ストーリーで理解する 日本一わかりやすいMaaS&CASE

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  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833423588

感想・レビュー・書評

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  • 2021.11.04 事例が豊富でとても勉強になった。もう少し概念の紹介があっても良いと思いますが、個人的にはとても参考になった。

  • CASEはそこそこに、MaaSメインで様々な事例やアイデアが紹介されていた。
    視点として、社会に存在していたミスマッチ(車両が眠ってる人と移動したい人、同じ方向に帰るのに別々にタクシーに乗る人、土地が遊んでいる人と駐車場を求めている人、空車率の高い路線バス、情報共有不足で待ち時間だらけのトラック など)をテクノロジーでマッチングする、手段ありきではなく目的のために複数の手段を組み合わせる、データを蓄積·分析して最適な配分を実現する、目的地まで途切れないシームレスな移動体験を提供するためにラストワンマイルを埋めるツールを使う、所有ベースではなくシェアリングすることでリソースを効率よく活用する、モノではなく体験を重視する、サービスは高速で改善を繰り返す、などが共通していた。
    起業家の生い立ちや思いについてもしっかりした説明があってそれぞれ読み応えのある良書だった。

  • MaasとCASEについて多くの実例を挙げて紹介している一冊。

    正直、Maasとは単に共通のアプリを用いてdoor to doorで移動するためのツールだと思っていたけど、それだけではなく、地域が抱える交通や医療の課題を乗り越えていくための様々な取り組みを包含したものであることをあらためて知った。

    地域の二次交通や医療の課題に取り組むことは、事業として成り立つのか、誰もやりたがらないビジネスではないかと思っていたが、これまでの発想を転換し、IT技術やAIを活用し、事業者と利用者の双方にメリットがある形でサービスを提供していく。

    地域の実情に適した形でのサービス。地域に住む人たちが主体的に、さまざまな事業者と連携し、よりよい地域交通のあり方、生活のあり方を模索し実践していくことが大切だと感じた。

    企業としてもそこに短期的な爆発的なヒットを見出すのではなく、持続可能な成長を求めて取り組んでいく必要があるのだと思う。

    当事者意識を持って、関心を持って仕事、生活の中で取り組んで行きたいと思う。

  • 東2法経図・6F開架:KW/2020//K

  • MaaSという言葉を耳にしない日はないくらい日常語になりつつあるものですが、完成形がどういうものなのかは分かりづらい。
    きっとこれで完成という状態は無いのかもしれないし、世の中の困りごとを解決するために、移動をキーワードとしているものはすべてMaaSと呼ばれるだろうし、他の何かと組み合わせる事で価値を創造するということも正しいのだろう。

    自動運転がどんどん高度に実現されれば、道路の渋滞も緩和される。
    人口減の社会において、働き手を増やせない事業社をカバーし、利用者にとっては1回あたりの乗車料の権限に繋がる。
    所有からシェアリングへの流れも今の世の中、若者にとっては頑張って車を持つという気持ちも減っているという中では必然。

    少子高齢化、地方都市の過疎化、路線バスの廃止など地方はどんどん苦境に立たされている。
    地域創生ということで地元に戻ってきてもらえるような仕掛けを行政側で考えていると思いますが、
    それが実現されるのにどれだけの時間がかかるのか、官民連携しながら最適解を求めて活動するなどもMaaSという新たな思想があってこその事。

    子供の頃に夢見た未来が直ぐ側まで来ている。

    世の中の動きを日本だけでなく、海外の事例も含め紹介いただき、非常に理解が深まる作品です。

  • 様々な切り口からMaaSについて理解することができ、将来の交通機関・移動手段のあり方について考えるきっかけとなる。特に交通事業に携わる者は、現業・非現業を問わず、今後の自らの仕事・働き方を考える上で重要な業界内外の動向について理解を深め、また、技術革新に伴う環境の急激な変化を実感することができるため、必読であると感じる。

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    過疎地域におけるデマンド交通の仕組みは以前から様々な実験や実用化がされてきているが、クラウドコンピューティングにより配車などの事務作業を効率化しやすくなっている。スマートフォンからの予約により、自動かつ即時に、最適なルートを構成することが可能になっている。歩くのに不自由な人にはパーソナルモビリティも有効。障害者だけの乗り物ではない。

    観光地における移動手段としてもオンデマンド交通が注目される。ルートを効率化し乗車率を上げることでドライバー不足の解消にもつながる。MaaSにより、交通機関の選択肢が増え、より細やかな観光が可能に。観光型MaaSの導入により地域交通の利便性も向上する。観光地のみならず生活に必要な病院や郵便局にもアクセスしやすいように工夫。

    タクシー業界では配車アプリが急速に普及している。走行距離は変わらずして実車率と収入の向上に寄与。
    ライドシェアも徐々に進んでいる。自家用車・社用車などの使っていない車をシェア。駐車場のシェアリングも注目。
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    コロナ以後のテレワークの定着で都心部への通勤需要は確実に減少する。同時に地方への移住志向が高まることが予想され、地域の交通手段の利便性の向上にMaaSは必要不可欠である。
    また、働き方改革により移動時間を無駄にしたくない志向も強まるだろう。移動する必要があるのなら移動中も会議を行いたいなど。都心部の公共交通機関にとっては脅威である。

    交通事業者が交通網を整備して街づくりを行う時代は終わった。多様な働き方・価値観を認め、住む人自身が主体となって交通を作る時代を感じることができた。

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著者プロフィール

ジャーナリスト、専修大学社会科学研究所客員研究員、法政大学社会学部非常勤講師。
1960年 鳥取市生まれ。
1983年 九州大学法学部政治専攻(石川ゼミ)卒業。
NHK記者、九州大学大学院・大妻女子短大等の非常勤講師を経て現職。
主な著書
『名前を探る旅~ヒロシマ・ナガサキの絆~』石風社、2000年
『地域から問う国家・社会・世界』(共著)ナカニシヤ出版、2000年
『核の時代と東アジアの平和~冷戦を越えて~』(共著)法律文化社、2005年
『脳障害を生きる人びと~脳治療の最前線~』草思社、2006年
『スペイン内戦とガルシア・ロルカ』(共著)南雲堂フェニックス、2007年
『認知症を生きるということ~治療とケアの最前線~』草思社、2009年
『「被爆二世」を生きる』中公新書ラクレ、2010年
『奇跡の人びと~脳障害を乗り越えて~』新潮文庫、2011年
『被爆者が語り始めるまで』新潮文庫、2011年
『最重度の障害児たちが語りはじめるとき』草思社、2013年
『占領は終わっていない~核・基地・冤罪・そして人間~』緑風出版、2017年
『マツダの魂~不屈の男 松田恒次~』草思社、2018年
『スペイン内戦(一九三六~三九)と現在』(共著)ぱる出版、2018年
『ストーリーで理解する日本一わかりやすいMaaS&CASE』プレジデント社、2020年

「2020年 『スペイン市民戦争とアジア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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