀が世界的に見ても極めて特殊な時代だったのであり、物質が満たされ、人口減少が起きると世界もやがて日本のような低成長の時代へ突入する。これからは、文化的、精神的な満足度を上げるよう方向転換をするべきだ。ロボットやAIが人に変わり労働を引き受けるようになり、人々の労働に対する考え方も変わってくる。そして資本主義のあり方も弱体化し、新しい秩序に対応できる社会を作って行かなければならない。
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1.上司に薦められたので読みました。
2.経済成長に固執する現代に対して一石を投じる本です。経済成長に固執するあまり、人として大切な自己実現を忘れてしまっています。これにより限界にきている資本主義にさらなる負担をかけ、真の問題点を発見できなくなっております。
本書では「高原社会」と定義づけ、これからのあるべき未来が何なのか、どのような対策が必要なのかわ述べています。
3.私自身、特に不満があって今を生きてるわけではないので、所得を上げることについて躍起になっておりません。ですが、周りの人は所得を気にしすぎるがゆえに不満が増えてく一方です。
金に気を取られてしまい、大切な自己実現が年々失われていく姿を近くで見ていく人として悲しいと思います。日本人には自己犠牲を美徳とする文化が根強く残っています。私も多少はその考えが残っているため、人のことは言えませんが、それでももうそんなに犠牲にならなくてもいいこともわかってます。ですので、本書の言う通り「まずは自分自身がしっかり幸せに生きること」が第一の課題だと思います。
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ちょっと難しそうな本だなと思って、敬遠していたのですが、
読んでみるとページをめくる手が止まりませんでした。
面白い。
先に読んだ「自由になるための技術 リベラルアーツ」でも感じましたが、
山口さんの豊富なリベラルアーツに対する理解をバックグラウンドにした哲学的思考を感じ取ることができます。
こういう思考(=グラウンドデザインを描くこと)ができるようになるためには、
こんなバックグラウンドが必要なのか…というのは非常に参考になります。
※自由になるための技術 リベラルアーツ
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4065222680#comment
5年ほど前に、ファイナンス系でバリバリに結果を出している人に、
「今の資本主義って限界があるんじゃないですかねぇ?」と言っていたら、
「オマエ、何言ってんの?バカじゃね?」くらいの勢いで返されてしまった経験があります。
あの時は、自分は資本主義に対する対案を示せませんでしたが、
著者の主張は次の時代のポスト・資本主義的な思想であることは間違いありません。
著者の主張は刺激的で、今の時世には中々無批判で受け入れられない人がそれなりにいると思いますが、
著者の考えるグラウンドデザインは、
「確かにこんな世の中になったら素敵だな」という感覚的な何かを感じさせてくれるものです。
一方、実際の施行にあたっては、
自分だけ得しようと抜け駆けをする人間などが発生して、
注意深くルールを決めていく必要性もありそうです。
(というより、そもそも受け入れることができない人が多発しそう…。)
自分のドメインは教育なので、こんな世の中になったとき、
「未来の教育はどうあるべきか?」については、
自分でも少し考えてみたいと思います。 -
最近推してる山口周氏の新著。
アンチキャピタリズム、アンチエコノミックマテリアリズム。
ファクトフルネスのように世界の捉え方を再定義、何ならファクトフルネスと併せて読むべき一冊。
世界はより良い方向に行っている、ではその先に何があるのか。
ミニマリストを目指している自分としては、物質的豊かさの先を論じている点で非常に親和性のある1冊だった。
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高原状態とか意味とか著者特有の言葉が連発する。ビジネスと言うよりは啓蒙書。面白いけど、ビジネスマンが勉強になるかは疑問。
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面白い。
本書の結論は、「ビジネスはその歴史的使命を終えつつある」
というあまり考えたことはないけど、言葉として認識するとかなりしっくりくる言葉でスタートするのが本書。
今は世の中を低成長=悪、高成長=正義みたいな捉え方をしてるけど、少し言い換えて、
低成長=成熟、高成長=未熟だとすると、物質的貧困からは抜け出せている今は、低成長のほうがいいよねっていうのが書かれてる。
であれば今の拡大成長を目指すビジネスはもう難しいし、成長が望めない世の中なら、将来に期待するという意味での時間の価値も薄れてきているから、今をどう生きるかというところに価値が出てくるよ、っていうのが前半の1/3に書かれてる。
後半部分も面白いけど、この部分に興味が持てたら、是非読んでみるべき。
評判に違わず、面白かったです。 -
資本主義の次にくるものは、私達一人ひとりがもっと責任とある意味の覚悟を持って創り出すんだよー、
と教えてくれている良い本と思う。
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物質的豊かさを追求し人々の幸福を目指す資本主義は、既にモノに溢れた現代では役割を終えている。GDPの増大を指標にして経済成長を目指すビジネスの進め方は、行き詰まっているとの指摘。これからは経済合理性ではなく「今日の充実のために夢中になれる仕事に取り組む」など、人間性に根ざした衝動により行動すべきと。そうなんだろうけど、富の偏在に苦しむ人たちには全く響かない物言いかと思うけど。アクティブに声を上げた人があるから世界は変わってきた。問題を生み出しているのは行動しない自分自身と認識し、いま、ここにいる自分から始めようと。そうですよね。