公教育の未来

著者 :
  • ベネッセコーポレーション
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本棚登録 : 67
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828837123

作品紹介・あらすじ

Benesse賞「日本の教育への提言」最優秀論文を大幅に加筆。

感想・レビュー・書評

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  • 知識をインターネットなどで気軽に調べることができるようになったから今までそれを独占して供与していた教師という存在が権威を失っていった。
    今は個の時代→一人一人の価値を見出せるようなコーチングの技術が先生の権威をまた高めるんじゃね?

    斜めの関係を増やそう、地域本部も確かに良いけど、個人的に1番効果が高い"斜め"は先輩だと思う。先輩から注意されたりアドバイスされたりするとびっくりするくらい素直に聞く。自然と早いうちから進路について考えるようになる。学校で先輩と仲良くなるためには?学年ごちゃ混ぜの自習室開放、気軽に聴ける雰囲気を作る。

    学校の現在の課題は大方賛成できた。それと同時に15年前の本なのに課題が現在とほとんど同じ、つまり15年経っても何も解決されていないということをとても残念に思った。どうやったら学校を変えられるんだろう。民間から校長になった作者の改革を見て、やはり学校の中の人はビジネスの意識が全く無いんだと痛感した。ビジネスの常識がないと、変えられるものも変えられない。1人じゃ変えられないんだから、全員で協力しないといけないのにそれができない状況にあるんだと思った。少なくとも今は色んなイベントの運営に絡んだりしながら企画立案の基礎を学んでいこうと思う。それとは別にお金の知識も身につけないといけないと感じた。自分にとって、民間の就職することは必要なんだろうか

  • 「子どもの教育」を考えるということは、すなわち「大人の教育」であることがあらためて浮き彫りになる。それは「地域社会」の活力の復活に繋がるのではないか?本書は単なる教育論ではない。地域社会論である。地域社会活性化の秘訣、それは公教育にあるのではないか?いや、元来、公教育にあった。それが失われてしまった。どのように公教育を復活させ、地域社会を復活させるのか?本書は和田中学で校長を務めた藤原和博氏の、自らの実践に基づいた指南書と言えよう。


    <目次>
    第一部 [よのなか]科の実践から見えてきた教育の未来
    第一章 誰が学校を無力化したか

    第二章 学校の真実ー解かれなければならない六つの誤解
     1 「公教育は平等であるはずだ」という誤解
     2 「民間委託とか統廃合とか企業やお金が絡むものはすべて汚い」という誤解
     3 「変えないほうが安全だ」という誤解ー前例主義の罠
     4 「教育とは正解を教えること」という誤解ー正解主義の罠
     5 「教えれば、こころは育つ」という誤解
     6 「家庭の教育機能は注意すれば回復する」という誤解

    第三章 教師の真実ーさらに、解かなければならない六つの誤解
     1 「先生って保守的ですよね」という誤解
     2 「教師は全人格的に優れている」という誤解
     3 「同質な人間を集めたほうが効果が上がる」という誤解
     4 「真の学力が測れる」という誤解
     5 「職員会議は議決機関である」という誤解
     6 「採用権を与えないで人事管理ができる」という誤解

    第四章 もう一度、いかに学校に力を与えるか
     (1)市民を育てる[よのなか]科のこと
       教育カリキュラムが切って捨てたもの
       では、市民としての態度と技術をどう教えたらいいのか
       新しい「市民教育」デザインのポイント
     (2)地域本部のことー「官立校」から真の「公立校」への処方箋
       地域本部の仕事ーまず土曜日寺子屋の設立をキッカケに
       さらに、グリーンキープやコンピュータ環境のサポートも
       参考:地域本部の運営に必要な資金的背景
       学校に自主的に大人が集い「ナナメの関係」が豊かになると
       地域本部には経済効果と教育効果の両方がある

    第五章 地域本部作りには経済効果がある
     緑は学校か自社仏閣でしか守れない
     なぜ、学校の緑を守ると地域の経済価値が上がるのか
     価値を創造し続ける学校

    第六章 ナナメの関係を復興せよ
     なぜ、家庭でナナメの関係が希薄になったか
     学校でも、放っておけば上下左右の関係に終始する
     地域社会がナナメの関係の温床ではなかったか
     こうして、子どもたちは縦横の関係だけで生きるようになった
     学校に開かれた地域本部の役割

    第二部 検証 和田中「地域本部」の経営ルネサンス
     和田中iキッズ計画1
     和田中iキッズ計画2
     社会人と中学生の「相互学習」プログラム
     土曜日寺子屋(通称ドテラ)
     図書館改造プロジェクト
     グリーンキーパーズ&ヤゴ救出大作戦
     和田中流“14歳”のハローワーク
     東京大学基礎学力研究開発センター「和田中調査 中間報告」
     和田中壁画プロジェクト
     英語Aコース(週9時間英語コース)ほか

    終章 「パワーゲーム社会」から「クレジットゲーム社会」へ
     なぜ「情」の社会は崩れたか
     「情」でなくて、なにが社会のカナメになるのか
    あとがきにかえて

    9月3日読了

  • エリート教育に興味があったので、関連がありそうなこの本も読んでみました。

    クレジットということばが重いです。
    私は今まで何を学び何を得てきたのかを考えさせられました。
    著者の意見に全面的に賛成しているわけではありませんが、努力がすごいと感じました。この努力、こうしたいと言う思いを周囲に説明し協力が得られるように説得できる力がクレジットの蓄積の一因につながっていくのかと思いました。

  • 民間人校長として、杉並区和田中学の校長として5年間改革をした、藤原氏の著書。

    まとめるならば、成長時代の教育と成熟時代の教育は異なり、以前のように学問や価値を学校が独り占めした時代とは異なるので、いろいろな仕組みを変えなければならないということである。そのために教員は授業と生活指導に特化したものであり、そのほかの部分をアウトソーシングするべきだということになるのだろうか。

    変えて、そのうえで評価を得るというのが民間の仕組みだとは思うが、はたして教育現場にもその考えがよいのか考えさせられた。一時の小泉改革などの新自由主義は、リーマンショック以降影が薄れたが、基本はバランスではないかと読了後に思った。

  • 先生の眩しさは、情報の独占による権力の発生という政治学的な力と同時に、社会学的な力としても約束されていた 学校の眩しさを失わせた原因、テレビ、家庭の経済力、先生の年齢 自治体にあれもこれもと要求するだけという態度は、「市民」ではなく、「住民」の態度である 学校は「人生を生きる技術」を教える場 自分とは異質の人間をこわがらない子が一番強い 

  • 教師でもなく、保護者でもない、町の商店街の人々や近所との関係が希薄している。
    つまりは「ナナメの関係」がなくなっている。

  • 彼の考え方は分かりやすい。
    ところどころでやはり経済を勉強してきた人だなというのを感じる。

  • rental for K.U.07.12

  • 民間人(リクルート社員)から公立中学校の校長先生になった藤原氏の本。「教育改革どうする?」なんて議論してるより、まずこれを読んでみましょう。現場の知恵が満載です。

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著者プロフィール

藤原和博(ふじはら・かずひろ)
「朝礼だけの学校」校長。1955年東京生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。メディアファクトリーの創業も手がける。1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。2003~08年、杉並区立和田中学校で義務教育初の民間校長を務める。2008~11年、橋下大阪府知事の特別顧問。2014年から佐賀県武雄市特別顧問。2016~18年、奈良市立一条高等学校校長を務める。

「2021年 『「人生の教科書」コレクション全10冊セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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