- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784829503805
作品紹介・あらすじ
アーニーは兵士を愛し、彼らの苦悩をコラムに書き、戦場の現実をアメリカ市民に発信し続けた。彼ほど、兵士・家族、そして米軍幹部からも絶大の信頼を得たジャーナリストはいなかった。彼の功績は、戦後GHQが東京宝塚劇場を接収し「アーニー・パイル劇場」としたことや、伊江島に記念碑が建てられ、毎年命日には慰霊祭が行われていることからも分かる。
感想・レビュー・書評
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第二次世界大戦時、従軍記者としてアメリカ軍と行動を
共にした記者、アーニー・パイル。
「自分が見たものを、見たままに伝える」。しかし、前線の兵士と
行動を共にするアーニーが見た戦場は、あまりにも悲惨だ。だから
なのだろうか、戦闘の様子よりもそこに参加する兵士たちの姿を
コラムとして送り出す。
勇敢に戦う姿だけが兵士だけではない。長い行軍に疲れ切った姿、
上官の遺体を長い間見つめ「大尉、残念です」と語りかける姿。
本国で息子や夫の身を案じる家族から多くの手紙が届く。息子に、
夫に会ったのなら近況を知らせてくれ…と。
沖縄上陸作戦に参加することになったアーニーは「今度の戦闘から戻る
ことはないだろう」と、グアム島で友人に語る。シチリア島でも、
ノルマンディーでも、生きて帰って来たではないか。友人は笑い飛ばしたが、
アーニーは沖縄県伊江島で銃弾に倒れる。
「アーニーの戦死とほかの立派な兵士の戦死との違いはひとつ、兵士の
場合は所属中隊から哀悼の意を表されるが、アーニーの場合は陸軍の
すべての部隊からだ」。
GIたちに愛された従軍記者の名前は、占領下の日本で接収された建物に
残される。「アーニー・パイル劇場」だ。
生前、後方部隊での休養から前線に戻るアーニーは妻への手紙に記す。
「安全地帯にとどまることは実際に戦っている部隊にとって公平では
ないだろう。部隊から長期間離れていると、自らを恥じることになり、
背中をドンと押されて再び前進することになるのです」
戦場となった場所へは行ったことがあるが、実際の戦場に行ったことは
ないのでアーニーのように感じることは出来ぬ。
ただ、平和な日本で世界の凄惨な土地の話を見聞しているとなんとも
表現出来ぬ罪悪感に捕らわれることがある。そんな気持ちに似ている
のだろうか。
本書は翻訳が下手なのが難点だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うつ気味で安定無き私生活と引き換えるかのように、戦争を嫌いつつもその魅力に惹かれて、戦地に漂流していきながらも、「僕は本当は手紙の代筆屋なのだ」といい、戦争とはどんなものであるかを伝えることで「GI神話」に貢献した従軍コラムニストの伝記。