花守の竜の叙情詩 (富士見ファンタジア文庫 あ 5-1-1)

著者 :
  • 富士見書房
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829134092

作品紹介・あらすじ

隣国エッセウーナによって制圧された、小国オクトス。囚われの身となったオクトスの王女エパティークは、絶望の中にあった。だがある日、そんなエパティークの前に、エッセウーナの第二王子テオバルトが現れ、告げた。「これから、俺と君とで旅に出る。捕まれば、命はない」その『旅』とは、願い事を叶える伝説の銀竜を呼び出すというもの。呼び出すために必要とされる生贄が、エパティークなのだ。王位継承争いで帰る場所のないテオバルト。囚われ、生贄となるエパティーク。支配した者と、された者。互いを憎み、反発しながら、孤独な二人の長い旅が始まる-。宿命の愛と冒険の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに読んだ切ない話。
    最初は憎しみあっていた主人公とヒロインの距離が徐々に縮まっていく。
    設定はありがちだが、心理描写がとても丁寧で、感情移入しっぱなし。
    かなり好きな作品になった。

  • 3/10.
    概念はいいがのろのろ進めるのが堪え難かった。

  • なかなか面白かった。戦に負けた国のお姫様が、勝った国の庶子の王子に率いられ、見投げの旅に出る話。はじめは王子・テオのお姫様・エパティークへの批判が的はずれで気持ちが冷めかかった。城の中で蝶よ花よと愛でられ外交の道具として育てられてきたお姫様に、世の中を知らない政治を知らないと責めるのは的はずれでしょ。父親の政治の責任を娘に求めてどうする。が、エレンが登場してからラストまでは悪くなかった。妹姫・ロザリーの性格には賛否両論ありそう。周りの侍従の裏表が分からなかったのは子供だったからとしても、妹のことさえ分からなかったなんて、お兄ちゃんの観察眼は甘すぎじゃない?

  • 繊細で美しい言葉選びにドキドキしました。
    元々は1巻完結だっただけあり、この1冊だけで十分な満足感を得られますが
    読み終わった後「早く続きを!」と
    思わず逸るほど魅力的な世界観・キャラクターたちでした。

    純愛ものが好きな方にはぜひぜひ読んでいただきたい作品です。

  • 王位継承に敗れた第二王子。そして、その王子の国が侵略した国の王女。支配した者とされた者。互いを憎みながらの長い旅が始まる――。

    亡国の王女と侵略した側の王子の話。
    旅の中でお互いを認め合い成長していく。

    好みだとは思うのですが、話が淡々と進むのでやや蛋白に感じる部分もありました。
    (うまく説明もされていて納得できないわけではないです。)

    続刊もあるようですが一冊でキレイにまとまっており、
    締めがとても美しいです。

    古き良きファンタジーという趣で楽しめました。




    ーーーーーーーーネタバレ含む雑感ーーーーーーーーー





    終盤のシーン。好きな人残して一か八かでも俺にはできないかなー。

    姫様が本当に報われないよなーと。矜持を示して恫喝するシーンも結局はトラブルのタネを呼び込んでしまうわけで。。

    続刊も機会があったら読んでみます。
    けど、アマゾンの取り扱いしてないんですよねー
    キンドル買おうかな。

  • 歌い継がれてきた物語の中に失われた真実があって、話が進んで解き明かされていくパターンが好きです。
    今回のこの話にもありました。
    最初の自分の国の民の状況も知らない無垢なお姫様であった彼女に、知らないことが罪なのだと教えるあたり、十二国記かと思いました。

  • 隣国エッセウーナによって制圧された、小国オクトス。囚われの身となったオクトスの王女エパティークは、絶望の中にあった。
    だがある日、そんなエパティークの前に、エッセウーナの第二王子テオバルトが現れ、告げた。
    「これから、俺と君とで旅に出る。捕まれば、命はない」
    願いを叶えるという伝説の銀竜を呼び出す旅。エパティークはその生け贄なのだという。
    王位継承争いで帰る場所がないテオバルト。囚われ、生け贄となるエパティーク。支配した者とされた者。互いを憎み、反発しながら、孤独な二人の旅が始まるーー。


    発売当時に表紙買いしたものの、積んでた本をようやく消化。ファンタジーなタイトルとイラストでの表紙買いだったけど、思った以上に良作でした。
    敵同士から、互いに憎みあっていた二人が、旅の中で徐々に打ち解ける感じが王道ながらも丁寧に描かれてて好きな感じ。
    てか最近のラノベには珍しいくらい文章力が高くて、しっかりしたストーリーでした。
    若干エパティークの心変わりが急な気はしたけど、あんまり気にならないレベル。
    エレンという奴隷の少女を引き取った辺りから、ぐっと二人の人間味が増して面白くなりました。
    惹かれ始めたことで、それまでの彼女への仕打ちを悔やむテオバルトがなかなか萌える。
    タイトルから思い切りファンタジーかと思いきや、終盤まではわりとマトモで地味な雰囲気。終盤で銀竜が出たことで、ああファンタジーだったなと思い出させられる感じでした。
    ラストは悲恋スキーにはたまらない、切ないながらも綺麗な終わり。

  • 花の多く出てくるお話しで 物語も面白くはあったのですが イラストが 想像の邪魔をしてしまうのが残念。イラスト自体は可愛くて良いのですが…

  • 2009年6月当時のレビューです。
    ネタバレ無しと有りで2回書いたのでいっき載せ。

    今月25冊目、「花守の竜の叙情詩」(富士見ファンタジア文庫)読了です。

    いわゆるジャケ買いというやつです。著者も絵師も知らない人ですが、なんとなく絵の雰囲気とタイトルに惹かれて買いました。

    結論からいいますと、とても良い作品でした。

    物語は異世界のとある島国にて、世間知らずな箱入り娘のお姫様と、人間不信の王子様の旅を描いたものです。
    こう書くと誤解されそうですが、お姫様は捕虜です。そして王子様は彼女を助けるためではなく、死地へと送るために旅に出るのです。

    彼女が旅の中、何を見、何を感じて自分の罪と向き合い償うのか、
    彼が旅の中、どんな行動をし、どんな思いで自分の闇と向き合い、心を開くに至るのか。
    短い旅の中で揺れ動くそれぞれの心情を描いた。そんなお話です。

    泣いてもいい環境で読みましょう。
    僕はなきませんでしたけどね?w外で読んでたしwでもそれは間違った読み方ですw

    BGMはピアノのヒーリング系などが良いでしょう。
    僕は「DEEP PURPLE」きいてましたけどね?wそれは明らかな過ちですww

    映画のように一息で読みたい作品です。「とある飛空士への追憶」で感動できる方になら、気に入ってもらえると思います。

    是非、ご一読を…!!


    「花守の竜の叙情詩」のネタばれ感想でもひとつ…。
    ネタばれ一切気にしない既読者用の感想になるので、未読の方はお戻りください…。


    と言っても何から書けばいいのやらww

    読みやすくて文章的には軽かったのですが、内容的には重めの作品でしたよね…でも暗すぎない感じ。
    しかし、エッセウーナの人々は腹黒すぎるwwなんでテオバルトは清く育ったのか?wまあ、人間不信になってはいますが…。
    序盤は少し粗野な感じでしたよね。目的のためには手段を選ばないという意気込み。
    実際、戦禍のためか荒んだ人々の多い国でしたね。主人公たちと対比させるためでしょうが、あまりに救いのない世の中に見えました。

    エパティークはそんな人々やエレンを見るうちに自分の愚かさと罪について自覚していくわけですが、性格急変って感じでした。なんつーか卑屈になるわけじゃなく、ただ反省の念いうか純粋に罪を償う意識が芽生えたというか…
    人間ってそんな簡単に変われるものじゃないですよね…。でもラノベの中では、しっかりとした意志と理想を持って成長する主人公たちがたくさん描かれています。
    自分にはできない何か。そんなものを求めて僕はラノベを読んでいるのかも知れません。

    エレンの登場が、エパティークに劇的な変化をもたらしました。その変化が、テオバルトの心を開きました。
    エレンなしではこの物語は成立しませんでしたね。
    3日分のパンで売られた少女。彼女もまた、自分の境遇を悲観することなくちゃんと理解し、その上で行動してたようです。
    強い子だなと、そう感じずにはいられませんでした。この3人の中で一番強い存在だったかもしれません。

    しかし物語は、世界は救いのない現実を彼らにつきつけました。

    ロゼリーの本性。
    テオバルトはロゼリーに裏切られた形になりましたが、ある意味ロゼリーは純粋だったのではないかと僕は考えます。
    純粋に兄だけを慕い、純粋故の我儘が歪んだ愛情を育ててしまったのだと。
    彼女も妾の子。やはり少なからずテオバルトのように劣等感のような感情があったと思います。そんな目で周りから見られているような焦燥感。そんな中で自分の面倒を見てくれる、同じような立場の優しい兄がいれば、恋慕の念が湧かないわけもないでしょう。
    彼女は純粋さ故に自分の闇に染まってしまったのではないかと。ただ賢しい子のようなのでそんな部分はしっかり隠せてましたよね。
    テオバルトが彼女だけを見ていれば、それが表に出ることもなかったでしょう。

    そして物語の結末ですが、ハッピーエンドとは言えませんでしたね。
    エパティーク…いや、もうアマポーラですね。彼女はいったいいつまで彼を待ち続けるのでしょうか?
    テオバルトも人が悪いですよね。最後に気を持たせるようなことを言って去っていくのは…。
    銀翼の聖女が贄になって竜を呼び出したと伝承されてる時点で、自分の身がもうこの世に戻ることがないと悟っているはずなのに。
    あの言葉はテオバルトのエゴだったのか優しさだったのか?
    おそらく、願望だったのだろうと僕は思います。解っていてもそれでもわずかな希望を胸に…。

    物語の切なすぎる終幕の後は、深い余韻が残りました。
    余韻の中、彼女たちのその後を夢想してる時の方がやばかったです。仕事しながら泣いちゃうかと思いましたw

    テオバルトとアマポーラの、わずかな希望が叶う日が来ることを願って…。

  • 被征服国の姫と王の継承争いに巻き込まれた第二王子が,自身ですら信じていない伝説のために旅をするハメになるという話.2人とも真面目に生きてきたはずなのに理不尽な状況へと追いやられる不幸と,それでも少しずつ希望を見いだしていく様子が,ソツのない文章の中からありありと伝わってきた.彼らの心情変化の描写はとてもうまい.
    エパティークが歌う詩から伝承を吟味し命を賭す最後の展開は,イラストと同様に少女漫画チックな展開だと思った.序盤は征服行為の負の面や政略などが背景なだけに,いきなりのファンタジー化には驚いた.

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