アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法

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  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833423366

感想・レビュー・書評

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  • アート思考って結局、何だ?
    常識にとらわれずに考えること?(それだけ?)
    どのようにビジネスに活かしていくのだ?

    この辺りの疑問が自分の理解不足もあってか、
    完全には晴れていかなかった。
    本の内容も、途中からアートの概要の説明になっている気がする。
    「あれれ」って感じ。
    (ただし、それはそれで面白い。)

    しかし、本の中で一番残念なのは、
    色々な興味深いアーティストや作品が紹介されているのですが、
    その写真などが本の中に全くないこと。
    おそらく著作権などの問題があるのでしょうが、
    毎回、グーグルイメージなどを使って検索するのも、
    読みにくくて仕方がないですね。
    (ただし、作品を見ながら、絶対に本を読んだ方がいいです。)

    ちょっと「読み進める」という観点からは、不満が残る本ではありますが、
    普段、アートに接したことのないような私のような人間(と大多数の方々)にとっては、
    知的好奇心が刺激され、とても有意義な本だと思います。

  • 13歳からのアート思考を読んで、アート思考をもっと勉強しようと思い、手に取る。
    こちらはどちらかというとビジネスパーソン向け。
    アート思考を実際のビジネスに活かす方法が実際のアート作品を解説しながら、述べられており、分かりやすかった。

  • 借りたもの。
    冒頭から突然、「アートとビジネスはまったく異なる」と身も蓋もないことが書かれ、「今まで読んだアート思考の本で得たものは何だったんだ!?」と条件反射的にがっかりするも、読み進めれば何を言わんとするか分かる。
    それは他のアート思考(たとえば山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』( https://booklog.jp/item/1/4334039960 ))に関する本が言わんとしていた事と共通する。ただし実利に直接結びつかないことを念押しするため、先に断言したのだろう。

    それはMBA(経営学修士)がMFA(芸術学修士)にとって代わられるという意味ではなく、補うものであると解釈した。

    ロジック一辺倒だった世界に感性を取り入れる……
    文中では「直観」、原始的な感覚――アイデアのひらめき――を研ぎ澄ますことを指している。

    それが導き出す、全く異なるアートとビジネスの交差点……
    それは「現代アートの問題を提起する(している)ところ」だった。

    現代アートを「ゼロベースで考える」と言われれば、スティーヴン・レヴィット『0ベース思考』( https://booklog.jp/item/1/4478029067 )を思い出し、アートのお値段(価値)を決めるものはブロックチェーンであると指摘する。
    現代アートが「今」を映していることがよくわかる。
    それは「売れるもの」を作っているのではない。アーティストが時代に敏感に反応し、その中で自己内省を極め、制作したものだ。

    アートビジネスは直接的な関係はないとは言うものの、資本主義経済との関係は切り離せない。
    水野和夫『コレクションと資本主義』( https://booklog.jp/item/1/404082184X )も参照。

    アート鑑賞の要点もきっちり押さえている。
    後半は近代から現代美術の流れと用語解説。
    世界、日本における現代美術の主要なアーティスト解説。
    彼らの作品の大まかな分類をしていることが興味深い。
    「何でもあり」な現代美術でも、時を経て振り返ればその傾向が見えてくる。
    その足掛かりであり、今後、どの様なアートが注目されるか(この中から新たに派生するかもしれないもの)を考えるひとつの指標となり得るだろう。

    バンクシーは丁度、展覧会を観に行った後だったので、挙げられていた作品を思い出しながら読み進める。
    社会への反逆か。バッドジョークの天才か。
    将来ゴヤのような画家と見なされるよりも、チャップリンの変化系のような画家かも知れない。

    私が気になっていたのは、「あいちトリエンナーレ2019」の中止問題についての言及。
    著者は「あいトリ2019」における、金運成、金曙ギョン《平和の少女像》嶋田美子《焼かれるべき絵》などショッキングで論争を生む展示をしたことを、ヨーゼフ・ボイスのパフォーマンスアートの延長として言及。
    ……しかし、個々の作品についての言及はなかった。
    私には《平和の少女像》は先入観もあって「プロパガンダ」にしか見えなかったし(あの像に韓国のアイデンティティはあるの?)、《焼かれるべき絵》は昭和天皇という個人の肖像を超えた独自性は見いだせなかった。
    そこに著者は何を見いだしているか、意見を聞きたかったのだが……
    右だの左だの反日だの韓嫌だの中傷合戦して辟易してしまい、はたしてこれは「アート」なのか疑問のままだ。

    著者は‘自分だけが信じる主観的な世界を世の中に問いかけていく問題提起型のアーティストの時代に変わろうとしている(p.63)’と言っていた。答えはこれかも知れない。
    そうだとしたら、上記2つの作品は、被害者意識と恨みつらみからくるアンチが作者らのアイデンティティであるとしか、私には見えない。

    flier紹介。( https://www.flierinc.com/summary/1801 )

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      亜綺羅さん
      バンクシーのように洗練されてはいないけど、一応はアートなんだと思う。
      作品の良し悪しは別にして『抵抗』×『意思表示』ですから...
      亜綺羅さん
      バンクシーのように洗練されてはいないけど、一応はアートなんだと思う。
      作品の良し悪しは別にして『抵抗』×『意思表示』ですから、、、、
      為政者や大国がすれば単なる唾棄すべきプロパガンダでしかないでしょうけど、彼の国からすれば日本は、、、難しい問題です。。。
      2020/09/18
    • 亞綺羅さん
      猫丸さま
      コメントありがとうございます。

      おっしゃる通りです。
      確かに、現代の定義では「一応アート」なんだと思います。ただ、何に対...
      猫丸さま
      コメントありがとうございます。

      おっしゃる通りです。
      確かに、現代の定義では「一応アート」なんだと思います。ただ、何に対しての「抵抗」なのか不明なところがあります。
      賠償金目当て、貶めて有利に立とうという対日外交と深く結びついていて、同情もできないことが不愉快です。それが韓国のアイデンティティなのかもしれませんが。

      私がそう思うようになったのは、10年以上前の話ですが、対馬の仏像盗難に端を発して百済展が中止になった恨み節です。犯罪を裁かず文化交流にまで政治利用を持ち込んだことへの……すみません。
      2020/09/19
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      亜綺羅さん
      「犯罪を裁かず文化交流にまで政治利用を」
      そう言えば、ありましたね。日本には何をしても良いみたいな印象を残しました。その後ど...
      亜綺羅さん
      「犯罪を裁かず文化交流にまで政治利用を」
      そう言えば、ありましたね。日本には何をしても良いみたいな印象を残しました。その後どう決着ついたんだろう(決着したのか?)。後で調べます。。。
      2020/09/19
  • 3章くらいまでは、共感の嵐。
    今まで芸術に対してぼんやり考えてたことと似てる部分が多かったし、
    読んでるだけでいろんなアイデアが湧いてきて、脇にメモ帳置きながら読んだ。

    後半の5章?くらいからは、現代アートについてで、著者も現代アートってなんだこれってなる人多いと思うって書いてあった、

    けど読んでもまだわかんない、、ってなりました。

  • 最近、商売で「アート思考」を売り出している人も多いので、気を付けたいと感じていた。

    そんなときに、この本に出会った。
    アート思考を学ぶなら、この本です。

    アートはアート、ビジネスはビジネス。
    違いを認め、通じるところは何か?

  • 分からないかものを分かるようにする、分からないことを増やす、という仮説検証型アジャイルの指針がアート思考だということが分かる

  • 人間は、社会の成熟の中で作られた概念を通して世界を見ている。アートシンキングには、ありのままの身体感覚で接することが必要。
    AIは言葉の意味がわからない「シンボルグラウンディング問題」がある。身体性がないと言葉と現実の物事を結び付けれない。身体性がフレーム問題も解決しうる。
    アートに触れて感動した時、アーティストが見た世界を追体験している。
    人間は、自分の認知の範囲内で世界を理解する。アートは認知が完全でない、「わかる」部分と「わからない」部分を整理して、「すべてがわかったわけではない」と考えて、「わからない部分には、自分の知らない、なにがあるのか?」と思わせてくれるため役に立つ。
    デザイナーは自分の外部にある課題と向き合う、アーティストは内側にある課題と向き合う。
    アートは過去のフレームを破壊したうえで、新たなフレームを作り出し、時代やパラダイムを進めていく作業と言える。
    新たなフレームを作り上げる時にマーケティングは役に立たない。なぜならアートは市場ではなく常に自分の中にあるものだから。
    スティーブ・ジョブズ「顧客が今後、何を望むか、顧客より先につかむのが仕事」
    日本美術の根幹に流れているのは「継承の歴史」継承の文化感がイノベーションを妨げているのかもしれない。
    アートの本質的な価値とは、見る人の感情や精神を揺さぶり、生きている意味を肯定するものであり、もしかすると宗教に近いものかもしれない。
    「いい作品には幾重にも意味を読み込める多重性がある」

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/739717

  • 現代は、論理的に考え、正しい答えを出すことが、良いとされている。
    しかし、正しさは問いによって変わる。
    デザイン思考が最適解を得るための課題解決の思考であるのに対し、アート思考はそもそも何が課題なのかという問題を作り出し、「なにが問題なのか」といった問いかあ始める。

    既存の規則や常識にとらわれていると、ゼロベースで問いを考え出すことは難しい。アートはいったんゼロベースにして、物事や社会を捉えなおす。
    その思考法は、私たちが生きる上での新たな価値感や新たな幸福感を与えてくれるだろう。

  • 時代を切り拓く現代アーティストの思考法を具体例とともに書いてくれていて分かりやすい。私はマーケティング職だが、アーティストのように仕事をしたいなと思った。

    芸術家は自分を中心に考える
    良い作品は考察が何十通りもある
    アートの特徴は、深く感じ考えると言う傾向

    行ってみたい芸術祭
    香港アートバザール
    ベネチアビエンナーレ
    瀬戸内国際芸術祭

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著者プロフィール

東京藝術大学大学美術館館長・教授、金沢21世紀美術館特任館長、美術評論家。
1955年生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科卒業後、1991年よりベネッセアートサイト直島のアートプロジェクトに関わる。2004年より地中美術館館長、ベネッセアートサイト直島・アーティスティックディレクターを兼務。「金沢アートプラットホーム2008」、「金沢・世界工芸トリエンナーレ」、「工芸未来派」等を開催。2007~2017年金沢21世紀美術館館長。2013~2015年東京藝術大学客員教授、2015年より東京藝術大学大学美術館館長・教授を兼務。2013~2017年秋田公立美術大学客員教授。2016年9月より女子美術大学芸術学部特別招聘教員。
著書に『日本列島「現代アート」を旅する』(小学館新書)、『工芸未来派 アート化する新しい工芸』(六耀社)がある。

「2017年 『おどろきの金沢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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